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私って悪役令嬢ですわよね? 〜全てを奪われた令嬢の逆襲〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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47/63

47:抱いた感情。

 



 怒らせてしまったと思いました。

 だって、ヘンドリック殿下の声がどんどんと低くなり、小さくなっていくから。


「それなのに、嫉妬だと?」

「っ…………はい」

「――――可愛い」

「はい?」

「いや、本当に、可愛い」

「えぇっと?」


 ヘンドリック殿下が絡めていた指を解き、ぎゅっと抱きしめてこられました。


「不安にさせてすまない」


 そして、ヘンドリック殿下が語ってくださったのは、王族という立場でしか見えてこないようなものでした――――。




 膨大な量の好意にも悪意にも、晒され続ける人生だ。


 生まれながらにして強国の王太子という立場。

 幼い頃は誰からも愛されていると思っていた。自国の民も他国の使者や王族でさえも、皆がにこにこと笑いかけてくる。様々な話を聞かせてくれる。

 成長するにつれ、その裏にあるものが少しずつ見えてきた。


 小さな好意は、将来を決めるかのような大事に扱われる。

 お茶会などでご令嬢と少し楽しく話せたなと思った翌日には、その相手の家から婚約の話が舞い込んで来てしまう。断るとなぜあんなに楽しそうに話しかけたのだと相手に問われる。

 ただ、世間話をしただけだった。出されていた菓子はどれが好きかと聞かれて答えると、一緒だと言って奇遇だなと笑っただけだった。


 そうした思春期を通り過ぎ、大人になり、自ら結婚を望む気にもなれず、淡々と執務をこなすのみ。

 父と母が大恋愛の末の結婚だったせいか、いつか契約結婚はしてもらうかもしれないが、そのいつかが来るまでは口煩くは言わないでおく、と父が言っていた。

 私は、契約結婚で構わなかった。

 誰も愛せそうにないから。


 だから、誰から好意を寄せられても、一方通行であり、受け取ることはなく、欲しいとも思わない。

 ありがたいとは思うが、それだけだった。

 メロディはメロディで、それ以上にもそれ以下にもなることはない。ただの、妹のようなもの。

 好きだと言われても、『ありがとう』以外は思うこともない――――。




 ヘンドリック殿下に抱きしめられていて、殿下のお顔が見えません。淡々と話されていたので、余計に感情が読み取れませんでした。


「ただ、例外は存在するのだと知った」

「例外ですか?」

「ティアーナ、君だよ」


 首筋から顔を上げた殿下に、また唇を塞がれてしまいました。

 

「ん……っ」

「嫉妬されて、嬉しいと思ったのは初めてだ」


 ヘンドリック殿下が『嬉しい』、『可愛い』、『もっと聞かせて』とバードキスを繰り返す間に何度もおっしゃいます。


「嫉妬は……醜い感情ですから。あまり話したくはないです」


 自分の中で処理したいのだと伝えると、少し残念そうにされてしまいました。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


『結婚前夜に義妹に婚約者を奪われたので、責任取ってもらいます。』

☆ 2巻 6/20発売 ☆

書籍表紙

なんと!
超絶素敵な表紙絵を描いてくださったのは、『おの秋人』様っ!
このラブラブ具合、神じゃね?(*´艸`*)キャッ

2巻も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
フェルモたんの話とか、子供たちとかもちょい出てくるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されますが、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ Amazon

▷▶▷ honto

▷▶▷ ピッコマ

― 新着の感想 ―
[一言] さっさと誤解させた内容を話せーーー 主人公が可愛いのはわかるけど、今の皇子はただ部屋に来て可愛いとか言って誤魔化して主人公のキス奪った変態でしかないんだーーー!
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