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神の力  作者:
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 僕、神代(かみよ)(いつむ)は、ある神と契約している。

 神の名前はテュケ。運命の女神と呼ばれている神だ。

 現在この世界は、昔では神秘(しんぴ) と呼ばれていたことが、日常のように飛び交っている。


 原因は、理由はまだ不明だが、神が人類の持つ『気』がないと、現界できないどころか、存在することすらできなくなったことだ。

 そこで神が考えたのは、人類にその『気』を貰うということだった。

 しかし、(ほどこ)しを受けるというのは神の矜持(きょうじ)が許さない。プライドが高い神は、ならば、こちらの神の力の一部を使わせてやる代わりに、『気』を貰おうと考えた。

 そこで出来たのが、今では産まれた時に心臓に刻まれるという、神聖(しんせい)刻印(こくいん)だ。


 神聖刻印は、必要とされる『気』を受け取り、それを神の許へと送り、神の力を神から行使者へと送る変換装置のような役割をしている。

 しかし、神にも心はあった。まあ、それは「矜持が許さない」とか言っているのだから当然と言えよう。

 つまりは、目的や基準などがあるし、更には好みもあるということだ。なら、それで力の種類を分けてしまおうと人間側から打診した。

 そうして決まったのは、下から〈選抜(せんばつ)〉、〈好感(こうかん)〉、〈友誼(ゆうぎ)〉、〈愛着(あいちゃく)〉、〈強奪(ごうだつ)〉、〈恋慕(れんぼ)〉と呼ばれた。


 〈選抜〉の儀によって選ばれた者は契約し、「選力(せんりょく)」という力を使えるようになる。『気』を使うことによって、神の力のほんの一部だけを使えるといった、一般的の力だ。

 〈好感〉というのは、ただ選ばれるだけでなく、その中でも気に居られた場合に好感の儀いよって契約し、「好力(こうりょく)」という力が使えるようになる。これは「選力」よりも同じ『気』の消費量で、それよりも大きな効果出すことが出来る。

 しかし、何回も言うが、神にも心はある。そのため、最初はタダの選ばれてだけの者、つまり〈選力〉の者でも、〈好力〉を使えるようになるということだ。

 つまり、力は伸びないわけではなく、認められればそれによって力も増していくのだ。


 しかし、ここまでは本当に一般的…誰にでも習得できるような範囲だ。この上ももちろんある。

 友達のような関係になることで、友誼の儀を行い契約することで使える「友力(ゆうりょく)」。

 長い間友誼を結んでいたり、特に気に入られたりすると、出来る愛着の標を貰え、それによって使えるようになる「愛力(あいりょく)」。

 たまに現界してきたり、ある条件を整えると降臨する神を倒すことによって、使えるようになる「強力(ごうりょく)」。

 神と友達以上の関係になることで、恋慕の儀が出来る。その契約によって「恋力(れんりょく)」が使えることが確認されている。

 しかし、それにも当てはまらない力があることを、ほとんどの人間は知らない。


 「つまり、恋力が一番『気』の効率良く、効果を出すことが出来るということだ」


 教壇に立つ、教師がそう結論づける。

 僕は、これ以外の力を知っている。現に、僕がした契約は神愛の儀。使えるのは「愛力(あいりょく)」。読み方は、愛着の力と同じだが、効果は全く別物だ。

 何故なら、『気』を消費せずに「恋力」異常の効果を発揮できるのだかrあ。


 神にとって命の源ともとれる『気』を、講師に必要としないのにはわけがある。

 この神愛の儀によって契約した契約者と神は一つとなるのだ。

 これは、別に契約者が神になるわけではない。わかりやすいように説明すると、憑依に近い形だ。

 しかし、現界に『気』を消費せずに出来るというのが強みだ。


 (―まあ、お姉さんみたいな物好きでない限りこんな契約しないだろうしねぇ~。これは、本当に最終手段。『気』の取り込みをしなくていい代わりに、ほかの契約者も作れなくなるから……)


 いや、僕もいずれは死ぬんだけど……。


 (―その時が、お姉さんの死ぬときってことだねぇ~)


 今、急にこの神がヤンデレに思えてきた。

 今の言葉はまさに、心中する相方の言葉だろう。


 (―いや、お姉さんそんな重くないよぉ~。確かに、最近シュークリームとか、ケーキとか食べ過ぎて……いや、この話は止めよう。そんなことより、お姉さんは、すんごく軽い女だよ)


 つまりはビッチということか。

 やはり、なんぼ切羽詰まっていたからと言って、こんな神にしなくてもよかったかもしれない。


 (び、ビッチーーー!?いや、お姉さんまだ始めては残してるよ。そんな軽い女じゃないよぉ~………ってあれ?話がループする気がするんだけどぉ……)


 あ、やっと気づいたようだ。

 まあ、(頭が)軽い女ということで妥協してあげることとした。




 言っていなかったが、今僕が通っているのは神立の高騰学校で、日本に86つある。神立というのは言葉通り、神の命令で作られたものだ。

 そして、日本に47つある神立大学に行き、卒業するまでが、義務教育と法で定められているのだ。

 その後の進路は、そのまま就職する人もいるし、もっと力について研究したい、学びたいという人は大学院(神立)に行く人もいる。

 そして、軍学校というものもあり、そこに入学する人もいる。

 そこで、優秀な成績を残せば、高い地位を貰えるようだ。軍は、現在では高給取りでとても人気の職業だ。一番下っ端でも普通の会社員などの3倍は貰える。それこそ、高い地位などに着けば、大きな会社の社長などと肩を並べれるかもしれないほどだ。


 (―まあ、その分~危ないからねぇ~)


 「言われなくてもわかってるよ。僕が死んだら、テュケも一緒に道ずれだ。……危ないまねはしないよ」


 (お姉さん的にはぁ~、カッコいいいっちゃんが見れるなら死んでも構わないんだけどねぇ~)


 「本当に、軽いないろいろと」


 愛はそう言って笑う。

 しかし、それは信頼からくる言葉であり、絶対護りとおすという気概も感じられる表情であった。

 そう、今となっては唯一の家族なのであり、不幸な運命から救ってくれた女神であるのだから。

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