2 今度
大学に入り、人見知りだった自分を変えたかった。
楽しげな勧誘をするアウトドアサークルに入ったのは、我ながらかなり頑張ったと思う。
読書と美術館めぐりが趣味だった私が、月に一度キャンプに出掛けるなんて親は驚いていた。
飲み会は毎週。
それでもなかなか輪に入れない私に、部長だった夫が優しく声を掛けてくれた。
集まる度に気にかけて隣にいれくれる彼に、私が惹かれていったのは自然な流れだと思う。
いつしか一緒にいるのが当たり前になり、彼のアパートに転がり込んだ。
好きだとか愛してるとか、そんな言葉は無かった。
将来を誓い合ったわけでもない。
それでも気づけば夫婦になっていた。
周りの「そろそろ」に感謝すべきなのかもしれない。
サークルの部長をしていた夫は、別に私にだけ優しかったわけじゃない。
分け隔てなく、誰にでも優しかった。
誰からも好かれていた。
それは社会に出てからも変わらない。
飲み会は頻繁だし、休日はほとんど友人と出掛けてしまう。
私も釣りやスキーに誘われるが、たまには2人きりで過ごしたいのだ。
拗ねて断ってしまう。
みんなでワイワイが楽しいのも知ってる。
でも、やっぱり2人でのんびりほっこりしたいと思うのだ。
拗ねる私に夫は、いつも苦笑しながら言う。
「今度は2人でどこか行こうな」
「今度」とは一体いつなのだろうか。
まともにデートした記憶は、結婚前まで遡らないと無い。
この先何十年も「今度」は来ないのではないか。
結婚とは、本当に幸せなものなのだろうか?
私には、正直わからない。




