ずんむりペンギン 異世界に来る
ここは一体何処なのだろうか。目が覚めたら見た事ない場所にいた。自分が育った氷の大陸でも、さっきまで泳いでいた海でもなく、ただ視界いっぱいに緑が映った。これがジャック・ペンの言っていた植物という物なのだろう、こんなのは見た事がない。ジャックが言っていた巨大な木と呼ばれる植物も凄い迫力があって思わず何処まであるのか見上げたぐらいだ。どうやら、あの津波の後に運良く外の世界の大陸に辿り着いたみたいだ。しかし、どうやって辿り着いたのかは謎である。最初は夢かなと思ったけど、その割には意識がしっかりしている。じっと考えようとしたけど、頭をぷるぷると振って考えるのをやめた。運が良かった、それだけでいい気がした。なによりもこれから僕の大冒険が始まると思うとわくわくがもう止まらない。
早速、これから大冒険を始めよう……その前にジャック・ペンから教わった冒険者の心得その1!
「まずは情報を集めるため、人を探すべし」
なんでも、外の大陸ではおおくの生き物達が木や石を使い家という物を作って暮らしいるらしい。中でも特に人と言われる種族は特に文明が発達しているらしく、自分たちが戦う為の武器、傷を癒す薬、様々な情報や知識を持っているという。だから僕もまずは人の住む町と言う物を探す事にした。ニンゲンの特徴はジャックが氷にナイフで絵を描いてくれたので特徴は掴んでいる。しかしジャック・ペンはどうやってこんなに知識を持っていたのだろうか、ともかく僕の最初の冒険はこのニンゲンを探して街へ向かい、情報を集める事だ。
「そうと決まれば早速出発だ!」
帽子を被り直し、ペタペタと植物がいっぱいある場所へと歩いていった。
「見つからない!」
いくら歩いても、人はおろか街が見えない。見えるのは辺り一面植物だけ、最初から冒険が詰みそうだ。そしてしばらく歩いてふと上を見ると、巨大な木に何かで傷つけられた後を発見した。これはまさか猛獣の縄張りという物か!?
冒険者の心得その2、猛獣の縄張りには十分に注意せよ。世界には様々暮らしをしている生き物がいる。僕たちペンギンのように群れで暮らす物も入れば、大陸の一部を自分の縄張りとして暮らしているものもいる。これは間違いなく後者、それにこのつけられた傷は凄く大きい。これは間違いなく僕よりも遥かに大きい生き物仕業に違いない。そして僕は身構えた。ジャックペンに教わったものの中には知識の他のにも訓練もあり、その訓練の果てに僕は気配の消し方と気配の感じ方を教わっている。そしていま、尋常じゃない気配が猛スピードでこっちに向かってくる。
ガサッ。
「……!?」
植物が揺れた。風ではない、これは何かが当たった揺れと音だ。どこだ、何処から来る。
ガサッ、ガササッ。
だんだんとこっちに近づいている。そしてとうとう目の前の植物まで揺れたが、出てくる様子はない。一体どうしたのか、構えを解きかけたときだった。
「!?」
突然体に悪寒が走り、横に飛び退く。すると、さっきまでいた場所に巨大な腕が振り下ろされた。腕が振り下ろされた反動で地面が揺れ、体が軽い僕は吹き飛ばされ地面に転がった。慌てて体勢を整え、ソイツを見た。
そいつはアザラシやオットセイよりも大きく、シャチと同等かそれ以上の威圧感を持った生き物がいた。口から鋭利な牙を生やし、もの凄く太い両腕、そしてこちらを思いっきり睨みつけている黄色い眼。おそらくこいつがこの辺りを縄張りとしている生き物なのだろう。ともかく、縄張りを荒らす気はない。そう説得しようと思って話しかけようとした。
だが奴はこちらの言う事なんか聞く耳持たず、問答無用で腕を振り下ろしてきた。逃げようにも闇雲に逃げるだけじゃすぐに見つかってしまう。どうやらやるしかないようだ。冒険ペンギンであるが故、戦うときがあると言う事は覚悟していたが、こんな早く訪れるとは思わなかった。
「悪いけど、僕の冒険はまだ始まったばかりでね。まだこんな所で死ぬわけにはいかないんだ」
僕がそう言うと、奴は周囲が轟く程の雄叫びを上げた。
一応ここでずんむりペンギンのステータスの一部を紹介します。
ステータス
名前:ずんむりペンギン(2)
種族:一応ペンギン(種類は不明)
肩書き:冒険ペンギン見習い
装備:ジャック・ペンの帽子
ジャック・ペンのバッグ
ずんぐりむっくりしているペンギン。一応、南極出身だがペンギンの種族は不明である。名前の由来はずんぐりむっくりと兄弟達に言われ、それを略してずんむりと言われた事がきっかけ。こういわれているが太っているわけではなく、筋肉が異常に発達しているからである。そのため、他のペンギンより身体能力が高い。外の世界に興味を持っいたところに、偶然現れた冒険ペンギンであるジャック・ペンに世界の話しをされて冒険ペンギンになる事を決意する。冒険ペンギンとして必要な事はジャック・ペンに教え込まれており、見た目とは裏腹に実力はある。旅立ちの日に津波にのみこまれ、現代の地球とは違う異世界にきてしまったが、本人は南極以外の場所は知らないため、異世界に来た事さえ知らない。