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明日によりますが、今日の話です

「なんで!」

「マキアと一緒にいろ。」

「私も行くわよ。」

「やめた方がいい。直感系のスキルは自身に対して働くから、一人の方が安全だ。」

「でも…。」

「サリーが行くところまで行く!」

「二人は必要ない。…レイ、起きたのか?」


 話声で目が覚めた。

 寝起きでよく分からないが、昨日の件でもめているのだろうか。


「はい…今起きました。」

「おはよう、レイ。」

「おはよ!」


 マキアとメイが抱き着いてきた。

 昨日のハグ大会が継続中なのだろうか。

 遠慮せずに、堪能させてもらう。


「無茶しないって、約束したよな?」

「はい。大丈夫です。」


 大丈夫そうな気がするから、まぁ大丈夫だと思うし。

 とりあえず、忘れないうちに、この家を転移地点に登録する。

 あと起きたから、息を止めて水魔法で体と服とベッドも洗う。

 それから、光魔法の循環でごはん代わりと。

 2回目ながら、こちらの生活に手慣れた感が出ている気がする。

 魔法でなんでも済ましてしまう手軽さもあるが、自分がこちら側にかなりなじんだ証拠なんじゃないか?と、自画自賛してみる。


「レイ、ばかなの?」

「そんな。どうしてですか。」

「バカだもんー。」


 メイがすねたように唇を尖らせているが、可愛いだけだ。

 確かに、一緒に暮らそう?と言われて、大喜びで同意して、その後すぐに危険地に行くことを自主意思で決めたのは、不義理だったかもしれない。

 それでも、今後のことを考えれば、悪くない手段だと思っている。

 それに、昨日の戦闘訓練で魔法を使う感覚を覚えたようで発動も楽な気がするし、直感の感じ方も分かってきた気もするので、それほど危険を感じないのだ。

 一応、アサの話を聞いてから決めるけど。

 全然最強にはなれなかったけど、幸運・直感による危機察知・確率操作で、おまけの攻撃無効と転移と来れば、回避チートな並びだろう。完全体パーフェクトボディとかいうインパクトのあるスキルに惑わされて、無敵かもしれないと思ったのが間違いだったのだ。

 このスキル構成で、逃げることについて負ける気がしない。


「もう、行く?」

「そうですね。あ、私が出るなら果物は出して置いた方がいいですよね。半分くらいは持っていていいですか?」

「全部持って行っていいわ。何かあった時の薬としても必要でしょ?」

「ありがとうございます。でも、流石に全部は…ある程度は置いていきますので、みなさんで食べてください。」

「気にしなくていいのに。」


 寝室を出て、机とソファーがある部屋に行き、お土産の一回分として渡してきたくらいの量を出す。

 サリアーノとかお隣にも他に住んでいるようだが、それは二人から渡してもらえるだろう。

 もしくは、帰って来てから渡せばいい。帰ってきた時に全部使って無くなっていたら、また取りに行ってもいいよな。


「これでいいですね。では、アサの所に行きます。転移地点の登録をしてあるので、一人でも行けますけど、どうしましょう。」

「うー。」

「私も行くわよ。」

「俺も一人で行けるけど、ついでに連れてってくれ。」

「分かりました。…メイ、虹種族はこちら側を離れるのは危ないのですよね。サリアーノは来てくれるようですが、無茶はしてほしくありません。私も無茶をしないので、待っていてください。」

「うー。」


 うなりながら頬を膨らませたメイの頭をなでる。

 このまま置いていくのはつらいが、連れて行くわけには行かないし、あまり長く開けると嫌われそうだ。出来るだけ、すぐ帰ってくる。そうしよう。

 名残惜しいが、メイから手を放し、アキアとサリアーノの手を握りアサの所に転移した。





 転移した先は、相変わらず長机と椅子が置かれた真っ白な部屋だ。

 誰もいない。見回していると、すぐに奥の白い壁をすり抜けるようにアサが出てきた。


「よく来たね。レイ、人間側に行くんだって?」

「はい。そのつもりです。今日は話を聞きに来ました。」

「まぁ座って。先に理由を聞いてもいいよな?」


 前回と同じ勧められ椅子に座る。マキアは隣に座り、頭に重さを感じたのでサリアーノが頭に乗ったのが分かった。

 

「そうですね。まずは、聞いているかもしれませんが、マキア達と同棲することになりました。」

「はぁ!?なにそれ。聞いてないぞ!たちって…その頭の妖精か?」

「いいえ。別のメイという可愛い少女の妖精の2名とです。彼は付き添いで来てくれたお隣さんです。」

「なんだそれ!…レイって性別どっちだっけ?」

「それは、見ての通りですよ。鑑定もしましたよね?失礼ですよ。」

「それは…いや、違うだろ!そうじゃなくて…。」

「前回別れた後に、マキアとメイと温泉に入ったりといろいろあり、とても仲良くなり、同棲をすることになったのです。」

「な!?え、うらやましい…いや、人のこといえないか。でも…。」


 予定通りにアサを羨ましがらせて満足したが、小声でぶつぶつ呟き続ける様子に、放置して話を続ける。理由を言い終わるまでに戻ってくれればいいだろう。戻らなかったら、どうしようか。


「そういうわけで…マキアが半月後にこちらに来たら、一緒に居れなくて寂しいじゃないですか。だから、戦争を止められたら止めたいと思いました。無理でも、今のあちら側は様子がおかしいようなので、どうなっているのか情報を調べてきて、こちら側の危険を減らしたいと思っています。」

「え!?そんな理由なのか!戦争を止めるとか、どうやって!?」


 そんな理由って…ただ観光したいだけと思われていたのだろうか。

 戦争を止める方法とか…言葉に出そうと思うと無理そう過ぎて言いづらい。


「ええと、その件で聞きたかったのですが、人間はこちら側に来ると死ぬと聞きましたが、人間側はそれを知っているのですか?」

「え?それは…聞いたことないから、知らない可能性もあるな。」

「ありがとうございます。それなら、もしその事実を知ったら戦争をやめてくれる可能性はありませんか?こちら側の領地を手に入れても、入れないのでは無意味ではないですか。」

「うーん。信じたら止める可能性があるかもしれないけど、信じさせるのは無理じゃないか?だいたいにして、入ったら死ぬなら、魔族も防衛の必要が無いだろ。わざわざ迎撃してるんだから、説得力はゼロだ。」

「それは…。」


 そんなこと考えてなかった。

 確かに、入れないならなんで防衛してるのかという…。

 隣のマキアを見ると、説明を求められているのが分かったようで、頷いてくれた。


「人族には奥に近くなると危険だけど、そこまで入る前に結界があるから死ぬことはないわ。

 その結界より手前で守っているのは、その結界に拒まれた人族が結界を壊そうとしたからよ。

 壊れることはないと思うけど、あまり結界に負担をかけたくないから近づけたくないの。

 あと、異世界人は中に入れるから、中で戦闘になるのを避けるためよ。」

「そうでしたか。」


 結界の話は初めて聞いた。これをこのまま伝えても、結界に攻撃されるのを嫌がるなら、もっと奥を攻撃するのが有効だ!とか、今後は異世界人に潜入させよう!とか、思われてしまうだけか。


「人間に、説得は無理だと思うな。」

「そうですね。…アサは、人間側がどうしてこの土地を狙っているのか詳しく知っていますか?」

「戦争の理由?詳しくは知らないが、ここが聖地だから奪還するんだってことだろ。

 …あとは、なんだったか…人間は昔ここに住んでいて、国を作って戻ろうとしたら帰れなくさせられた。だから、魔族は悪い奴だ!とか?

 …あと、確か、ここは聖地で神様が居るから連れ戻そうとか、ここから魔獣があふれてきたから魔族は人間を滅ぼすつもりだとか、魔族は強いのは聖地に居るからで人間も聖地に行って強くなろうって言ってるやつも居たかな。

 どれも民衆を徴兵するための話だろう?どうせ、近くに良さそうな土地があるから奪ってやろうってくらいにしか思ってないだろうさ。

 勝ち目の無い戦いを延々と続ける馬鹿に話し合いなんて無駄だと思う。

 まぁ出来るなら、異世界人召喚の技術を潰せればいいんだけどな。そうしたら、諦めるんじゃないか?」


 …聖地に居る神様って、主のことか?主が作ったのなら、人間が昔ここに住んでた可能性は高い。

 魔獣は分からないが、魔力濃度の高いこちらの土地だと強くなれるのか?それとも、寿命のない魔族が長く修練したから高ステータスという可能性もある。

 言い分の全てがおかしいとは言わないが、民衆に対して大義名分を作るための適当な理由の可能性もあるのか。

 やっぱり、話し合いで戦争止めるとか無理かも。


「そうですね。情報収集メインで、異世界人の召喚をどうやっているかとか、その情報を潰せるかとかを調べた方が良さそうですね。」

「俺もそこの所知らないままこっちに来たから、もし調べられたら調べてほしい。

 サイトも俺も日本人的な顔だから、この世界だと目立つし、顔バレしてるからな。助かるよ。」

「アサは、私が調査に行くことは反対ではないのですか?」

「全然?空間魔法で逃げれるだろ?顔バレしてないし、普通にしてて警戒する奴もいないだろうし…まぁ、いろいろ調べようとしたら危険かもしれないけど。」

「普通にしていればいいのですね。わかりました。あと、危険って洗脳ですか?」

「そうそう。相手を見れないから、スキルの詳細と構成とかを鑑定できないのがつらいな。俺なら、隠蔽と鑑定で確認して転移で退却のコンボが出来るんだけど…レイは、とにかくヤバくなったら退却でいいんじゃないか?」

「わかりました。」


 とりあえず情報収集ということか。

 半年に一度行っている召喚とか…資料がたくさんありそうで潰せる気がしないが、運よく秘匿されて纏まっているかもしれないし、あと洗脳能力についても、運よく異世界人のレアスキルとして詳細が噂されているかもしれない。

 そのあたりを、危険がない程度に探ってみようと思う。

 アサから普通にしていれば大丈夫というお墨付きをもらったので、さっそく転移をお願いしようと思った。


「レイ、人族の所に行くんだってな。」

「え、なんで居るのですか。」


 声に振り返ると、サイトがいた。

 なぜかアサも嫌そうな顔をしている。


「メイから聞いてな。危険を減らすためにもう一回戦闘訓練をしてやってほしいと言われたからな。

 ハハハハ!サリアーノがここに居たのか。転移出来ないから、走ってきたぞ。」

「い、今からですか…?」

「そうだろう?行く前にと、メイに頼まれたからな!ハハハハ!」


 ごめんメイ。善意なのか、嫌がらせなのか分からない。

 この訓練という名の、精神的苦行から逃げられる気がしない。回避チートどこ行った。

 とりあえず、早く帰るようにして、置いてきたことをめちゃくちゃ謝ろうと思う。

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