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警戒していないそうですが、決めました

 話しながら着いた先は、石造りの家だった。

 マキアかメイの家だろうか?それともサリアーノの家か?

 他の誰かを紹介される可能性も、あるかもしれない。


「ここは、あたしとマキアで住んでるよー!」

「ありがとうございます。」


 思念読取だろうか。便利だな、これ。

 そう考えると今までも、質問の意味を読んでメイが答えてくれた事があったかもしれない。

 メイを見ると笑っている。かわいい。


「そうよ。私は半月後にはダルと交代で行かないといけないけど、レイも一緒にここで住みましょ?」

「嬉しいです!よろしくお願いします!」

「よろしくね。レイ!」

「一緒ー!」


 二人に案内してもらうだけでなく、これから一緒に暮らせるなんて…最高!

 クール美人とキュート妖精との同棲!これが、異世界生活!

 ほんとに、転生して良かった!

 前のめりな返答に、隠しきれない(隠すつもりは一切無い)喜びが伝わったようで、マキアとメイに抱きしめられた。

 ああ、なんて幸せなんだろう!


「俺もいるぞー!」

「サリアーノも、ぎゅー。」


 混ざっていなかったサリアーノを、マキアが捕まえてハグ大会に混ぜる。


「レイヤードも、俺を頼ってくれていいぞ!」

「ありがとうございます。…サリアーノも、ここに住んでいるのですか?」

「俺は隣に住んでるんだ。」

「マキアがいないと、サリーの所に行くの!」

「メイシーが一人になっちゃうから、サリアーノと一緒にいてもらっていわ。」

「だから、俺の所に来ていいんだぞ!ダルもいるけど!」


 マキアから飛び出してきたサリアーノが眼前を飛んでいる。

 王子様カラーの美少年妖精に、頼っていいとか俺の所に来いとか言われると…にやける。

 マキアがしていたように、捕まえてハグをする。

 さっきより柔らかくないのは諦めろ!でも、気持ちだから!


「うれしいです、サリアーノ。頼らせてもらいますね!」

「いつでもいいぞ!」

「サリアーノは、ダルと住んでいるのですか?」

「そうだ!家には他にもいるけど、部屋はダルと使っているからな。」

「そうでしたか。ぜひ、伺いますね。」


 マキアがいない時にサリアーノの部屋に遊びに行くと、もれなくダルも付いてくるは…お得過ぎる。

 メイとサリアーノは、ちいさ可愛いからいいとして、マキアやダルの所に泊めてもらうのは性別が気になってくるが、そこは無性体の自分だ。

 問題ない。むしろ、男にも女にもなれるし、お得過ぎる。

 

「よかったねー。」

「なんだ?ダルが好きなのか?」

「え?みんな素敵で好きですよ。マキアとメイはずっと一緒にいてくれて、可愛くて優しくてとーっても大好きですし、サリアーノのことも、好きになっちゃいましたよ?」

「嬉しいわ!」

「ぎゅー!」

「そうなのか?」

「もちろんです。思念読取してないのですか?」

「いいのか?」

「もちろんです。」


 顔が良くて、性格がよさそうで、あと優しくされたら普通に好きになる。

 恋愛感情的には難しいが、いい人だなぁ好きだなぁとなるのは仕方ないだろう。

 これが、難しいことを考えていない思考回路かもしれないが、思考を読まれても何の問題もない。

 マキアとメイにギュギュっと抱き着かれてフィーバーしている思考を読むがいい!

 と、構えていたが…サリアーノが頭上を飛んで虹色の粉をかけてきた。

 目で追いかけていたので、粉が目に…いや、光が目に入った。2回目だ。

 そうか。この光を浴びると一緒に転移できるようになるなら、思念読取にもこの光が必要だったのか。

 少し考えれば分かったかもしれないが、全然学べてなかった。

 無駄にお粗末な思考回路を公表してしまった。

 両想いでハッピーエンドってくらい上がっていたテンションが、少し下がった。

 こんな思考をメイにさらしていたとか…カッコ悪すぎる。


「レイ、大丈夫だよ?」

「ありがとうございます。」


 微笑むメイはカワイイし、なにかあったの?とでも言いたげに首を傾げたマキアも可愛い!

 二人をギュギュっと抱きしめる。

 幸せー。


「俺の事考えて無いじゃん!」

「そんなことないですよ。」


 サリアーノもハグに加わってくれたら、カワイイ成分が増えてもっと幸せになれる。

 間違いない。


「カッコいい!」

「そうですね。カッコいいです。」


 …サリアーノに訂正されてしまった。

 そう、王子様カラーのカッコいいサリアーノも、ハグに混ざってくれてたら嬉しい。

 今なら、マキアとの間に挟んであげよう。

 さぁ!サリアーノ、おいで!

 サリアーノに向けて、にっこりと微笑みかける。


「なっ!」


 赤い顔になったサリアーノが、ぐるぐるとしばらく上空を舞った。

 そのままハグに混ざるかと思いきや、頭の上に乗られた。


『お前、面白いんだな』

『お褒めにあずかり、光栄です。』


 頭の中に直接サリアーノの声響いた。

 サリアーノと繋がっている感覚。これが念話というやつなのだろう。

 一言交わしただけで切れてしまったが、なかなか面白かった。


「あはは!…サリー…あはははは!」


 なんだ?メイが爆笑しだした。

 サリアーノは頭に乗っているため、顔が見えない。

 頭に少し重みを感じるが、重いというわけではない。

 見えないが、今頭に妖精が乗っていると思うと、少しテンション上がってくるな。


「いいな…。」

「え?今、何かいいました?」

「メイシーもレイもここに居るなら、私もずっとここに居たいわ。」

「それは…。」


 メイと一緒にマキアを強く抱きしめる。

 半月後のことだが、マキアが警戒任務で会えなくなったらさみしい。

 一応転移も使えるし、マキアについて行くことも出来るかもしれないが、そうするとメイを置いていく事になってしまう。

 戦争とは、なんてひどいのだろう。こんな形で幸せを引き裂くなんて…!


「俺も外には付いていけないからな…。」

「戦争が無くなれば、マキアは任務でここを離れなくていいのですか?」

「そうね。人族が早く諦めてくれればいいんだけど。」

「戦争ということは、人間たちは何か要求があるのですよね?」

「よくわからないが、ここから出ていけって言っているようだぞ。」

「ここから出られないんだよ。」

「私たちは、ここから出ては生きられないの。影種族は比較的にましだから、半月交代で警戒しているけど、虹種族は特に…。」

「外には出ないんだよ?」

「俺らは特に、外に出ないように言われてるんだ。」

「そうだったのですね。」


 こちら側から出ると死ぬらしい魔族と、こちら側に来ると死ぬらしい人間。

 領地を争って戦争しているなんて、絶対におかしい。

 両方を作った主も、争いを望んでいないようだし…どこかで、話が絡まってるのかもしれない。

 もし、誤解が解けたら戦争はなくなるのだろうか?

 人間側の偉い人と話して誤解を解くのは難しそうだが、出来るか試すのもいいかもしれない。

 基本的には最強系のスキルだし、最悪転移で逃げ帰ってもいいし…。

 すでに戦争中なのだから、これ以上の最悪もないだろう。

 こちら側で自分に出来ることが無いなら、人間側を観光がてらに偵察して誤解が解けないかやってみるのがいいだろう。


「私から言い出したことだけど、あまり気にしないで?休みの間だけでも、一緒に居られれば、それだけで嬉しいから。」

「いいえ…。ちょっと、人間側に行ってみようと思います。」

「え。なんで?」

「おい!危険なことはさせられないぞ!」

「レイーここに居よ?」

「はい、ここに居たいです。だから、ずっと一緒に居られる努力をしたいです。」


 マキアとメイとのずっと一緒の生活。

 そんな未来が見えたのに、何もせずには諦めきれない。

 二人やサリアーノがいてダルもいて、その他、たぶん美形に違いないマント達と美少年少女妖精に囲まれて、異世界生活を楽しむんだ!

 主の目覚めはまだ先のようだから、もう自分が動くしかない!

 神様っぽい少年様、寝ている主様、他に居るなら神様仏様。どうか上手くいって幸せになれますように。

 そう祈った。

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