お兄さん的な物語
space3です。
今回は門番のお兄さんからの視点です。
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登場人物紹介に主人公とその妹のイラストを追加しました。
俺の名前は、ガルダ。
名前から想像するとよくいかついイメージだといわれるがけっしてそんな容姿ではないといいたい。いや、そのはずだ。
俺は、この中央都市国家連合共和国に所属する都市国家ガリシア市国で門番をしている。
市国の住民からは、門番のお兄さんとこれまた安直な名前で親しまれている。
これ考えたやつもうちょっとネーミングセンスなかったのかとたまに思うあだ名であるがついてしまったものは仕方がない。
さて、この都市国家であるガリシア市国であるがこの都市国家の特徴は、何と言っても奴隷制度がなく市民平等で、国王様もとても良い治世をされており、治安もとてもいいというまるで夢のような国なのである。
この中央都市国家連合共和国は、さまざまな都市国家が集まった国である。そしてそれぞれの都市国家ごとに独自の法律が制定されている。この都市国家のように市民平等、奴隷制度なしという国は本当に少ないのである。
この国に生まれた俺は、この国に生まれたことを誇りにおもっていたし、他国に奴隷制度があるのが当たり前と聞いた時にはとんでもない憤りを覚えたものだ。
自分たちと生まれや見た目、種族が違うだけで差別したり奴隷にしたり、持っているやつらの気がしれない。
きっとどうせろくでもないやつなんだろう。
また、戸籍ギルドに登録していない人は、人としても扱われず最低の身分の奴隷にもなれないという。
奴隷でも最低限の衣食住と殺されたりまではしないのに対し、戸籍ギルドに登録していない人は、そういったものが全くない。
文字通り全くないのだ。
つまり、人体実験で細切れにされてもどんなに迫害して殺されてもそれが国家であれ個人であれ盗賊であっても罪に問われず、当たり前のこととして処理されるのだ。
そういう人たちをモノビトというらしい。
そして奴隷ではまだ人という認識に対しモノビトは、物という認識なのでどの国にも持ち込むことが可能なのだ。
そういった山奥で暮らしていたり、閉鎖的な種族でギルドがなく登録をしていない人たちをさらってきて奴隷でもなくモノビトとして売ったりするやつらもいるらしい。
全く反吐が出る話だ。
この国は、中央都市国家連合共和国の1500以上ある都市国家の中でも住民満足度がトップ10に入るほどの人気都市である。
そのため毎日多くの人がこの国を訪れる。
そしてその多くの人々の中にならず者や他国のスパイなどが紛れ込んでいることがある。
はたまた自分の力を誇示しようとしているのか奴隷をつれたやつまで来る時もある。
このようなそういったやつらをこの国に入れないように事前にお掃除するのが我々門番などと呼ばれているが入国審査官の仕事なのである。
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ふぅ~危ない危ない…
さっきのやつに危うく違法なものが持ち込まれるところだった。
まったく、もし俺が再確認していなかったらどうなっていたことか…
見逃しかけたさっきの新人は後でしっかり指導(説教)しといてやらなくては。
さっきの新人には、違法なやつを持ち込もうとしたを軍の駐屯所まで連れて行ってもらっている。
さて、つぎのやつはどんなやつだろうか。
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あれから15組ほどの旅人や商人をしらべた。
軍の基地まで行くわけじゃないし、そろそろ新人が戻ってきてもいいころだろう。
おっと次の入国者が来たようだ。
「次!戸籍ギルドまたは、その他のギルドの身分証を提示せよ!」
少し厳しい声で声をかける。
自分の性格に合っていないのはわかっているがこういうのは、第一印象が大きい。
少しでも強く見せてここは、俺たちが守っているんだぞということを示さなくてはならない。
でないと、国に入った後に何かあった時になめられてしまうからだ。
どうやら冒険者ギルドの登録者のようだ。
檻のある荷台を馬にひかせていることからどうやら捕獲系の依頼だったらしい。
俺は、馬車の荷台に目をやる。
馬車の荷台を見た途端俺の目は驚愕にそまった。
何と檻の中には、金髪と銀髪の少女が体力を消耗しているのだろうぐったりと檻の壁にもたれかかっていた。
俺の頭の中を憤りの感情が駆け巡る。
そして目の前の冒険者にどなった。
「おい!この都市国家は、奴隷を認めていない!奴隷の持ち込みは、禁止だ!持ち込めば解放奴隷になるがいいんだな!」
すると一あの冒険者どもが、まるで勝ち誇ったような表情で
「ふーんお兄さんよう、これは奴隷じゃないよ。これは、僕たちのれっきとした持ち物さ!」
「なに!」
持ち物だと!
ひとの命をよくもそんなように扱えるな!
このクソ冒険者め!
おまえらは、冒険者という名を被った盗賊以下のやつらだ!
「ふーん、なら調べてみるといいさ!こいつは、戸籍ギルドどころか奴隷ギルドにさえ登録されていないはずだ!」
「ふふふ、登録さえされていなければ人や亜人とさえも認めてもらえない、これがこの世界のきまりじゃなかったかぁ?」
別の仲間が後の言葉を続ける。
もしあの少女たちがモノビトなら俺にはこいつらを止めることができない。
くそっ!
「くそっ!しらべるぞ!検査の道具を持ってこい!」
いつのまにか戻ってきていた新人に検査の道具を持ってくるように伝える。
「はっ、はいただいま!」
どうやら急いで検査の道具を取りに行ったようだ。
新人が戻ってくるまでの間、俺は自分の無力さにただただ歯を食いしばることしかできなかった。
次話投稿予告
2013/11/15から11/16の間