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9:子ども扱いされている?




 先ずは透明石の話からすることになりました。

 

「ファセットカットについてですが――――」


 基本的には十七面体で、そこからどうやって面を増やしていくかなのですが、我が領では百面を超えるものを作り出しています。


「それだ。なぜあんなにも細かな面を作れるんじゃ」

「ゲアト様――――」

「なんじゃ気持ち悪い。ワシらは呼び捨てでいい」

「えっと、ゲアト?」

「なんじゃい」


 名前を呼ぶと、なぜかゲアトがそっぽを向いてしまいました。ホルガーさんもアヒムさんも呼び捨てにしてくれと言われるのでそうすることにしました。

 そしてゲアトは照れているだけだから気にしなくていいとも。


「照れとらんっ!」

「うふふっ。では、続けますね――――」


 そうしてファセットカットの幾何学模様の考え方について話を進めました。

 時にはペンを取り、図を描き、なぜ細かな面の作り方をするのか、そうしたら仕上がりにどんな影響があるのかなど、気がつけば四時間近くも話し込んでいました。


「すまないが、そろそろ時間だ」

「っ――――申し訳ございませんっ!」


 ヘンドリック殿下にそう声をかけられて、彼をずっと蚊帳の外というか、待ちぼうけさせていたと気が付きました。


「いや、生き生きとした君を見られてホッとしたよ」


 よしよしと頭を撫でられて、なんだか子ども扱いされているような気分になりました。

 確か年齢は二十九歳。私の十歳年上です。

 子ども扱いも仕方ないのかもしれません。

 とくに気にすることもなく、夜に部屋に訪れられるのも、妃用の部屋を未だに使わせてくださっているのも、それが理由なのかもしれません。


「では、今日はこれまでに」

「殿下! 次はいつじゃ!?」

「んー、来週なら私も同席出来るかな」


 ゲアトが一週間もお預けなのかと悔しがっていました。ホルガーが当初と態度が違いすぎるよと苦笑いしていて、ついつられて笑ってしまいました。


「さ、身体に障る。ではまたな」


 ヘンドリック殿下が左手を伸ばしてこられたので、エスコートされるのかと思い右手を重ねようとしました。ですが、彼の手はするりと私の腰に回され、抱き寄せるようにして歩きだされました。

 脇を支えられるほどに疲れてはいないのですがとお伝えすると、後ろでゲアトが大声で笑い出しました。

 何事かと振り返ったのですが、ホルガーとアヒムが気にしないでいいとゲアトを作業場の中に押し込んでいました。


 ――――いったい、なにが?


「では、また来週お待ちしております」

「ええ」


 初顔合わせは、当初の不安を吹き飛ばせるほどに順調に終わりました。

 これからが楽しみです。




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