最強にはなれませんが、考えるのをやめました
「レイ!ルルリリの所に遊びにいこー?」
「ルルリリですか?」
「昨日行こうとした奥の館に住んでいる光種族よ。」
そういえば、昨日は寄らずにここに来たな。
光種族と闇種族…楽しみだ。天使とか悪魔とかそういう感じなのかな?
「あいつらの所に行くのか。種族についてはあいつらが詳しいから、聞きたい事があれば聞いてみるといいぞ!…俺も、ついでに行こうかな?」
「サイトうるさいー。」
「サイト!今日は止めてくれないか?レイも可哀想だし、僕もアストロリアもここで用事があるから!」
「巻き込むのはやめんか。この阿呆の世話する気はないぞ。」
「メイがいれば、別にいいだろう?」
「あそこに入り浸ってばかりじゃないか。もう少し、頻度を減らそう?」
「仕様がないな。後日にしよう。」
何とかサイトから離れることが出来そうだ。
悪い奴では無いのは分かるが、やっぱり苦手である。
サイト係のユーラスに任すに限る。
「ユーラスとロ…アストロリアの用事って何ですか?」
「僕は植物魔法でここの家たちに不具合が無いかの確認と、あと畑の成長促進かな。」
「同じだ。付与魔法で石の点検と補給というところよ。」
「付与魔法ですか?」
「土種族の種族スキルなんだよー。」
「ふふふ。本当は僕らも昨日終わらせる予定だったんだけどね。」
「何かあったのですか?」
「異世界人が来たので、警戒しておったのだよ。」
異世界人って…自分か!
「そうなんだよ。影種族に状況を中継してもらって、話を聞いていたけど、来たのがレイで良かったよ。」
「ハハハハ!俺は、久しぶりに異世界人と戦えると思っていたのだがな!結局今日戦えたから問題なかった!」
「え、サイトと戦うことになりそうだったのですか?」
「うむ。こちら側についているので、侵攻があった時には俺が出るようにしているんだ。せっかくの戦う機会だしな!」
「…そうでしたか。」
つまり、初めの影種族に囲まれたりしたときとかに、不審な行動や敵対行動をとっていたら…指導じゃなくてガチのサイトと勝負…これ、死んだんじゃないか?
無個性なマント集団には驚いたが、あまり危機感を感じなくておとなしくついて行ったが、本当に良かった!
「レイは大丈夫だよ?ねー!」
「そうよ。でも、そういう状況だから、私たちからあまり離れないでね?」
「はい。わかりました。」
薄々気付いていたが、マキアとメイは監視だった。
自分としては独りじゃなくて、しかもこんな可愛い二人と一緒なんて、役得でしかないが。
そうすると、サイトにはサイト係のユーラスが監視なのかもしれないな。
なら、アサには誰がついているんだろう?ダル達影種族は周囲の警戒と言っていたが、アサも含めての監視なのだろうか。
「ハハハハ!メイがいれば、基本問題ない。あまり気にしなくていいと思うぞ!」
「そうだね。奥に行くんでしょう?行ってらっしゃい。」
「あ奴らにもよろしく頼むぞ。」
「サイトうるさいー。」
「伝えておくわ。」
「えっと。行ってきます。」
ともかく、二人と一緒にいれば、何も問題ないということだろう。
※
そして、転移した先は、温泉だった。
空間魔法のように、転移の登録場所が限られているのかもしれない。
「このまま歩いていく?温泉入っていく?」
「どちらでも、いいですよ。」
「じゃぁ、入っていきましょうか!」
「はいるー!」
昨日のように仲良く温泉に入り、温泉を楽しんだ後にあの館についたのは、だいぶ時間がたってからだった。
白い石でできた建物は、昨日も思ったが立派だ。
玄関の扉にはノッカーのようなものがあったが、それを使う前に開かれた。
「遅いよー。」
「待ってたよ!」
出てきたのは、天使と悪魔だった。
いや、光種族と闇種族なのか?
出てきた二人は、黒い髪と紫の目をした双子のように似た美人だった。
違うのは、天使のように見える白い羽毛の羽と、悪魔のように見える黒い蝙蝠のような羽。
光種族と闇種族と言われて思い浮かんだ通りだった。
「君が噂の異世界人だね?ぼくは、闇種族のラストだよ。」
「ぼくは、闇種族のロストだよ!歓迎するよ!」
「レイヤードです。よろしくお願いします。」
二人ともボクっ娘だった。というか…え、二人とも闇種族?
白い羽がラストで、黒い羽がロスト。
「ルルリリはー?」
「もう隠れてるよ?」
「早く見つけてあげて。」
「わかった!探してくる!」
メイが文字通りに飛んで行ってしまった。
ルルリリが光種族だったな。そういえば、ここには昨日と同じなら4人のはずだ。
残る二人が、ルルとリリってことかな?
天使っぽいのも悪魔っぽいも闇種族なら、光種族ってどんなだろう?
「ごめんね。メイ達、今かくれんぼしてるから、終わったら会いに来ると思うわ。」
「そうだねー。」
「とりあえず、中に入んなよ。」
「お邪魔します。」
中も立派だった。
壺などのよくありそうな置物や飾りは全く見当たらないが、大理石のようにも見える白い石の壁で、部分的に蔦か何かの植物のような模様が入っていた。
案内された部屋には、同じ白い石や木材でできた机とソファーなどの家具が品よく並んでいて、それらにも装飾の同じような模様が入っている。
今朝見たユーラスの作ったと思われる木から直接生えたような家具とは違い、なんだかいいお値段がしそうである。
「座って座って。」
「知りたいことがあったら何でも聞いて。答えられることは教えるから。」
「レイ。お土産渡して?」
「あ、はい。これお土産です。昨日、マキアとメイの三人で採ったんです。」
ソファーに座り、昨日採った果物を出していく。
今朝と同じく黄イチゴ20個くらいと桃を10個くらい。
隣に座ったマキアを見ると、頷いているのでこの数で良かったようだ。
「うわぁ。ありがとう!」
「こんなにもらっていいの?うれしい!」
「昨日たくさん採ったので…あの、果物ってそんなに珍しいのですか?」
「時々採れるけど、一度にたくさん採れるのは珍しいよ。」
「昔はもっと採れたんだけどね。」
「そうでしたか。」
やっぱり、果物は比較的レアのようだ。
喜んでいるようで、羽がパタついているのがカワイイ。
「そういえば、お二人とも闇種族と言っていましたが、羽は人によって違うのですか?」
「スキルは羽だから、どっちでも同じように飛べるよ。」
「人によって?闇種族は、ぼくら二人だけだよ。」
「闇種族と光種族は2人ずつしかいないのよ。」
「え?そうでしたか。え、でもお二人とも女性ですよね?」
「そーだよ?」
「違う種族の方と結婚することがあるのですか?」
「結婚?しないよ?」
「では、お二人が最後ということですか?」
「最後?なにが?」
「えっと、あの、種族を増やさないってことですよね?」
「ああ。ぼくらは人とは違うからね。勝手に増えたりしなよ。」
「ぼくら4人は、もともと調停用と護衛用に作られたからね。」
「増やすとすれば、主に作ってもらわないと。」
「え!?ちょっと待ってください。」
ええと。つまり、人のように生殖で増えない。主なるヒト(たぶん神様か?)に直接作られたってことか?
戦争で減って2人になったわけではなく、生まれた時から4人ってことで?
つまり、ここに居る闇種族と光種族も、原初の種族ってことか!?
「ここって、4人で住んでいるのですよね?皆さん同い年なのですか?」
「そうだよ?だって、一緒に作られたし。」
「では、年齢とか伺っても大丈夫でしょうか?」
「年?そろそろ200年くらい?」
「もう少しで200年かな?」
「え!?」
思わずマキアを見る。マキアとメイって200歳くらいだったよな?
で、原初の種族と思われる4人は200歳弱ってどういうこと!?
「私がどうかした?」
「いえ。あの、マキアってどうやって生まれたんですか?」
「私は、父と母から生まれたわよ。でも、もう他の種族も増えないように止められているのよ。」
「えっと…主という方に止められているのですか?」
「そうよ。」
「…ちなみに、その方に会うことって出来ますか?」
「ダメだよ。起きたら聞いてみるけど、まだ寝てるから。」
「無理だよ。だって、ずっと寝てるから。」
主って、たぶん神様だよな?寝てるって、違うのかな?
そういわれると、作ったって言い方が、ホムンクルスとかそういうことか?
でも、マキア達に増えないようにしたのも同じヒトなんだよな?
どういう関係なんだ?
「ええと。その方は、いつ頃起きるか分かりますか?」
「わからないよ。」
「たぶん、ずっと先かな?」
「…今、この館に居るのですか?」
「居るよ。」
「寝てるの。」
「その方はの髪の色は白ですか?」
「違うよ。」
「青緑色だよ。」
「そうでしたか。」
たしか、転生する時にあった神様っぽい少年はあの部屋と同じ白い髪だった。別人なのか?
昨日この屋敷を探査した時に合った魔力の塊は、4つ…つまり4人分。
その寝ているヒトは魔力が無いのか?古代人…とか?
魔族って、いやこの世界ってどういう文明になっているんだろう。
頭が痛くなってきたので、思考放棄しようとしたところで、扉がバーンと開かれた。
「ルルリリ見つけてきたー!」
癒しの妖精、メイの登場だった。




