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私って悪役令嬢ですわよね? 〜全てを奪われた令嬢の逆襲〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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44/63

44:時期尚早だった。

 



 ヘンドリック殿下が見せてくれた景色がとても素敵だったこと、共有してくれて嬉しかったこと、ともに守っていきたいと思ったこと。

 それらの想いをゆっくりと紡ぎました。


「よかった」


 ホッとしたように微笑んでくださったので、私も嬉しくなりました。ですが、話はまだ終わっていないのです。続けなければいけない言葉に、胃が締め付けられます。


「ただ、あの場所を紹介していただくには、早すぎたようです」

「……え?」


 エメラルドグリーンの瞳が不安そうに揺れています。正直なところ、怖いです。どう思われるのか、どう反応されるのかが。


「ヘンドリック殿下を愛称で呼び捨てする女性と向き合うには、時期尚早でした」

「っ! いや、違っ――――」

「どのような関係なのか、知りません。いまは、知りたくありません。ただ、私の覚悟が足りなかった。それだけです。せっかくの素晴らしい時間や思いを台無しにして申し訳ございませんでした」


 ヘンドリック殿下に向かって腰を折りました。


「やめてくれ!」

「っ……ごめんなさい」


 悲痛な声でそんなことをしないでくれと言われてしまいました。

 

「マノンの娘は母の侍女なんだ。あの()はその侍女の子どもで…………ただの幼馴染というか、兄妹のような感覚で……………………」

「私は、知りたくないと言いました!」

「っ!?」


 知ったら余計に惨めだから。

 

「ごめんなさい。本当に、ごめんなさい」


 新しい何かを手に入れるたびに、不安で不安で仕方なくなります。また失ったらどうしよう。また奪われたらどうしよう。もう、二度と立ち直れないかもしれない。

 信じていいとわかっているのに、怖いのです。

 指の隙間から零れ落ちていく砂のように、全てがなくなっていきそうで。


「ごめんなさい」


 もう一度だけヘンドリック殿下に謝罪し、体を車窓に向けました。

 流れ行く景色だけを見ていたかったから。

 自己中心的な態度で申し訳ない気持ちがあるのですが、精神を立て直すのには、少しだけ時間が必要そうです。


 養父母の屋敷に着き、馬車から降りました。

 終始無言ではありましたが、それでもエスコートしてくださるヘンドリック様にカーテシーをして、出来る限り早足で屋敷に入りました。


 後ろで何があったのかと、ヘンドリック様を問い詰めている養母の声が聞こえましたが、聞かないようにして私室へと急ぎました。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


『結婚前夜に義妹に婚約者を奪われたので、責任取ってもらいます。』

☆ 2巻 6/20発売 ☆

書籍表紙

なんと!
超絶素敵な表紙絵を描いてくださったのは、『おの秋人』様っ!
このラブラブ具合、神じゃね?(*´艸`*)キャッ

2巻も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
フェルモたんの話とか、子供たちとかもちょい出てくるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されますが、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ Amazon

▷▶▷ honto

▷▶▷ ピッコマ

― 新着の感想 ―
[一言] これは皇子と侍女の孫が悪い。 皇子はそんなつもりは無いで許される環境にいたから肝心な大切な人に要らない誤解を与える。 侍女の孫はどういうつもりにせよ、距離感がおかしい。 嫉妬は恋のスパイス…
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