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連奏恋歌〜求愛する贖罪者〜  作者: 川島 晴斗
第二章:異世界からの来訪者
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第6話:反省会

 レジスタンス達との交戦により、外出は中断となった。

 ミズヤの【無色魔法】によって浮かされたレジスタンス達が城内に連行されて地下牢へ連れてかれ、城下町に出ていた皆は皇帝と多少話をしたのち、今後についての作戦会議のため、一度クオンの部屋に集まった。


「で、貴方はそのテーブルをどうしたんですか?」


 クオンが城へ入る前から気にかけていたミズヤの持つテーブルについて問う。

 レジスタンスの残った2人を倒した、真っ白で長方形のテーブルであった。


「ふふーん、奮発して買ったのですっ! サラが気に入ったんだよ〜?」

「はぁ……で、いつまで持ってるんですか?」

「だって部屋に行けないんだもん……。【赤魔法】で筋力上げてるから重くないよ?」

「置いていいですから。私の部屋だからって気にしなくていいですから。むしろテーブル持って両手上げられてると気が散るんですよ」

「えー、じゃあお言葉に甘えまして……」


 ここで漸くミズヤはテーブルを置いた。

 部屋の隅に立てかけ、4人で改まって座る。


「不甲斐ない姿をお見せして申し訳ありません、クオン様……。(わたくし)が本気を出していれば、あんな奴ら一瞬で……」

「ケイクはドライブ・イグソーブを使ってくださいよ。確かに【火花の鎧(スパーク・アーマー)】自体は良い技ですが、威力が弱い故に今回のようなこともあります。ドライブ・イグソーブの魔法弾なら岩をも砕く威力ですから。ね?」

「……承知しました」


 完全復帰したケイクはクオンに頭を下げ、それから顔を上げることはなかった。

 1人で全員倒す――その力がケイクには、あった(・・・)

 それでも戦時において死にかけた事実がつきまとうのだ。


 クオンは彼自身にこれが成長の兆しだと信じ、彼には何も言わなかった。


「ヘリリアもありがとうございました。貴方がいなければケイクも死んでましたからね」

「そっ、そんな……私なんかにはもったいお言葉で……。ゴミみたいな私ですみません、本当にごめんなさいっ!」

「……なぜ貴方が謝るのか不思議で仕方がないのですが」


 土下座をするヘリリアを見て、主のクオンはため息を吐き出す。

 性格に難がある側近達には悩みを抱えずにいられなかった。

 特に――


「ミズヤ。貴方、側近だって自覚ありますよねぇ?」

「側近で〜すっ」

「……じゃあなんで私の元を離れたんですか?」

「えと、街で買い物できるのが久し振りで、つい……」

「……はぁ」


 ミズヤはずっと犯罪者として、身を潜めて生きてきた。

 その事を知っているクオンとしては、1歳年下のミズヤの言葉には情状酌量の余地があると判断する。

 判断しないこともできるし、本来は判断しないべきだが、これはまだ初回の試し撃ちみたいなもの。


「守られる側の私がこう偉い事を言うのも悪いですが、今回は全員無事ですし、及第点ですかね……」


 クオンはそう判断を下すと、今後のことについて1人ずつ語るのだった。


 ケイク、ミズヤの両名は対人戦が得意であるとし、2人で腕を競ってその中にクオンも修行として交わること。

 ヘリリアは戦闘も可能だが、あまり人に向き合う性格ではない故、回復役としてミズヤ達の鍛錬後、怪我を治すなど。


「そして、特に用がない限りは常に私の隣にいる必要はありません。今回のように外出する時等は全員確実に揃うように。トメス兄様もお姉様もそうしてますし」

「はーいっ」

「納得するなバカッ!」

「にゃーっ!?」


 快く返事するミズヤの頭をケイクが殴る。

 ミズヤはそのまま倒れ伏し、サラが彼の顔を舐める。

 倒れるミズヤに変わってケイクはズイッと身を乗り出し、クオンに言及した。


「お言葉ですがクオン様、城内とて敵が潜んでいないとは限りません。単独行動は危険です」

「それならとっくに私は死んでますよ。今までだって、単独行動ばかりしてましたから」

「そうかもしれませんが、我々が側近になったからには一人歩きなどさせません! そうだろ、ミズヤ、ヘリリア!?」

「僕はどっちでもいいよ〜」

「わ、私なんかがクオン様のお側にいるなんて……あぁぁああ」


 意見の不一致により、どんよりとした空気が舞い降りる。

 それよりも2人の不真面目な態度に、ケイクの額には青筋が浮き出ていた。


「まぁ、そういう訳で却下です」


 提案は取り下げられ、反省会も終わりを告げるのだった。




 ◇




 近頃の雪解けにより、隠れていた草は姿を見せる。

 太陽のまばゆい日差しのもと、開けた空き地にて、1人の少年が立っていた。


 少年はワイシャツにスラックスといったラフな格好でありながら、その身に似合わぬ槍を持っていた。

 全長およそ2mの白く、円錐状の槍を空に掲げる。


「ふぅっ……」


 短く一呼吸、そして――


 バチッ!


 少年の姿は消え、カランと音を立てて槍が落ちた。

 だが、次の瞬間には槍の隣に少年が座っていた。


「……ふぅ。【コンデンサ・スピア】、ちゃんと中に極板が入って真空だ。魔法を使ってんだから当然か……」


 コンコンと槍を叩き、拾いながら立ち上がる。

 拾った槍の構造は、内部に絶縁で覆った空洞があり、中に2枚の金属板が入っている。

 それは所謂(いわゆる)コンデンサと呼ばれるもので、電気を流すと電気を充電、蓄えるものだ。

 そして、彼には“超能力”があった。

【様々なものを電気とし、電気を操る力】――その力で彼は、自身を電気に変え、槍の中に帯電したのだ。


「いざって時の逃走手段はこれで良いよなぁ……。ま、あとはなるようになる、か」


 槍を振るい、彼は広場を後にする。

 武器を持った、もう彼は後ろに引くことはできない――。

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