セトラ山へ
コトハは、ベッドの上で目が覚めると
戦闘で酷使した、腕や脚をゆっくりと動かし
可動域を確認した
その場で、柔軟運動をしながら体に問題が無いか確認する
(特に体には、問題は無いみたい
疲労も残ってないよ、魔法薬は偉大)
コトハは、立ち上がると工房の端に置いて有る
保存庫から、薬草入りゼリーを取り出す
スプーンで、口に入れ、ツルッと食べると
工房の床でスペースを取っている、大きな鋼鉄を両手で抱え
作業台の上に、慎重に置く
長剣用の型に、コトハは鋼鉄を魔力で溶解しながら
押し込むと、形を整えると型から慎重に取り出す
ハンマーで何度も叩きながら、強度を高めていく
数回、型に押し込み形を整えながら
鋼鉄を、ハンマーで叩き続けた
十分に納得できる、強度になるとコトハは
作業台に、砥石を置くと刀身全体を砥ぎ始める
両手で剣を持ちながら、ゆっくりスライドさせながら
砥ぎ続ける
最後に、刃を砥ぐ作業を行う
コトハは、丁寧に根気強く砥ぎを行った
数時間後、長剣を手に持ち立ち上がると
コトハは、刃を確認した
刃には、波の波紋が浮かび上がる
(良い感じ、前回よりも1メートル長くしたけど
案外上手くいったかも)
最後に、乾いた布で長剣全体を包むと
細長い箱に、大切に納めた
次にコトハは、長方形の木材を一本
作業台の上に置くと
中身をくり抜き、筒状に形を整えた
筒の中を目で覗いて確認すると、コトハは間隔を少し開け
空気が通る穴を開け、先端に口を付け吹いてみる
(合格だよね、音は出てるし)
コトハは、完成した木工製の管楽器を手に持ち
魔法陣を描き、中心に置くと陣に触れ魔力を注ぐ
魔法陣が輝くと、中央にある管楽器が浮かび上がり
陣が消滅すると、管楽器からは微弱な魔力が漂う
コトハは箱に、管楽器を納めると
壁にかけてある鏡の前に立ち
身支度を整え、1階組合事務所に向かう
2つの箱を両脇に抱えながら、慎重に階段を下りる
コトハは、1階組合事務所のカウンターに2つの箱を置く
何時もの様に、トーマス主任が出迎える
「コトハ様、昨日は御活躍でしたね
しかし残念です、コトハ様は優勝されたのに
ラウル様に注目が、集中して
あれだけ派手な攻撃を、なされる方ですから
仕方がないのかもしれませんが
勝者はコトハ様です」
「有難う御座います、トーマスさん
これなんですけど、見てもらえます?」
「拝見させて頂きます、コトハ様、」
トーマスは、まずは縦に長い箱を手に取り
長剣を取り出すと、頷いた
次にもう一つの箱に入った、楽器を手に持つ
興味深そうに、見つめる
「コトハ様、こちらはどんな効果が有りますか?
魔力を僅かに、感じますが」
「気分が高揚しますね、この音色を聞くと
気持程度ですけど」
「そうですか興味深い物です、では長剣は金1100枚で
これだけの長さがありますし、扱える人も限られますから
逆に鑑賞用に向いていますね、見栄えが良いですから
そしてこちらの楽器はそうですね
金500枚で、宜しいですかコトハ様」
「お願いします」
「そうでしたコトハ様、依頼が有るんですよ
帝都中央採石場へ行き
最深部の邪気を祓っていただきたいんですよ
引き受けていただけますよね」
「邪気ですか、最善は尽くします」
「良かったです、引き受けていただき
採石場という場所柄、邪気が溜まりやすんいんです
大規模な、集積が予定されてますので依頼が来た次第で
一つだけ注意点なんですが、邪気は深夜に活発に活動するそうですから
その時間に行けば、確実に邪気を消滅させる事が出来ます」
「そうですか、夕方に此処を出てみます
では、食事してきます」
「コトハ様、宜しくお願いします」
コトハは、食堂に着くとカウンターに向かう
「すいません、何かお腹に溜まるもの下さい」
「あ~コトハさん、昨日はお疲れさんです
では、今日はホウレン草入りのカボチャのスープと
カボチャのシャーベットです」
カウンターの前に立つ、コトハの目の前に
カボチャスープとシャーベットが乗った、トレーが置かれる
コトハは、鼻を近ずけスープの香りを嗅ぐ
「良い色合いですね、香りも良いです」
「有難う御座います、コトハさん」
コトハは、トレーを運び席に付くと
スープをスプーンで一口、口に運ぶ
(美味しい、カボチャの甘さとホウレン草の苦みが
口の中で混ざり合うと、上手くコメント出来ないし
とにかく美味しい)
コトハは、カボチャスープを飲み
シャーベットを食べ終えると、カウンターに食器を戻す
すっかり日が暮れた景色を見ながら、魔術師、魔道師組合の塔を
出溌し、採石場が在るセトラ山へと向かう
コトハは、人ごみで混んでいる帝都を
縫うように、素早く歩き
帝都からの登山客も多い、セトラ山に足を踏み入れた
既に、暗くなり人影は無い
コトハは、確りと布を頭部や手首に巻き付ける
(これで万全だよ、虫対策は私の肌は繊細なんだよ)
帝都から近く、登山にも気軽に来る事が出来る
セトラ山の道は、綺麗に石で舗装されていた
コトハは、足早に山道を進む
暫く山道を上り続けると、セトラ山に建設された
帝都中央採石場に着く、コトハは薄暗い採石場の内部へと足を踏み入れた
内部は、照明用魔石が発光してはいるが
視界が辛うじて保たれている程度に、発光が抑えられている
コトハは足場が悪い中、慎重に歩みを進める
漸く最深部へと着くと、前方には黒い靄が渦巻いていた
コトハは魔力を、両手に集中させると手を前方に押し出す
大きな炎が、広範囲に広がり
前方の黒い霧を覆い焼き尽くすが
黒い霧は、消えずにその場を漂う
(火力不足かな~)
コトハは、集中し両手に魔力を集束させると
身の丈はある、長剣を構成し始める
徐々に形を整え、コトハが両手で構えると長剣が光輝き
刀身全体から魔力が溢れだし、刀身周辺を魔力が回り続ける
更に魔力をコトハは込め続け、最深部全体が光り輝くと
一気に黒い霧を、正面から突進して突き刺す
コトハは何度も黒い霧を斬り刻む、最後には光り輝く長剣を
黒い霧へと投げ込み、長剣を媒介にし
コトハは魔力を、爆発させ四散させた
視界が回復すると、目の前には大きく抉れたクレーターだけが
残る
(依頼は達成出来たし、さっさと帰ろう)
コトハ日記抜粋
私は、起きると体の状態を確認しながら柔軟運動をする
保管庫に、貯蔵していたゼリーを食べ終えると
2メートル近い長剣の製作を始める
素人の私でも、型が有れば何とか作る事が出来るのだ
長い時間を費やし、鋼鉄を鍛えると
砥ぎ石に、長剣を乗せ砥ぎ続ける
砥ぎ終えると、次には製作を思いついた木製の楽器を製作
魔法陣を使い、魔力付与を施し完成させた
1階組合事務所に、持って行くと
トーマスさんに合ったので、鑑定してもらう
流れでトーマスさんに依頼をされ、帝都中央採石場に行く事に
ちなみに私の昨日の活躍は、対戦相手のラウルさんの大技に
視聴者の関心が向いてしまい
私の印象は、皆無だっとそうです
まあ、あれだけ壁とか壊したら当然かもしれないけど
しかし優勝したのに私、痛い思いもしたのに
試合に勝って勝負で負けた感じ
依頼でセトラ山に在る、採石場最深部で
黒い霧を発見した私は、早速炎で焼き尽くそうとしたけど
火力不足だったみたい、長剣を媒介に爆発させると何とか
黒い霧を、消滅させる事に成功
依頼を完了させた私は、さっさと山を下りたの
帝都に着くと、既に太陽は真上に
黒い霧の処理に時間を取ったみたい
組合に着くと、トーマスさんに依頼を完了させた事を伝え
工房兼住居に戻り、シャワーを浴び
ベッドで、直ぐに眠りにつく私だった
有難う御座います