誕生的な物語 「改稿完了」
こんにちは。space3です。2014/7/25改稿完了
俺は、今何かの液体の中に浮いている。
意識が覚醒したのはここ数日のことだ。
最初は混乱したが今は大体落ち着いている。どうやら転生?したのだろうと思うのだが、自分が死んだときの記憶が全くない。学校で授業を受けていて突然意識がなくなった気がする。あと、自分の名前とかの記憶も見当たらないのだ。
うーんと頭をひねっても出てこず、出てくるのは隠しとけばよかったと思う黒歴史ばかり…精神に悪いので仕方ないから思い出すのはあきらめた…ハァ…あ、ちなみに日本人だったことは覚えてる。
意識が覚醒した直後は、
うわ!なんなんだこれ!カナヅチ歴15年の俺に転生先が水の中なんてなんつー無理ゲーなんだ!
と必死になってもがいていたもののしばらくすると息が苦しくないことにきがついた。
よく考えたらこれは、いわゆる羊水であって生まれる前のおなかの中なのではないか…
とも考えたのだがやはりおかしい…
おなかのなかってこんなに明るいのかってくらいに明るいのだ。
ちなみにまだ目は開いていない。瞼を通してもわかるほど明るいのだ。
手を少し動かしてみるとコツンと何かに当たった。
え….
コツンと当たったのだ。
すくなくとも人間のおなかで手を当ててもコツンと鳴るとは、少なくとも俺は聞いたことがない….
聞き間違いかと思いもう一度叩いてみる。
コツン…
いやまてまてまて…
羊水(仮)があって何かたたくとコツンと音がするもので囲まれているものから生まれてくる動物は、少なくとも人間じゃないじゃないか!
このままでは、俺の来世を楽しく平凡に普通に人生を全うしよう計画が木端微塵になってしまう!
そのとき俺は、無意識にそのコツンと音が鳴る壁(仮)をたたいていた。
ピシッ……
あ、やべっひびが入った…
そこからは、ただ無意識に音が鳴る壁(仮)を割り続けた。
自分の意志ではなく本能がこの壁を壊せと言っているきがしたのだ。
気が付いた時には、目の前に割れた殻が積み重なっていた。
しばらくぼっとしていたがおそるおそる目を開けて自分の状況を確認する
目の前には先ほど自分が生まれてきた卵の殻がある。
どうやら親は、いないようだ…
少し悲しくなる。
周りは、巨大な山脈に囲まれておりおおきなすり鉢のようになっている。言ってしまえば巨大なカルデラだ。そして俺が生まれたのは、カルデラのほぼ中心らしくそこだけ30メートルほど高くなっていた。
さっきは気づかなかったが自分の殻の隣にまだ生まれていない卵があった。
大きさは、これでもかってぐらいでかい。卵の周囲が150センチほど高さが100センチもある。自分の卵もこれくらいの大きさだったようだ。
どうやらこれが自分の妹か弟になるのだろう。
前世で兄弟がいなかった自分にとってはとてもうれしい。うれしいが、この卵の大きさは、ないだろう。
そして目下の一番の問題である自分の体を見てみる。
自分が生まれてきた卵も目の前の卵と同じくらいだったせいか生まれた直後としては相当でかい。大体体長(頭からしっぽまでの長さね)が180ぐらいだろうか。
鋭い爪に金色の光り輝くびっしりと張り付いた鱗、その鱗がびっしりとはりついた長い尾、片羽だけで体長の1.5倍はあるかというおおきな翼。典型的な西洋竜のようだ。目の色は、わからないが…
どうやら竜に転生したようです。
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「キイィィィィィィィィィィィィィィィィ(えーーーーーーーーーーーーーー)」
俺が驚いた声を上げるととても自分のものとは思えない甲高い声がひびいた。
「キッキィーーーーー(えっえーーーーーーー!)」
まてまてまて、竜がいるってことは地球ではない?
ていうかファンタジーの定番だしね。
てことは、ここは異世界になるのか!
ちょうど俺が怨念の渦に浸っているとき、残っていたもう一つの卵がピシピシと音を立てて割れたのに気が付いた。
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俺は、いま非常に困惑している。
なぜならあの後、卵が割れ中から青い目に銀色の鱗の竜が出てきた。
いや、それはそもそも予想していたのでいいのだが、その竜が
【お姉ちゃーーーーん】
と直接頭の中で響く声で言いながら抱き着いてきたのだ。
いや、比喩でもなんでもなく文字通り頭の中に直接響いてきたのだ。
まず、突っ込みどころが多すぎる。
ひとーつ、俺は、決しておねえちゃんなどではない!
言われたとしてもせめておにいちゃんのはずだ!
ふたーつ、あの頭の中に直接響いてきた声はなんだ!
そうしていると先ほど生まれてきた弟か妹が顔を傾けながら聞いてきた。
【どうしたのお姉ちゃん?念話できないの?】
念話だと…
なにそのファンタジー的な要素。あ、竜もファンタジーか。
【念話はね、相手に伝えたいことを頭に思い浮かべるんだよ!】
なにそれ!てか説明軽っ。そんなんでいいのか…
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はい。できました。
なんか頭のなかに【こうかな?】って思い浮かべたら向こうから【そうだよ!】って返ってきた。
そ
れからというもの兄弟仲良くしばらく話している。
しかもなんと弟か妹かと思い聞いてみると妹だそうだ。
名前は?と聞いたところさっき生まれたばっかなのにあるわけないじゃんと返された。
一応心の中でさっき生まれたばっかなのにもう自我があるのかよ!と突っ込んでおいた。
【ねえねえお姉ちゃん!お姉ちゃんが名前付けて!】
【いいの【いいよ!】か?】
間髪つけづにかえされた…
【うーん…じゃあリリアはどう?】
【うん!ありがとう!】
【じゃあ俺のも付けて】
【いいよ!】
いまも【うーん】と首をかしげながら悩む姿は、率直に言ってかわいらしい。
しばらくするとどうやら決まったようで顔を上げてこちらを見てくる。
【リン!リンお姉ちゃんでどう?】
いいと思う。
いいと思うのだがそれは、女子に付ける名前だろう。そういえば先ほどから俺のことをお姉ちゃんと呼んでくる。
もしほんとにそう思っているのならば早急に正しておく必要があるだろう。こればかりは譲れない男のプライドというものだ。
【リリア俺は、お姉ちゃんじゃなくてお兄ちゃんだぞ。】
【
ううん。違う、お姉ちゃんだよ!】
その眼は純粋でとても嘘をついているようには見えない。
【どうしてそう思うの?】
【目の色が青だから。】
どうやら俺は、目の色が青らしい。
【どうして目の色が青だと女性だとわかるの?】
【竜はね目の色が黄色だと男で青だと女なの。どうしてお姉ちゃんは知らないの?】
たしかに竜の姿の俺たちは、見た目では、性別の見分けが全くつかない。
てか何でどうして生まれたばかりのリリアにそれを知っているのか聞きたい。
しかし生まれながら知っているということは、誰からも教わらなくてもツバメが海を渡っていくようにいわゆる本能の類なのだろう。
自我のほうも竜は、生まれたときからあるとかいう類だろう。
【あ、あぁいや知っていたけれど確認しただけだよ。】
一応姉としての体裁をとっておく。まぁ双子なんだしあんまり変わらんかもしれないが…
てか、よく考えたら卵生の生き物ってみんな双子になるのか?まぁいいか。
ここでこれまでの人生、いや竜生で最大のショックを受けていた俺(私?)がここまで冷静に言葉を返せたのは、称賛に値するだろう。
譲れない男のプライドがガラガラと崩れていったのは言うまでもない…….
ちなみにあの後リンという名前をちゃんといただきました。
執筆中の話の3分の2以上執筆し終わった時点で次話投稿予告を出します。