ダンジョンへ
コトハは、食堂カウンター前に立ち
料理を待っている
「お待たせしました、コトハさん
何時ものメニューです」
「有難う御座います」
コトハはカウンター越しから、トレイを受け取ると
何時もの様に、奥の席へと腰を下ろしナイフを手に取り
イモを切り分けると、口に含む
トーマス主任が、コトハの姿を見つけると正面に座る
「スカイ様、お食事中失礼します
宜しいでしょうか?」
「どうぞ、お話くださいトーマスさん」
コトハは、皿にナイフとフォークを置くと
グラスへ水を注ぐと、そのまま口をつける
「コトハ様には、ダンジョンの管理をお願いしたいのです
帝都にあるダンジョンです、我々魔術師、魔道師組合が
管理運営しているのですが、欠員が出まして
そこで、コトハ様が適任だと判断し
ダンジョン管理を、是非お願いしたいのです」
(断わる理由は無いし、雇われの身分だからな
それに、ダンジョンには少なからず興味がある)
「私で、お役に立てるのでしたら
受けさせていただきます、具体的には何をすれば良いですか?」
「有難うございます、コトハ様
ダンジョンには、各階に固定モンスターが配置されています
そのモンスターを、退ける事で安全な結界を利用可能に
結界内の装置に、魔力を注ぐ事により登録される仕組みです
移転、転移それぞれの魔法を利用出来るようになり
例えば地下3階の結界装置に、登録しておくと
何時でも、地下3階の階層へと往復出来るようになります
コトハ様は、最終的には全階へと行き
全ての固定モンスターを排除し
結界装置へと、登録していただきたいのです
主な仕事は、各階にいるモンスターとの戦闘訓練とダンジョン整備ですね
緊急時には、各階にいる固定のモンスター達は
帝都を守る盾として、動いています
彼ら固定モンスターは、普段はダンジョン探索に来るお客様
に対して、かなり手加減をしていますので
コトハ様が、時々彼らのお相手をしてください
既にコトハ様の事は、通知済みですので
コトハ様の姿を、見つけましたら
彼らは全力で挑んでくるのではないでしょうか
固定モンスターは、純粋に戦いが好きなのです
では、コトハ様の了解を受けましたので
これから、正式に手続きを進めますね
ではここで失礼いたします、有難う御座いますコトハ様
こちらがダンジョン関連の資料です、参考になさってください」
トーマスは、コトハの目の前にダンジョン管理の資料の束を
置くと、深く頭を下げ事務所へと戻った
コトハは、ダンジョン管理者の資料を手に取ると
目を通した
(このダンジョン綺麗だな、流石に帝都に在るだけはある)
コトハは、時間が経って少し冷めた食事を終えると
トレイを、カウンターへと戻す
工房兼住居に戻ると、早速ローブを手に取り着込む
4階工房の窓を開けると、足を掛けそのまま飛び降りる
そして帝都にあるダンジョンへと向かい滑空した
帝都西に、端に位置する組合が管理運営するダンジョンを
上空から見つけると、地上へと降り立ち
コトハは、ダンジョン前で作業する組合職員に頭を下げ
正面入り口から、ダンジョン内部へと足を進める
人工魔石の光が、ダンジョン内を明るく照らし
床には強化された石板が、整然と並べられ配置されていた
(お金かけてるし
迷いようがないダンジョンってどうなのかな)
コトハは、周囲を警戒しながら足を進める
結界の前に、ウサギが仁王立ちしスカイに視線を向けていた
(ウサギが、すこしカワイイ2本足で立ってる)
コトハとウサギは、ほぼ同時に動き出し
僅かにコトハのスピードが勝ると、蹴りをウサギの足へと
放つ、ウサギは身軽に飛び上がり避けると
体をねじりあげ素早く拳を、コトハの顔面へと放つが
既にウサギの後方へと、回り込んでいたコトハは
身体強化で強化した拳を
小さなウサギの背中に放つ、衝撃波でダンジョン内の空気が揺れ動き
吹き飛ばされるウサギ
コトハは前方の結界内に入ると、結界装置に手を翳すと魔力を注入し
結界装置に登録する
(とりあえず1階は完了)
コトハは、奥に在った地下1階への階段を見つけると
警戒しゆっくりと地下1階への階段を下っていく、
1階の様に明るくはない、うす暗いダンジョンを進む
一本道では無く、地下1階では
何度か袋小路へと迷い込む、石碑の向きを変える仕掛けを
コトハは資料を懐から取り出し、ダンジョンの仕掛けを解くと
漸く結界の前にいる
固定モンスターを発見する
前方に居るカメは既に戦闘体勢に入っているらしく、火炎群を口から放ち続ける
コトハは氷塊を幾重にも重ねると、火炎群を消滅させると
そのままカメを、氷塊で動きを止め氷結させるが
直ぐに氷塊が砕け散る、氷塊を飛び出したカメを
待ちかまえていた、コトハは上段から足を振り落とし床に叩きつける
カメを排除すると、光が溢れる結界内部に入り
結界装置に手を翳すと
コトハは、魔力を注ぎ登録を済ませる
(ウサギにカメ、見た目が大事だよ
客商売だし)
奥で地下2階への階段を発見し、階段を下りて行くコトハ
暫く進むと、二股に分かれる道を発見する
一方は普通の平坦な道、もう一方は直角に近い急な勾配の道
コトハは迷い無く、急な勾配の道を選ぶと勢いをつけて駆けあがる
その道の先には、4メートルを超える大猿の姿が目に入る
大猿は、コトハの姿を見つけると猛然と突進する
巨大な体を、感じさせない程の素早い動きで大きな拳を
コトハに打ち込むが、体を横へと逸らし避けるコトハ
だが目の前には、大猿の大きな足が迫っている
氷の障壁を3重に重ね展開するが、障壁は砕け散りコトハもろとも後方へと
吹き飛ばされた、大猿は尚も口から魔力塊を連続して放ち続ける
コトハは直ぐに立ち上がると、長剣を構成し
飛んでくる魔力塊を長剣を這わせ、いなしながら大猿へと一直線に突き進む
長剣を火炎で覆うと、大猿へと投げる
大きな火炎が渦を巻きながら
長剣は加速度を増し進むが、大猿が腕を振るうだけで
火炎は弾け消え長剣も砕けちるが
コトハは既に大猿の懐に潜り込み、至近距離から拳を放ち続ける
大猿がふらつくと、足を下から顎へと蹴りあげた
大きな大猿の体は、放物線を描き床へと叩きつけられた
(今日は此処までで、体力、精神力
結構消耗してるし)
コトハは、前方に在る結界装置に登録をすると
帰還する為に、組合が在る塔へのラインを見つけ転移魔法を
発動させ帰還する
コトハ日記抜粋
何時もの様に、食堂で腹持ちが良いイモを食べていると
私の前の席にトーマス主任が座る
今回は、ダンジョンの管理だって
何でも欠員が出たらしい、何故なのかは聞いてはいけない
好奇心で聞いたらエライ事になりから
迂闊に組合の事情を聞いてしまったら、更に面倒事にまき込まれるし
と私は思うの
ダンジョンは、帝都の郊外に在るらしい
組合が管理運営をし、各階に固定モンスターを配置
排除すると下の階に進めるらしい、固定モンスターは
緊急事態の時には、帝都を防衛する戦士になるそうだ
普段はダンジョンを訪れる人々の相手を、手加減しながら行い
ピンチの時には、帝都を守護する彼らはヒーローであり
帝都防衛に必要不可欠な存在
彼らは戦闘を好むことから、この仕事に向いている
だが、普段は本気で戦う事が出来ないので
私の様な、ダンジョン管理人が彼らの戦闘訓練に必要なの
私は早速ダンジョンへと向かうと、1階でウサギと対峙する
二足歩行、白い綺麗な毛並み、長いふさふさ尻尾、タキシード
1階だから、小奇麗にしないといけないんだねウサギさん
大変だね
ウサギって、あんなに尻尾が長いのかな?まあ良いや
ウサギさんと私は、一気に距離を縮める
私の蹴りは、ウサギさんに避けられ
拳が向かってくるが、私は既にウサギさんの後ろへと
回り込み、拳を放つと後方へとウサギさんは吹き飛んだ
結界装置を利用する為に登録を済ませると
地下1階へと行くと、奥でカメと対峙する私
頭にバンダナを巻き、もちろん二足歩行
私を見ると、カメさんは口から火炎を放ってきた
氷塊で火炎を押し込み、そのままカメさんを閉じ込める
だが氷を飛び出して来る、まあ私は予想していたので
足を振り落とすと、カメさんはダウン
そして地下2階で急な勾配な道を登りきると、大猿が居た
迷彩服にサングラス、何処の鬼教官なのか君は
大猿の巨体が、私に殴りかかって来たので避けたよ
目の前には、大きな足が迫る
避けようが無いので
障壁を展開、障壁ごと私も吹き飛ばされたし
重い蹴りだったよ、体全体に衝撃が残り力が入らないけど
危険を感じた私は、直ぐに立ち上がる
大猿さんは、魔力塊を口から連続して放ってくる
長剣を構成すると、魔力塊をいなしながら突き進む
炎で長剣を覆い、大猿へと投げるがいとも簡単に弾き飛ばされる
私の狙い通り、大猿の懐に潜り込む事に成功
拳を、硬い大猿のボディに放ち続ける
最後はふらついた大猿に、足で顎を蹴りあげる
放物線を描いて、吹き飛ぶ大猿さん
丁度切りが良いので、私は帰還する事に
流石に疲れていたし、先は長いよ