センスがいいようですが、警戒していないそうです
メイをかわいがりながら、皆で話し、気付くと机の上の果物が無くなっていた。
そこでお開きになることになった。
メイだけでなく、自分やマキアもつまんでしまっているので、同じくらいずつ追加で置いてきた。
「こんなにくれてありがとー。」
「ありがとなの!」
「うれしいの!」
「いつでも、また来てね。」
「そうなの。」
「歓迎なの。」
「ありがとうございます。」
「ただ、あのことは気を付けて欲しいの。」
「くれぐれもよろしくなの。」
「わかっています。でも、サイトがそんなに執着してるなら、今更隠しても遅いのではないですか?」
よく考えれば、あのサイトである。
ダメと言われても家探しするくらい気になったのなら、めげずに何度でも突進しそうだ。
自分の中では、サイトのイメージはそうなっている。
「大丈夫だよー。」
「もう、忘れてるから。」
「良く来るけど、もう話さないの。」
「外で遊ぶようにしてるの。」
「…そうでしたか。」
そうか…。闇属性は精神干渉だったか?
闇種族というくらいだし、そういうことが得意なのかもしれない。
本当に、気を付けるようにしよう…。
「そろそろ行きましょう?」
「行こうー!」
「あ、すみません。最後に一つ気になったのですが、人間も主が作ったのですか?」
「そうだよ。」
「間違いないの。」
「争うのは望んでいないの。」
「…そうですか。答えてくださり、ありがとうございます。では、行きましょうか?」
「いいの?行くよー!」
それにしても、まさか人間も魔族も主が作ったとは…なんで、戦争なんかしてるんだ?
もしかすると、主が起きたら戦争って終わるのか?
いや…人間側が侵攻しようとしている理由によるか。
争うことを望んでいないなら、今の状況は主にとっても残念なんだろうな…。
なんて、勝手に親近感を感じた主について思いを馳せるのはそこまでだった。
※
メイの転移で移動した。
移動場所は、マキアとメイの里である。
言い方を変えると、影種族と虹種族の里である。
つまり、先ほどの館で話題になった、かわいい虹種族…妖精がいっぱいいるのだ!
転移した位置は里の中だったようで、家が見える。
昨日泊まった家の木だったり、普通の木の家だったり、石や土なのか陶器っぽくも見えるような材質でできた家もあった。
そして前情報通り、見渡せばマントと妖精が!
…マント…皆フードを被ってて、高いと予想する顔面偏差値を覗けない…。
ともあれ、妖精である。
一人の虹種族がこちらに飛んできた。
「メイ、おかえり!そっちが、噂の?」
「そうだよ!連れてきたよー!」
「俺、サリアーノって言うんだ!よろしくな!」
「レイヤードです。よろしくお願いします。」
「おう!よろしく!」
金髪碧眼の美少年妖精。ちっちゃい手と握手をした。
かっ…かわいいー!
「ところで、メイとサリアーノの関係を伺ってもいいですか?」
「仲良しだよ!」
「そうだよ!」
「ええと…ちなみに、マキアとダルの関係は?」
「私?うーん。親戚というかご近所というか…そんな感じよ。」
もっと、なんかこう…いや、どんな回答を求めていたのか分からなくなった。
増えなくなっているようだし、200年も同じ里で暮らせば、皆顔見知りの仲良しで、親戚みたいな感じになるのかもしれない。たぶん。
たぶんこれ、質問を間違えた。
そう、マキアとメイの里と言うから、二人の関係者がいるのかと思ったが、よく考えればみんな関係者みたいなものかもしれない。
「そうでしたか。そうえいえば、ここには村長みたいな偉い人がいますか?」
「みんな一緒だよー。」
「そうね。まとめ役っていうなら、その時々ね。今は、ダルが人族の警戒をしているから、一番優先かしら?次は、レイと一緒にいる私?」
「そうなのですか?」
「そうよ。一応優先順位が無いと混乱するから。」
「ええと…種族間念話の優先ですか?」
「そう。」
なるほど。どんな感じかはわからないが、グローバル回線で会話しているようだから、みんな好き勝手しゃべったら混乱しそうだ。
人間の侵攻を警戒しているダルが優先なのはいいとして、自分と一緒にいるからマキアも優先されるって…警戒されてるなぁ…。
「もしかして、マキアとメイは強いのですか?」
「俺も強いぞ!」
「そこそこかしら?」
「どうしてー?」
「え、私って警戒されているんですよね?もしかすると、襲われるかもしれませんよ?」
「警戒してないよー。」
「最低限だけよ。だからメイが付いているんだもの。」
「それは、どういうことですか?」
「人族が異世界人を送り込んでくるのは知ってるから、虹種族が利用されていないか一応見てるんだ。」
「レイは大丈夫だよー。」
「基本的には、異世界人はお客様よ。レイもお客様で、仲間よ?」
「ちょっと待ってください。…メイが、私を危険じゃないと判断したのですか?」
「そうだよー?」
「それは…ええと、ありがとうございました。」
「どういたしましてー。」
にぱりと笑ったメイはかわいい…。
じゃなくて、どうして虹種族が判断できるんだ?
仲良くしていきたいと思っているから、危険が無いと思われているのはいいんだが…言っちゃ悪いが、メイの判断だけで大丈夫なのか?
「種族スキルなのー。」
「俺たちは、思念読取出来るぞ!メイが気に入っているなら、レイヤードはいいやつなんだろ?」
「そうだよー。レイはいいの!」
「サイトはうるさかったからなー。俺も苦手だった。」
「サイトうるさいー。」
「それって、思念読取で読み取れるものが、ですか?」
「そうだよ!」
「そうだぞ!」
「そうらしいわ。よく分からないけど、サイトはなんだか難しいことをいっぱい考えているみたい。
サイトが苦手な虹種族は多いわ。」
「…そうでしたか…。」
思念読取とかびっくりだけど、どうせ自分なんて大して考えていないから、それで警戒が解けたならまぁいいかと思った。
ただ、サイトがうるさいっていうのは、いろいろ考えているって意味だったのか。
頭の良さで負けたような気が…いや、全然。
それで、妖精から嫌われるとか、残念だったな!
メイ達に嫌われない単純思考、万歳!
…ちょっと、むなしい気がしたのはなぜだろう…。
っていうか、サイトの逸話が多くないか?本当にあいつは何をやってんだ?
もしかすると、この辺りに住んでいる魔族は皆主が作ったから、異世界人でインパクトあるサイトが、いい意味ではあまり聞かないが刺激になっているのかもしれない。
異世界人なのに、虹種族に刺激を与えられない自分って…。
今朝サイトに負かされたこともあり、自分の中の小さな負けず嫌いが騒ぐ。
何か魔族側にインパクトを与えられないかと考えているが、一発ギャグとか?なんか、ネタとかやってみるか?いや、そんなセンスないし無理だろ。もしそれでインパクト与えられたとしても勝てた気がしない。
よく考えれば、いい意味での刺激を聞かなかったから、サイトのインパクトはマイナスか?
それなら、プラスマイナス0でも勝てるか。
イメージの中で勝利したが、低レベルな戦いだった。
とりあえず、満足はした。
「あはははー!」
メイが笑っている。
もしかして、今のも思念読取で聞かれたのだろうか?
ちょっと恥ずかしかったかもしれない。
思念読取恐るべし、だな。




