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来年、また。  作者: はじめ
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冬の約束

年が明けて元日。僕は公園で君を待っていた。いつもなら時間ギリギリに行くはずなのに、今日は一時間前についてしまった。

「ごめ~ん!待ったでしょ?」

「いま来たとこだよ。」

声を出すのにも緊張して、言葉が続かない。

彼女は当たり前のように僕の横に並んで、僕の手を取った。

「こうしたらあったかいでしょ?」

「う...ん...。」

いきなり手を繋いだ恥ずかしさで、彼女の顔をみることができなかった。

結局手を繋いで、神社まで歩いていった。人が少しずつ多くなり、僕は彼女に引っ張られていた。

「あ、おみくじあるよ!」

そう言われて、僕はおみくじを引くことになった。

結果は吉。

学業は問題なし。現状維持。金運は損はしない。自分の望み通りに。という感じのことが書かれていた。

そしてもう一つ、人間関係、恋愛。そこにはこう書かれていた。

【関係がきれる。しかし、急ぐのは禁物。ゆっくり待てば、もとに戻る。】

神様は僕が片思いしていることを知っているようだ。何にせよ、僕に思いを伝える勇気はない。神様の言う通り、ゆっくり待つことにする。

彼女の方は、と思い横からのぞくと、彼女が引いたのは大吉だった。

「大吉引けたよ!今年一年幸せだよ〜」

彼女のおみくじには大吉の文字が。書かれている文章を読むと、今年は何もかも順調だと書かれていた。

羨ましいが、まあ嬉しいので良しとする。

「あ!あそこに絵馬もあるよ!」

「書く?」

「もちろん!」

彼女に引っ張られて絵馬を書くことになった。書くことは決めていないが...合格祈願でもするとしよう。

彼女の方はというと...絵馬に大きく書かれていたのは、“美味しいものがいっぱい食べたい!”。

「受験合格とかじゃなくていいの...?」

ついつい気になって聞いてしまった。天然であることはわかっていたが、さすがに驚いた。

「受験は頑張れば行けると思うから!それよりも美味しいもの食べたい!」

すごいのか、天然なのか...いまいちわからないが、とりあえず何も言わないことにした。彼女の元気な姿を見るのは楽しかった。

元日だということもあって、神社にはたくさん店が並んでいた。幸せそうに食べる彼女を見ていると、僕も幸せだった。

彼女と一緒に歩いていたらいつの間にか神社に来てから一時間も立っていた。

「時間がたつの早いよ〜。そうだ!お参りしてこようよ!」

時間が立ったからか、人は減っていた。彼女とともに賽銭を入れ、願ってみることにする。

「(受験合格できますように...あと来年も一緒に来れますように)」

受験合格に今は集中するべきなので来年を楽しみに受験を頑張ろうと決意した。

帰り道、いつもの公園で別れることになり、公園まで歩いた。公園につくと彼女にまた手を繋がれた。

「来年もまた、一緒に来ようね」

「来年は(はる)が引っ張る側になってよ。」

そんなことを言われて、すこし恥ずかしいのだが...これは告白しても成功するかもしれない...と思いつつも結局勇気はなし。大人しく彼女を見送った。

「冬休み終わったらまた会おうね〜!」

彼女は公園の出口の近くからそう叫んだ。僕はただただ手を振った。

それからというものの、彼女と会う機会は無く、冬休みは終わった。


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