ドーラ草原へ
ダンジョン地下8階での戦闘では
三メートルを軽く超える、赤茶色のゴツゴツとした肌を持つ
厳つい巨体のオオトカゲの意識を狩り取った
コトハはオオトカゲを退けると、結界装置に魔力を媒介として登録を済ませると
移転魔法を発動し、工房兼住居がある組合の塔へと帰還した
翌日コトハは、ベッドの上で軽く柔軟運動をし両手足の関節の動きゆっくりと確かめる
(動きに問題は無いけど、少し張れがあるかな)
工房に有る食材を使い、遅い朝食を作り始めた
普段は使わない棚の奥から調理用の鍋を背伸びをし手を伸ばすと無理やり奥から
引っぱりだすと流しで軽く鍋を洗う、鍋に火をかけ水を入れ沸騰させる
糖度が高いイモを保存庫から、数個取り出し流水でよく洗い
皮をむくと、鍋へと入れる
もう一つ鍋を用意すると、リンゴを薄くスライスし蜂蜜とレーズンを
加え弱火で煮こんで特製ソースを作る、十分に沸騰させたイモをフライパンに入れると
強火で炒め表面に焦げ目をつける、もう一つの鍋で煮ていた甘いソースを
上からかけ、火を弱火にして絡めると大皿を食器棚から取り出し
盛り付ける、コトハは使った鍋とフライパンを流しで洗うと
工房の作業台の上に板を置き簡易テーブルにする
コトハは簡易テーブルに大皿を置き、椅子を持ち寄り座ると
ナイフとフォークを手に持ち、特製の甘いソースをイモによく絡めて
ナイフでサッと、イモを一口だいに切るとフォークで口へと運ぶ
(うん、蜂蜜だけでは甘過ぎるけどリンゴとレーズンを一緒に煮る事により
上品な甘さに、そして硬めのイモと絡めることにより
よりいっそう特製ソースの味が引き立ち、レーズンが良いアクセントに
食感も良いし)
食事を終えると、流しで食器類を洗うと
コトハは無造作に作業台の上に置いていた、討伐依頼書を手に取り読む
(近場に行くかな)
黒のローブを身に着けると、コトハは以前討伐に行った事がある
ドーラ草原へと意識を集中し、幾重にも束ねてある多くのラインの中から
一本のラインをたぐり寄せ、魔力をラインへ流し込むと工房内が光りで満たされ
魔力がコトハの周辺を渦巻くように包み込み、光が集束すると移転魔法が発動した
ドーラ草原へ降り立つと、コトハは上空に飛び上がり数分周辺を飛行する
場違いなほど巨大な大樹を上空から目視すると、ゆっくりと近ずき感ずかれない様に
遠くから観察する
逞しく太い幹に、枝が触手のように動き回り伸び円状に大きく広がっている
大きな葉が青々と茂り、周辺を覆いつくすように日影を形成している
(デカイ、これじゃ周りの植物も枯れるよ)
大樹がドーラ草原に根ずく事に因り、近くの草や植物が茶色に枯れはて
土が白く変色した風景が、大樹の円状に広大に広がっている
(流石異界の植物だよ、凄まじい繁殖力だし
しかもこの草原の環境を壊している、悪いが異界に帰ってもらわなきゃ)
コトハは、大樹が根を伸ばしているであろう土の中へと
大きな氷の障壁をスベリ込ませると、土ごと大樹を持ち上げた
四方から巨大な障壁でキッチリと囲むと、空間を縦に大きく開くと大樹を送転した
(次も近いんだよね、ここから)
コトハは懐から、討伐依頼書を取り出す
上空へと浮上する、ドーラ草原上空を滑走し捜索する
草原を飛行していると、太陽に反射した光を見つけ接近していく
体長5メートルを超える鉛色で光沢がある、大きな鉄巨人を上空から発見した
(よく磨きあげてあるというか、眩しいよ)
コトハは、上空から加速し鉄巨人の頭部に足を振り落とした
大きな衝撃音が草原に響く、衝撃で尻もちをついた鉄巨人に
コトハは、氷で両手足に確りと重りをつけ動きを止めると
素早く送転魔法を発動し、異界へと開かれた隙間へと大きな体の鉄巨人を
異界へと押し込んだ
(最短記録達成だよ)
コトハは上空を注視する、僅かに空間の歪みを感じ警戒し姿勢を正す
スッと空間が裂けると天馬が駆けてくる
全身が黒い長い毛で覆われ、頭部には一本鋭い角を生やした天馬
空を滑空し背中から生えている3メートルを超える大きな黒い翼を
羽ばたかせる
(禍々しい姿、形だよ)
コトハは手を前方に構えると、突風を前方に現れた天馬へと放つが
風を物ともせず一直線に突進してくる
サッと身をかわすと、コトハは至近距離から火炎を放出
大きな火炎が天馬の姿を、かき消すように覆い尽くす
天馬は避ける事無く、火炎を角で突きさし火炎の中心から姿を現すと
コトハに飛びかかる、コトハは火炎の障壁を幾重にも重ね
構成すると、天馬の動きを無理やり止める
分厚い障壁を四方から構成し、天馬の動きを完全に止め異界へと送転した
(天馬が来たという事は、乗り手がいる筈
タイムラグで、此処に現れるかな)
数分その場で待っていると、異界から空間が避け天馬の乗り手である
首なし騎士が現れた、全身を黒い鎧で覆い背中には真っ赤なマント
長剣を腰に帯同している、鎧から上の首が存在しないが
まるで視線を向けるように、確りとコトハの姿を見る
「天馬なら、私が異界へと送転しましたから此処からお立ち去りください」
(話は通じるよね多分、扱いが難しい天馬を乗りこなしている理由だし)
首なし騎士は、コトハをジッと見ると手を空間へと翳し空間を
開けると異界へと帰っていく
(話が通じて良かったよ、剣を使う相手はどうも苦手だし
私自身酷い目にあっているし)
コトハは、討伐依頼書を懐から出すと手に取る
(全部遠方だし、今日は帰ろう)
移転魔法を発動すると、コトハは工房へと降り立つ
コトハは着ていた黒いローブを椅子にかけると、流水で手を洗う
人工魔石を一つ手に取り、魔法陣の中心に置く
コトハは陣に触れながら魔力放出を開始する、人工魔石の総魔力量を
底上げする為に、魔石が輝き許容量一杯に魔力を注入した
(これで買取価格が上がるんだから確りとやらないと、あと何個だったかな)
コトハは、作業台の上に置いて有る人工魔石が入った箱を上から覗き込む
視線の先には、数十個の魔石が目にはいる
コトハは、同じ作業を数回繰り返すと魔石数個を纏めて
魔法陣の中央に置く
(纏めてやってみるか)
魔法陣に指先で触れ魔力を魔石へと注入する
外円から内円へと魔力が伝わり、中央に置いて有る魔石へと
魔力が伝わり、魔石が光り輝くとコトハは魔力注入を止める
コトハは、作業を終えると人工魔石を箱に詰めると
ドア前の完成品を置く台へと置く
コトハ日記抜粋
結界装置に登録を終えると、さっさと工房に戻りシャワーを
浴びて寝た
翌日起きると、久しぶりに自炊する事にまあ大した物は作れないけど
イモを茹で、砂糖、リンゴ、レーズンを一緒に煮て甘いソースを作る
イモに、鍋で混ぜたこの特性ソースを絡めて食べた
普通に美味しい、レーズンを入れて正解だった
イモの硬さも丁度良かったし
食器を洗うと、討伐依頼を遂行することに移転魔法を発動し
ドーラ草原へと向かう、何故か異界の大樹が迷い込み群生してしまったので
排除する為に、明らかに周囲から浮いているほどのデカすぎる大樹
を発見するのは簡単だったよ
周辺の植物は枯れ、土の色も変色してたし無駄に凄い生命力
根ごと土と一緒に持ち上げると、氷の障壁で囲むと送転
次は鉄巨人を探しに行く、太陽の光で反射する光沢のある大きな体を発見
上空から簡単に見つける事が出来た、鉄巨人に急降下し足で頭部を粉砕しようとしたが
頑丈に出来ていた予想よりも、鉄巨人が体勢を崩したので氷で両手足を拘束し重りも
身動きが出来ないうちに素早く、異界へと大きな体の鉄巨人を
異界へと空間を開くと、無理やり大きな体を押し込んで送転
私は空間に違和感を感じ臨戦体勢体勢をとる、裂け目から天馬が現れた
まあ事故だろうし、偶然此方に来ただけだろう
気が荒い天馬を、火炎の障壁で囲い動きを封じると
異界へと送り返す
数分後、天馬の乗り手が現れた
黒い鎧を身に着け、腰に剣を帯同する首なし騎士が
私は戦闘狂では無いので
迷い込んだ天馬は送り帰したと伝える
私の言葉を信じて帰ってくれたので、無駄な戦闘をせずに理知的に解決
他の討伐依頼は、遠方だったので工房兼住居へもどる
早速工房で作業を始める、人工魔石の許容量一杯の魔力注入
人工魔石に許容量一杯に魔力を注入、買取価格が上がるんだから
大事な作業だ、どうしても人工魔石では天然物とは違いが出るらしい
メリットは有る、人工魔石の方が加工しやすい大量に供給出来ると点
加工作業は、初めは一個ずつ行っていたが時間がかかるので
作業のスピードアップする為に
数個ずつ纏めて人工魔石へと、魔力を注入
手早く作業を終えると、玄関前の台へと人工魔石を詰めた箱を置いた
有難うございました