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私って悪役令嬢ですわよね? 〜全てを奪われた令嬢の逆襲〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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42/63

42:ヘンドリック殿下が抱えているもの。

 



 サワサワと優しい風に吹かれながら、景色に目を向けました。テラスからは王都とその後ろに広がる高い山が望めます。


 雄大な自然と人々の営みが一緒に見れるところが、ヘンドリック殿下のお気に入りなのだとか。

 風になびく赤い髪をリボンでまとめ直しながら、教えてくださいました。

 

「時々ここで王都を見て、自分が背負うものを再認識するんだ。私は王太子であり、次期国王なんだとね」


 何か大きな変化が訪れるとここに来て、王都を見て気合を入れているのだとか。

 

「お待たせいたしました」


 ヘンドリック殿下と王都を眺めていましたら、マノンさんと従業員の女性が、ランチプレートを持ってきました。

 みずみずしいリーフサラダと、拳のようにまん丸なハンバーグ、こんがりきつね色に焼かれたくるみパン。


「パンを半分にしてハンバーガーにしてもいいし、そのまま食べてもいいわよ。()()()はハンバーガーにするだろうから、先に切り目を入れてるわよ」

「ん。ありがとう」


 ――――ヘディ。


 従業員の女性はどことなくマノンさんに似ているけれど、娘といった年齢ではなさそう。お孫さんなのかもしれませんね。

 ヘンドリック殿下がハンバーガーにしたほうが美味しいんだよ、と言われたのでそうすることにしました。


 ナイフでくるみパンを横に切り、バターを塗る。下側のパンにサラダをこれでもかと乗せ、その上に拳骨大のハンバーグをドフリと乗せました。

 サラダに優しく包まれたハンバーグに専用のソースを掛け、上側のパンをそこに乗せる。


「両手でしっかりと持ち、がぶりと齧り付く」

「持って、がぶり」


 言われたとおりにすると、ハンバーグから肉汁がジュワリと溢れ出し、下側のパンに吸い込まれて行きました。

 鼻腔に広がるしっかりと焼かれたお肉の匂い、香ばしいくるみパン、全てをまとめ上げる特別製のソース。

 それぞれがしっかりと仕事しています。

 まるで、最初からハンバーガーとして作られたもののよう。


「んむっ! ……おいひいでふ」

「だろう?」

 

 ヘンドリック殿下がニヤリと笑いながら、ハンバーガーに齧りつきました。

 二人でハンバーガーを食べながら、また王都を眺めました。 


 王都は少し高い壁に囲まれているのですが、とても綺麗な円形状になっています。

 

「王城はちょうど真ん中にあるのですね」

「ああ。五代前の王が遷都して今の王都になったんだ」


 元々は奥に見える山の向こう側の麓に王城があったのだとか。山に王城の背を守ってもらう形になっており、その麓に王都が広がっていたのだとか。


「歴史書で見ました。たしか昔の王城はまだ残っているとか」

「ん。今は避暑地のような扱いになっているな」

「麓に広がっていた町はどうなったのですか?」


 そこは歴史書には書かれていませんでした。

 ただ『遷都した』とだけで、それ以外は何も。


「ほとんどの家は崩されたが、小さな村のような状態で、今も住んでいる民がいる。主にワイン造りをしているかな」

「ワインですか」


 ヘンドリック殿下が、いつか旧城も一緒に見に行こう、と言われました。

 もちろんですとお答えすると、嬉しそうに「約束だ」と破顔されました。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


『結婚前夜に義妹に婚約者を奪われたので、責任取ってもらいます。』

☆ 2巻 6/20発売 ☆

書籍表紙

なんと!
超絶素敵な表紙絵を描いてくださったのは、『おの秋人』様っ!
このラブラブ具合、神じゃね?(*´艸`*)キャッ

2巻も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
フェルモたんの話とか、子供たちとかもちょい出てくるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されますが、一例としてリンクボタンも置いておきます。


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▷▶▷ honto

▷▶▷ ピッコマ

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