ダンジョン2
コトハは、1階組合事務所前のカウンターに立っていた
「コトハさん、何をお探しですか?」
「剣類を下さい、希望は折れたりして組合で回収したり
引き取った物を頂ければ幸いなんですが、倉庫に大量にあると聞きまして
ぜひ、再利用したいと以前から思っておりました」
「良いですね、実は場所も取りますし処分に困っていまして
そういう事でしたらご協力させていただきます
此方で適当に見繕い、コトハさんの工房に転送しておきますが
宜しいでしょうか」
「お手数おかけします、宜しくお願いしますね
支払いは何時もの様に」
「畏まりました、コトハさん」
コトハは、工房へと戻って行く
組合職員は、倉庫奥に乱雑に置いて有った
数十本の剣類を纏めると
魔法陣の上に、纏めて置き転送魔法を発動させた
コトハは階段を上り、4階の工房兼住居のドアを開ける
工房に届いていた、損傷し使い物にならない剣類を
手に取ると、魔力を変換し高熱のレーザー状に変化させる
剣をそれぞれ少しずつ、レーザーで少しずつ切断していく
全ての剣類の一部を切断すると、コトハは熱を加え溶解し
鉄へと戻し、一つにまとめるとハンマーを作業台から持ち出した
ハンマーで何度も叩きながら、鉄を鍛え直す作業を数時間続ける
この作業を繰り返し、黒い刀身の短剣を作り出す
コトハは、強張った体を解すと刀身全体を砥ぎ石に這わせ
砥ぎ始める、満遍なく砥ぎ終えると
刃の部分を、特に念入りに砥ぎ石に乗せ滑らせていく
両手で確り固定し、丁寧に作業を続け砥ぎを完成させると
刃には、波の様な波紋が浮き出た短剣を完成させる事に成功した
(理論は、詳しくは分からないけど魔力を間接的に使用すると
出来が違う、素人が作ってるのに
まるで、匠の作品の様だよ)
コトハは完成した、短剣を黒い布で包むと
組合印章が刻まれた黒色の箱を開ける、箱の中の枠に短剣
はめ込むと、ドア前の完成品の台へと置く
コトハは、作業で汗をかいた体の汚れを
工房奥の浴室でシャワーで洗い流し
外出する準備をする、皮の鞄を取り出すと
棚から魔法薬や食料などを詰め込んだ
管理を任されたダンジョンへと向かう為に、ラインを魔力で探り
繋げると移転魔法を発動させる
ダンジョン1階の結界装置がある場所へと、降り立つと
コトハは、怪我人、急病人用の魔法薬、魔法薬飲料をダンジョンに
設置してある、備え付き装置に補充していく
同じように、1~地下2階まで薬類を補充する
結界付近に居る、固定モンスターのウサギ、カメ、大猿それぞれに
コトハがダンジョンへと持ち込んだ、ゼリー、イモの揚げ物、蜂蜜水
を自ら口へと入れて、安全だと伝え遠慮する彼らに強引に渡す
コトハは、彼らが興味深そうに食事をしている間に
ダンジョンの照明と使用されている、魔法石の魔力残量を確認する
地下2階ダンジョン奥に、コトハは階段を発見すると
階段を下りて行く
地下3階のダンジョンは、要所に大きな門が立ちはだかり侵入者の進行を防いでいる
門の近くに付随し、数字を入力する機械が設置してある
コトハは機械に近ずくと、数字を入力していくが門は上がる事は無く
時間だけが過ぎていく
(苦手なんだよね、頭を使うのは)
コトハは適当にゾロ目の数字を、機械に入力すると
大きな音をたて、黒い大きな門が上へと上がり始める
(良かった、もう少しでまた管理者用の資料を見てしまうとこだったよ
自分に負けたようで、悔しいし)
コトハは、ゾロ目を入力しながら次々と設置された門の仕掛けを解き進んで行く
漸くついた最後の大きな門も、機械にゾロ目を入力すると
大きな音を響かせながら、鉄製の大きな門が上へと上がる
門の前方の結界前に、大猫が待ちかまえていた
コトハの姿を見つけると、素早い動作で猛然と走り飛びかかる
(来たよ、デカイから迫力があるし)
横へと体をずらし避けると、距離を取るとスカイは魔力を変換し
突風を大猫へと放つが、跳躍され避けられるそのまま
上から大猫はコトハへと飛びかかる
大猫の前足を掻い潜り懐へと潜り込む
コトハは、丁度真上にある顎へ足を素早く突きあげた
意識が混濁した大猫に、コトハは先ほどより威力を増した突風を放つ
ダンジョンの床を滑りながら、大きな体の大猫は吹き飛ばされた
コトハは結界装置に登録すると、地下4階への階段を探すが
それらしい物は見つからない、周辺を見渡すと壁の1部分
が明らかに色が違う、コトハはその壁を少しずつ手で叩きながら丹念に確認する
(あそこを調べるんだな、ヒントが分かりやすくて良かった)
突然、壁が崩れ去ると下へ階への隠し階段が出現した
スカイは、隠し階段を下り地下4階へと踏み入れる
(なかなか趣向をこらした演出)
地下4階のダンジョンは、床は無くロープが張り巡らせていた
コトハは、細いロープの上に足を乗せ落下しないように
慎重に足を進める
(神経を使うよ、地味に嫌な仕掛け
飛んで行くのは反則だしダメ、地道に行こう)
最後には、ロープから勢いをつけて結界がある床へと
4メートルほどの距離を飛び降りた、目の前には緑の巨体
カマキリが、カマをコトハに振り落とす
(いきなり、展開はやいよ
カマキリか、でか過ぎると違和感があるし
カマがデカすぎ)
目の前に氷の障壁を展開するが、カマキリのカマで粉砕された氷が
あちらこちらに、はじけ飛ぶ
コトハは、突風をカマキリへと放つが上へと飛び上がり回避された
両手を前に構え、火炎球を連続して放つが巨大なカマキリのカマで消滅すると
コトハは、直進しながら長剣を構成すると加速し一直線に
カマキリへと、正面から斬りかかる
カマキリのカマと、コトハの長剣がぶつかり合うとダンジョン全体に
衝撃波が広がる、カマキリはもう一方のカマもスカイへと振り落とすと同時に
コトハは、カマキリの頭部へと忽然と現れる
魔力が湧きあがるほどに、強化した足を頭部へと振り落とす
巨大な緑色の巨体が、ゆっくりと床に倒れ込む
コトハ日記抜粋
その日私は、1階の魔術師、魔道師組合事務所で
使い物にならなくなり、組合で回収された剣類を格安で購入した
以前、職員に聞いたところによると保管場所に困っていると聞いていたし
元手が安いので、例え上手くいかなくてもリスクが少ないと考えたから
不用品なので、予定通りかなり安い金額で購入出来た
剣類の選別はお任せして
職員の方に、工房へと送転してもらった
私は工房の製作台の上で、折れた剣を手に取り刀身の一部を魔力を変換して切断する
運ばれた、それぞれの刀身の一部を切断すると
一つに纏め、魔力で溶解し鉄へと戻す
どんだけ高温なのかな魔力変換した炎は
不可能を可能にするな魔法とは、科学法則なんて無視してるし
ハンマーで数時間打ち続け、鉄を鍛え直す作業を黙々と続けた
私は、刀身を見つめ満足すると砥ぎ石を
作業台の上に置き、刀身全体を砥ぎ出す
短剣だが、丁寧に作業したのでそれなりに時間がかかる
最後に刃を砥ぐ作業は、特に念入りに砥いでいく
目で刃を何度も確認しながら、作業を続ける
納得した出来に、満足すると
私は完成した短剣を、箱に詰めるとドア前の完成品の台へと置く
休む事無く、ダンジョンへと向かう
管理を任されたし
工房から薬品類を、沢山持ち込み結界付近の装置に補充しておく
ダンジョンへと来ていただくお客さんに、何かあったら一大事なの
結界前に居る、固定モンスターにも差し入れを手渡す
遠慮していたが、美味しいよと強引に手渡した
親愛の印だと伝えると、しぶしぶ受け取ってくれたよ
彼らが食事をしている間も私は、照明用の魔法石を点検したりと
真面目に仕事を遂行した
地下3階へと到着すると、私は機械に数字を打ち込みながら大きな門を
通過していく、正しい数字が分からなくって焦ったが
何とか仕掛けを解いて進むと、結界前に
大猫が居た、真っ赤なスカーフを首に巻いていた
凄い長いスカーフは、まあファッションなのかな
私を見つけると、猛然とダッシュしてきたので避けると
私は懐に潜り込み、顎を蹴りあげてダウンさせた
結界装置に登録を終えたが、次の地下4階の階段が見つからない
周りを確認すると、明らかに怪しい壁を見つける
近ずいて、壁を叩いていたら隠し階段を発見できた
地下4階は、ロープで移動した床が初めから存在して無いから
漸く結界がある床へと飛び移ると、カマキリがカマを私に振り落としてきた
咄嗟に障壁を展開するが意味は無かった、軽く粉砕されたし
突風を放つとカマキリ
上へと飛び避けたので、その隙に火炎球を放ち続ける
私は直進しながら、長剣を構成して正面から斬りかかる
大きなカマが当たると、大きな衝撃が長剣を持つ手にかかるが耐えきる
もう一つつのカマが私へと襲いかかった瞬間に
カマキリの頭部に移動し、足を振り落としカマキリのノックアウトした
落ちついて、カマキリを見てみると茶色のマント着けていた
あのカマで、傷つかないか心配だな
おそらくカマで器用に、マントを扱っているんだろうね