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センスがいいようですいいが、考えるのをやめました

 カンカンと鐘を叩くような音がして目が覚めた。

 窓から見える空は水色で、明るい。朝になったようだ。

 手慣れてきた順番で洗浄と光属性の循環を行って部屋を出る。

 ユーナとアミナが居た。


「あ、おはようございます。朝ごはん用意しますね。」

「いいえ。私のことは気にしないでください。」

「昨日も夕飯食べてないし、そんなんだから小さいんじゃないか?遠慮せずに食べていきなよ。」

「光属性の循環で体の維持は大丈夫ですし、異世界人なので成長しないはずです。」


 小さいとか失礼だ。

 この無性体は日本人女性の平均身長くらいだし、女性体や男性体になれば身長はもう少し伸びる。

 そう考えると男性体の身長は少々小さい気もするが、サイトもアサもそれほど変わらなかったと思う。魔族女子のマキアと同じくらいでロリよりも大きいからそれほど小さいと思わなかったし、そもそもユーナと同じくらいの身長だ。

 アミナが自分の男性体と同じくらいなので少し大きいだけだろう。


「なに?レイヤードって魔族じゃなかったんだ?異世界人って、女だよね?」

「アサ…リョータの隠蔽で契約陣を隠していますが、異世界人です。性別は見ての通りですよ。」

「そうなんだ?」

「アミナが来る前に話していましたが、レイヤードは召喚の失敗で魔族側に落ちてしまったそうです。性別は半雌半雄みたいなものって言ってましたよね?」

「へぇ。珍しいね!召喚位置の失敗なんて初めて聞いたし、半雌半雄の異世界人も初めてだ。

 光属性の循環って、治癒魔法みたいなものだろ?食べた気がしないだろうが、楽そうだね。魔族側ではそれが普通なんだ?」

「そうです。」

「初めて知りました。光属性の魔法をを食事替わりにするなんて、やっぱり魔族の方たちは属性も多そうですね。人間で光と闇と命属性は珍しいんですよ。持ってる属性も1つか2つの場合が多いですね。」

「そうなのですか?少なく感じます。」


 異世界人は基本全属性だと聞いていたから、なおさらそう感じる。

 マキアは風と光を使っていて、メイは水と光を持っていたはずだ。

 人間よりも属性が多いとアサが言っていたが、魔族に光属性は珍しくないのか、マキアとメイが珍しく光属性を持っていたのか…光属性の循環の普及には、土種族の付与魔法も関係している可能性もあるか。

 

「せっかくですし、レイヤードに合わせて私たちも魔法で済ませますか?異文化コミュニケーションです。」

「いいね。文化交流なんて面白そうだ。」


 そう言って、二人の体が光った。光属性か、治癒魔法を使ったんだと思う。

 自分に合わさせてしまって申し訳ない気もしたが、食事が不要というのは慣れれば絶対楽だと思う。おすすめだ。

 異文化コミュニケーションと言われると楽しそうだが…あれ、コミュニケーション?交流?言語翻訳の基準が分からないが、微妙なニュアンスがあったのだろう。この言語翻訳が優秀なのを再度認識した。


「これで済むなら楽だね。」

「そうですね。これから、時々魔法で済ませるようにしますか?」

「そうしようか。」

「すみません。さっそく今日の予定なのですが、私は一度魔族側に帰ります。記憶操作をできるか相談してくるつもりですが、一緒に来ますか?」

「え?一緒に行っていいんですか?」

「たぶん大丈夫ですが、リョータの所に転移します。」

「リョータか!お礼を言いに行くのもいいね!」

「そうですけど…リョータって、アレですよね?」

「リョータの所に行くなら、フェリーチェのことも聞けばいいじゃないか。」

「うーん。そうですよね。フェリーチェのことは聞きたいですし…二人で行けば大丈夫ですよね?」

「そうだよ!二人で問い詰めてやろう!」

「そうですね。」


 そうだった。アサのフェリーチェ監禁か。

 ユーナとアミナに問い詰められれば…ヤンデレってどんな行動するか分からないのが怖いよな。でも治癒特化のユーナが居れば、最悪のことは起きないだろう。


「では二人も一緒に行くということで、いいですか。」

「よろしくお願いします。」

「頼むよ。」


 よし。三人で転移しようと思うが、転移距離によって難しいんだったな。

 無性体のまま三人でアサの所まで転移できる?…難しそうだ。

 帰りのことを考えてここで転移地点を登録する。4つ目の登録になる。無性体に戻ったらどの3つが使えるのか後で確認しようと思う。

 魔法特化の女性体に変化して、二人の手を握る。


「転移します。」





 誰もいない白い部屋。無事に転移出来たようだ。

 

「え?レイヤードですよね?」

「さっきのが女の子じゃなかったんだ?」

「見ての通りです。」

「え、でも、昨日は男性体から替えたって言ってましたよね?」

「はい。あれは…無性体です。」

「無性体!?どんなスキルか聞いてもいいですか?」

「そんな性別は初めて聞くよ!」


 魔法特化の女性体じゃなくて、男性体にしておけばよかった。面倒くさい。

 簡単な説明を考えていると、昨日と同じように奥の壁をすり抜けるようにアサが出てきた。


「誰かと思ったら…レイ、帰ってきたんだな。ユーナとアミナも久しぶりだ。」

「リョータ!心配していたんですよ!」

「そうだよ!フェリーチェはいるんだろ!?」

「フェリーチェは…。」


 さっそく修羅場に突入しそうなので、アサの言葉を遮るように重ねる。


「すみませんが、私は家に帰ります。ユーナ、アミナ。また後で。」


 他人の色恋沙汰に首を突っ込んで巻き込まれるのはごめんだ。

 アサが正常なら、区切りのいいところで影種族経由の連絡をくれるだろう。

 ユーナ、アミナごめん。後でマキアに相談してダルとかに様子を見に行ってもらうから耐えてほしい。

 ここは返事も待たずに退散する。家に転移。





 家に帰ってきた。

 マキアとメイを探すが…居ない。出かけてるのか…?

 気落ちのあまり、床に膝を着いてしまった。


『こっちに戻ってきてるだろ?今どこだ。』

『サリアーノ!今、家に帰って来ましたが、マキアもメイも居ないんです!』

『そうか。すぐに行くように言うから、そこで待ってろ。』

『わかりました。』


 繋がったままのサリアーノとの念話。人間側に居た時より、繋がりが強く感じる。

 きっとそれでサリアーノに帰ってきてることが分かったのだと思う。

 家に一人で寂しくなっていたので、この念話は心強かった。

 へたり込んでしまった状態から立ち上がり、玄関で待機。早く会いたい。

 そわそわとしながら待つのは、時間が長く感じたが、実際は大して長くは待っていないだろう。

 戸が開いたと同時に飛び込んでくるピンクの弾丸を胸で受け止める。


「おかえりー!」

「ただいま、メイ。心配かけてすみませんでした。」

「レイ、おかえり。」

「ただいま、マキア。」


 胸にメイが張り付いたままマキアも正面から抱きしめる。

 やっと帰って来たって感じだ。

 もう人間側に行かなくても、聖女様だけでなんとかなるんじゃないか?

 このままここに居ようかな…?

 幸せを堪能して、ギュウギュウ抱きしめているとメイが間から飛び出した。


「苦しいよー!」

「すみません。力を入れ過ぎてしまいました。」

「ごめんね、メイシー。私もつい。」

「いーけどー、気を付けてね?」

「はい。…あの、メイは怒ってますか?昨日、サイトを呼んだりして…。」


 思念読取できるメイは、自分がサイトを苦手としていることを知っているはずだ。

 特にサイトと戦うのがつらいのも知っているはずだ。

 それを、稽古をつけるように言ってサイトを送り出すとは…怒ってますよね。


「反省した?」

「はい。反省しました。」

「サイトはうるさいけど、いろいろ知ってるよ。役に立った?」

「はい!ありがとうございました!」


 魔力の上乗せによるスキル威力の上昇。防御スキルとしては使わなかったけど、ユーナに会うために役立った。

 罰だけでなく、心配して稽古をつけるように言ってくれたとは…メイは優しい!

 にぱりと笑うメイはやっぱり、カワイイ!片手で抱きしめる。

 もう片手で、マキアを引き寄せる。


「マキアにも心配かけてしまいましたね。すみません。」

「いいわ。無事に帰って来てくれて良かった。もっとかかるかと思ったけど、ちゃんと調べられたの?」

「もちろんです。」

「すごいわ。頑張ったのね。」


 マキアにぎゅうっと抱きしめられて、頬にちゅっと…。

 ちゅって!!キスされたよ!!

 嬉しくなってお返しにキスを…するなんて、高等技術は持ち合わせてなかった。

 精一杯の気持ちとして、近くにあるマキアの顔に頬を寄せて擦り合わせたが…。

 これはこれで、恥ずかしい!でも、幸せ!すごい、幸せ!

 ずっと一緒に居たい!


「ふふふ。じゃあ、もう満足したかしら?」

「あとは、偉い人間達をまとめて洗脳と記憶操作をしてしまえば終わると思います。ラスト達に協力をお願いしてもいいと思いますか?」

「どうしてその結論になったかは後で聞くわ。あの4人が協力してくれるかは私には分からないけど、聞いてみるのは問題ないわ。」


 良かった。とりあえず聞いてみれば、もしラストが人間側に行くのが無理でも、他に記憶操作スキルを持っている誰かを紹介してくれるかもしれない。

 ユーナ達もアサの所に居るし、いろいろ知っているサイトも呼んで、作戦を練るのもいいかもしれない。自分がいろいろ作戦を考えるよりもいい作戦が出るかもしれな。

 魔族側についても人間側についても詳しくない、先日来たばかりの自分が閃くアイディアなんて高が知れているだろう。考えるのはお任せすることにする。

 頼れる人たちがいるっていいよな。

 ただ、ラスト達はサイトを館に入れたく無いようだから、館の4人に相談が先だ。


「館行く?」

「ええと。サリアーノは、来ないのでしょうか?」

「サリーはサイトと一緒に居たよ?」

「そうですか。」

「あとで来るって。」

「それなら、先に館行きましょう?」

「はい。お願いします。」

「行くよー!」


 メイの転移で館の前に連れて行ってもらった。

 そういえば、サリアーノと念話が繋がったままだ。

 自分で聞けば良かったな。


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