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私って悪役令嬢ですわよね? 〜全てを奪われた令嬢の逆襲〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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46/63

46:追い詰められて。

 



 部屋に逃げ込んだものの、ヘンドリック殿下に扉をノックされてしまえば、開けざるを得ません。

 部屋に招き入れると、何故か壁際に追い詰められ、両側を手で塞がれてしまいました。


「ティアーナ、怖がらないでくれ」


 そう言われて、怖がっていないと反射的に答えてしまいましたが、バレているのだと思います。とても悲しそうなお顔で微笑まれてしまいましたから。


「なんで、ヘンドリック殿下がそんな顔をするんですか……」

「君を愛してるからだよ。君を失いたくないから」


 その言葉に、嬉しさと悲しさ、悔しさや惨めさといったものがない混ぜになりました。


「…………分かっているんです。わがままを言って殿下を困らせていると」

「うん」

「だから、どうか、ひとりに――――」

「いやだ」


 ひとりにしてください、とお願いしようとしていたのですが、被せながらに拒否されてしまいました。

 精神を落ち着ける時間が欲しかったのです。前向きになれる時間が。

 いまの私には、それがとても難しいことだったから。


「惨めなんです! 後ろ向きになっている姿を好きな人に見られるのが、とても惨めなんです。追い詰めないでください。わがままを言ってすみません。帰って――――」


 また、最後まで言わせてもらえませんでした。

 今度は唇を塞がれたせいで。


 それは押し付けるようなものではなく、柔らかく重ね、甘く絡ませ、崩れ落ちるほどに(とろ)けさせられました。

 腰から力が抜けてしまい、床に座り込もうとした途中で何があったのか。気づけば左手はヘンドリック殿下の右手と絡めるように繋がれ、腰は彼の左腕にガッチリと抱き寄せられていました。

 

「何があっても、何を言われても、私は君を諦めない」


 少しだけ唇を離して紡がれた言葉に、心臓が締め付けられました。

 いつもは柔らかなエメラルドグリーンの瞳が、赤く燃えているように見えます。

 

「不安にさせてすまなかった」


 ちゅ、と軽く柔らかなキス。


「ごめん」


 ちゅ、と更に触れるだけのキス。


「ごめん……もう一回だけ」


 今度は長い長いキス。

 熱くて苦しくて、甘く蹂躙するような。


「…………ごめん。何も考えてなかった。このキスに深い意味はない。ただ、ティアーナとキス出来て嬉しい、気持ちいい、しか考えてなかった……ごめん」


 唇を解放されてハァハァと必死に呼吸していたら、首筋にヘンドリック殿下が顔を埋めてこられました。

 弱々しく呟かれた言葉があまりにも予想外で、いろいろなことが頭から飛んでしまいました。


「嫉妬してました…………」

 

 ポロリと零れ落ちた言葉。それがゆっくりと全身に染み渡りました。


「私はまだ知り合ったばかりの他人で、彼女のように近い存在にはなれていない気がして」

「私は、君の婚約者だろう?」

「はい」

「君を愛していると、伝えたろう?」

「はい」


 ヘンドリック殿下の声が徐々に低くなっていきました。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


『結婚前夜に義妹に婚約者を奪われたので、責任取ってもらいます。』

☆ 2巻 6/20発売 ☆

書籍表紙

なんと!
超絶素敵な表紙絵を描いてくださったのは、『おの秋人』様っ!
このラブラブ具合、神じゃね?(*´艸`*)キャッ

2巻も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
フェルモたんの話とか、子供たちとかもちょい出てくるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されますが、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ Amazon

▷▶▷ honto

▷▶▷ ピッコマ

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