表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

湯当たり騒動⑤ お墨付きとくしゃみと逃走劇

健康偏差値ランキング発表から数日後。


近藤はにこにこと廊下を歩きながら、掲示を見上げていた。


「いやぁ、いい表だなあ。見ていて楽しい」


一方、沖田総司は腕を組んで、掲示板をじっと睨んでいた。

まるで軍議の布陣図でも読むかのように真剣である。


ちゃんと健康証明書を出したのに、

あの屈辱の《監視隊》は継続中。

健康偏差値は堂々の最下位。


(こんな生活、もう耐えられない!)


土方は気の毒そうに言った。


「健康証明、本来ならあれで十分だと思うが……

近藤さんはおまえのこととなると、超過保護だからなあ」


「そうだ、同じ健康証明でも――

幕府大学の医者が出したやつなら絶対効力あるぞ。

近藤さん、そういう“権威”に弱いから」


総司の目が輝いた。


「……じゃ、それ行きます!!」



「幕府大学洛中病院へ」


数日後。

総司は、近藤勇・土方歳三両名に付き添われ、洛中の病院へ。


驚くことに、二人とも羽織袴の正装である。

「畏れ多くも幕府大学病院だから」だそうだ。

二人とも、かちこち。


白衣の医師たちが慌ただしく行き交う。


「すごい……文明の香りがしますね」


「ここで“健康証明”をもらえれば完璧だ。

もう誰も監視隊を作ろうとは言えまい」


診察室に通されると、威厳ある教授医師が現れた。


近藤は身を乗り出す。


「先生、うちの総司は病弱で、心配です。

隅から隅まで、よーく見てください」


教授医師の目がきらり。


「なかなかいい青年だ……お任せください。

隅から隅まで、徹底的に」


そこから――

丸一日がかりのフルメディカルチェック。


そしてついに手に入れた。


『幕府大学病院発行 沖田総司 だいたい健康なり』


金の印が押された立派な証明書。


総司はそれを胸に抱き、屯所の廊下をスキップしていた。


「ふふん、これでもう“厠監視隊”も解散~♪

近藤先生も納得~

だって、幕府お墨付き~♪」


その足取りは軽く、髪もふわふわ。

健康偏差値、ついに逆転。


だが――


「……へっくし!!!!」


すさまじいくしゃみ。


総司は固まる。


(ま、まずい……これは……!)


のどがヒリ、身体の奥がじんわり熱い。


(やばい。風邪。……いや、違う!

だって僕、今“幕府大学健康印付き男子”だぞ!?)


焦りまくりの総司。

今バレたら監視隊復活どころか、

「健康証明取り消し」までありえる。


「……藤堂くんっ! 斎藤くんっ!!」


ちょうど通りかかった二人を物陰から呼ぶ。


「どうした、そうじ?」


「しーっ! しーっ!!」


総司は涙目で訴えた。


「お願い! ぼく……ちょっと風邪っぽいかも……」


「……は?」


「今バレたら、監視隊復活!

風呂も厠も! 呼吸まで監視されちゃうかもーー!」


藤堂は吹き出す。


「あるか、そんな監視!」


「あるんだよぉ! 過去にあったんだよぉ!」


斎藤はため息をつき、腕を組む。


「……で、どうしたい」


「僕を……どこかに隠してぇぇぇ!!

熱が出る前に!!」


「いまのところ熱もないだろう。鼻声だけだ」


「でも喉がイガイガするんだよぉ!

これ絶対、熱が出るタイプの風邪だーー!!」


結局、斎藤の判断で――


“屯所の物置部屋(乾物倉庫)”に避難。


「ここなら誰も来ない」


「助かるぅ……」


総司は布団にくるまりながら鼻をすすった。


守るぞ、健康証明!


しかし物置は寒く、

風邪はどんどん勢いを増していった――。

           ーつづくー

今日も健康こそ誠!

次回もどうぞお楽しみに♨️


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ