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私って悪役令嬢ですわよね? 〜全てを奪われた令嬢の逆襲〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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37/63

37:侍女――ルネの立ち位置。

 



 ルネはヘンドリック殿下とあまり変わらない年齢です。結婚していたり恋人がいる様子もなく、王城の使用人棟に住まい、ほぼ毎日のように側付きの侍女として働いています。

 ヘンドリック殿下いわく、大家族である侯爵家の末の子なのだとか。

 さすがに侯爵家ともなれば、侍女をする地位ではないという認識だったのですが、王族に仕えるのであればそのくらいは必要なのでしょうか?


「そのね、ただの興味だから言いたくなければ、それで構わないの――――」


 ヴァイラントでは、王族側仕えの使用人たちは伯爵家以上ではないといけないのか、と聞いてみました。


「……いえ。どのような地位でも採用されています」

「そうなのね。ルネはなんで働こうと?」

「家が貧しいので」


 ――――え?


「侯爵家よね?」

「ヘンドリック様に聞かれたのでは?」


 ルネが怪訝な顔をして聞き返してきました。初めて見る表情です。いつも麦穂色の髪をぴっちりとまとめ、表情を崩さないのに。


「大家族だということしか聞いていないわ」 

「兄と姉、私を合わせて十五人おります」

「じゅっ……」


 各々の散財癖と支度金で、ルネが十になる頃には、ほぼ没落しかけていたそう。兄や姉たちを見続けているうちに、結婚に興味も希望も抱けなくなり、働きに出ることにしたのだとか。


「そうだったのね。話してくれてありがとう」

「私からも……お聞きしても?」

「ええ」


 ルネの鋭く光るような視線に、自然と背筋が伸びました。


「ティアーナ様は、ヘンドリック様を利用したいのですか? 利用したくないのですか?」

「え…………」

「どちらか分からないときがあり、サポートしづらいと思っていましたので」


 サポートはどっちの? と思っていましたら、私のだと言われました。

 ルネは殿下にどれだけ不利になろうとも、私の思う通りに動くよう、殿下本人に言い含められているのだとか。


 普通に考えると、いらぬ発言で言質を取られたりなどの危険があるので、明言は避けるのが基本です。

 ですが、ルネにはちゃんと答えたい――――。

 

「どこまでも利用するわ、そう約束したから。好きな人たちを巻き込んでしまう悔しさが拭えないだけなの」

「承知しました」


 ルネが深々と臣下の礼をとりました。そして、どこまでも利用する方向で動きますとキッパリと宣言されました。

 私より、ルネのほうが芯が強い。そう思ったのですが、ルネが自分には人を愛する気持ちがわからないので、と付け加えました。


 彼女には彼女の人生があり、過去に何かがあったのでしょう。ただ、今はそれは教えてはくれなさそうです。

 荷物の片付けを再開するルネを見つつ、いつかまたこういう話ができたらいいなと思いました。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


『結婚前夜に義妹に婚約者を奪われたので、責任取ってもらいます。』

☆ 2巻 6/20発売 ☆

書籍表紙

なんと!
超絶素敵な表紙絵を描いてくださったのは、『おの秋人』様っ!
このラブラブ具合、神じゃね?(*´艸`*)キャッ

2巻も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
フェルモたんの話とか、子供たちとかもちょい出てくるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されますが、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ Amazon

▷▶▷ honto

▷▶▷ ピッコマ

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