表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私って悪役令嬢ですわよね? 〜全てを奪われた令嬢の逆襲〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/63

57:悪役令嬢という存在。

 



 議事堂内を見回したあと、アロイス様に視線を固定しました。


「あの日から今日まで、私はしっかりと牙を研いでいましたの。ついでに宝石も」


 まぁ、宝石を研いだのは研磨職人ですが。


「先ずはアロイス様、ご成婚おめでとうございます」


 我が家の事業の後釜に据えられていた侯爵家。そこのご令嬢と結婚され、再来月には出産?

 ほんと、おめでたいですね。


「国外追放されたあと馬車の事故に遭いましたが、その事故は仕組まれたもので確定なのだそうですよ?」


 御者がいなかったこと、馬が怪我でなく毒で死んでいたこと、馬車の車輪の軸に細工がされていたこと。それらはヘンドリック様が、私の両親と妹の亡骸を回収しに行かせた騎士たちに調査させたそうで、断言できるとのことでした。


「我が家の事業は、第四王子妃殿下のご実家である侯爵家が引き継いでくださったとか? ブフナー侯爵様、ありがとう存じます」


 笑顔でそうお伝えすると、眉間に皺を寄せられ、目を逸らされてしまいました。

 あらまぁ、いったいどういう反応かしら? と思いましたら、アロイス様がザンジル国王の命令を無視して、口を開いてくださいました。


 我が家が情報の秘匿をしていたため、職人たちから研磨技術や取引先など聞き出すのに時間が掛かっていたこと。ここ最近、妙に買い渋りされているようだと思っていたこと。それらを躾のされていない犬のように、ギャンギャンと叫んでいます。


「お前がヴァイラントに情報を売ったせいだったんだな!? 売国奴め!」


 ビシリとこちらを指差し、まるで私を断罪するかのようなアロイス様。残念なことに、そうはならないのですよね。


「あら? だって、アロイス様がそうなるよう、仕向けたのでしょう? アロイス様の失態がこの事態を招いたのですよ。それに、私を悪役令嬢だと仰ったのはアロイス様ですが? もしかして、悪役令嬢がどういう存在なのかも理解せずに仰ったのですか?」


 なにを馬鹿な反応をしていますの? と薄ら笑いしながらお伝えすると、アロイス様がワナワナと震えだし、近くにいた騎士の剣を奪い取りました。


「アロイス!」


 ザンジル国王が慌てて名前を叫ぶも、制止することは叶いませんでした。

 ここまでの逆上は予想していませんでしたが、これはこれで僥倖です。


「あら。ヴァイラントに剣を向けるのですね」

「ハッ! 国外追放されたなんの権力も権利も持たないただのティアーナだ。お前一人ごときで、長らく続いた国同士の和平条約が揺らぐなど、あるわけがないだろう」


 馬鹿にしたように笑いながら、アロイス様がこちらに近づいて来られました。


「――――あるんだよな。それが」


 ヘンドリック殿下が私を庇うように、アロイス様と私の間に入りました。

 どれだけアロイス様の頭が弱かろうとも、流石に彼に剣を向けることはないとは思うのですが、それでも心臓がバクリと早鐘を打ちます。

 ここまで巻き混んでしまったものの、これ以上の迷惑は掛けたくないというのが本心です。


「国王」

 

 ヘンドリック殿下がアロイス様から目を離さずに、ザンジル国王に声を掛けました。

 その声には怒りも焦燥もなく、ただ淡々と。


「貴国の考えは理解した。今回のことについて、全権はティアーナにある。そのサポートとして私がついてきたが、想定外の事案が出た場合は私が全てを決めることになっている」

「お待ちいただきたい!」


 ずっと口を噤んでいた第二王子殿下が、ここに来て急に立ち上がり発言の許可を求めて来られました。


「断る」


 ヘンドリック様が一瞬でぶった切りましたが。


「聞いたところで考えは一緒だと思うが。ティアーナ、どうする?」


 さて、どこまで要求できるか。

 ザンジル国王をどれだけ脅せるかにかかってきますね。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


『結婚前夜に義妹に婚約者を奪われたので、責任取ってもらいます。』

☆ 2巻 6/20発売 ☆

書籍表紙

なんと!
超絶素敵な表紙絵を描いてくださったのは、『おの秋人』様っ!
このラブラブ具合、神じゃね?(*´艸`*)キャッ

2巻も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
フェルモたんの話とか、子供たちとかもちょい出てくるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されますが、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ Amazon

▷▶▷ honto

▷▶▷ ピッコマ

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ