表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/34

みんなの意見 (ちょっと不思議系)

 初めてミステリ小説を書いている。古い洋館に閉じ込められた男女五人が、不可解に次々と殺されていくという、いわゆるクローズドサークルものだ。

 すでに話の筋書き(プロット)は出来上がり、犯人も決まっている。

 後はそれに沿って執筆し、投稿サイトに順次アップしていくのみ。


 私はプロットどおり、最初にA子を殺した。

 すぐにコメントがついた。


『なんで私が最初なの、まだ死にたくない! A子』


 なんと、登場人物から苦情が来た。そう文句を言われても、もう話の流れは決まっている。


『ごめんね。君の死は後々重要な伏線になるから、納得して。作者より』

 

 私はA子に返信したが、


『A子を殺すな。俺はA子が好きなんだ。だから、俺がC美に惚れてる設定やめろ。 B男』


 B男までコメントしてきやがった。んなこと言われても、B男は恋するC美を庇って爆死することが決まっている。私は無視して話をどんどん書き進め、投稿サイトにアップしていった。

 またコメントがついた。


『わたくしがB男さんとD太さん、そしてE次さんに三股かけてるビッチってどういうことですの? 取り消して下さいまし。 C美』


 清楚系お嬢様だけど実は悪女設定のC美だ。


『B男を殺してくれてありがとう(^▽^)/ 僕、あいつ嫌いだったんだよねー。次はE次を殺してよ(^_-)-☆ C美さんは僕のモノだー! D太』


 何言ってんだ、E次は犯人だ。D太、お前は殺される側だ。無視無視。


『俺とA子を主役にして、今すぐ書き換えろ。じゃなきゃ作者てめえ、ぶっ殺すぞ。 B男』


 あああ、うるさーい! お前らの希望いちいち聞いてたら、話が進まないだろ! お前らは小説の登場人物なんだよ! 話を面白くするためにいるんだから、黙ってろよ!


『え? これっておれが犯人ってこと? それは無理だろ? 作者設定見直せ。 E次』




 目が覚めた。


 私は机に突っ伏していた。

 夢だったのか。

 そうだよな。小説の中の登場人物がコメントしてくるなんて。


 しかし、私は一応小説の設定を見直した。確かにE次を犯人とするには無理があった。矛盾が生じる。致命的な欠陥だ。

 私は速やかに矛盾を修正した。ただし、最初にA子が殺され、B男が爆死し、C美がビッチで、D太が顔文字野郎で、E次が犯人なのは変わらない。


 作品への意見は、自分が納得するところは取り入れ、納得しないところは取り入れない、と私は決めている。


 改めて出来上がった作品を、投稿サイトにアップした。

 いい出来になったはずだ。読んで貰えるといいな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[一言] こういう夢、見てみたいです(笑)。 おそらく無意識下では設定の矛盾や構成の瑕疵に気づいていて、それがキャラクターの口を借りて提示されたのでしょうか、ありがたいですね。そして彼らの希望通りに書…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ