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私って悪役令嬢ですわよね? 〜全てを奪われた令嬢の逆襲〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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34/63

34:ヘンドリック殿下の、おもい。

 



 指輪をじっくりと見ていましたら、ヘンドリック殿下がクスリと笑われました。


「私にも指輪を嵌めてくれると嬉しいのだが?」

「っ! あっ、はいっ!」

「ふふっ」


 慌てて右脚に重心を乗せ、立位を保ってから杖を手放すと、とても慌てられてしまいました。一分程度なら、杖なしで立つことくらいは出来るのです。

 大丈夫ですよとお伝えしてから指輪をリングピローから取り、ヘンドリック殿下の右手薬指にゆっくりと嵌めました。


「ん」


 あまりにも幸せそうに破顔され、私の心もぽかぽかと温かくなって来ました。

 続いて誓いの言葉を言い、婚約証明書と婚前契約書にサインをし、婚約式は終了です。


 二枚の書類は、信頼のおける相手に預けるのが慣わしとのことで、養父に預けることとなりました。

 本来、国王陛下一択なのでは? と思うところですが、ヘンドリック殿下が、国王陛下には絶対に渡すなと言われました。絶対に、面倒なことになるから、と。


 養父は苦笑いしつつも、大切に保管すると約束してくださり、なんとなく申し訳ない気持ちになりました。


「気にしなくていい。いつものことだ。さて、()()()()

「はい」


 養父が左手を差し出してくださったので、そこに右手を重ねます。


「……本当に、行くのか?」

「はい」


 婚約式のあとから、私は住まいを養父母の家に移すことになりました。

 ヘンドリック様の箍が外れてしまわないように。今後のことで、何かしらの余計な詮索を受けないためにも。

 

 ヘンドリック様たちにゆっくりとカーテシーをし、養父母とともに馬場に向かって歩き出しました。


「ティアーナ、馬車をなるべく揺らさぬよう走らせますが、我が家までは少し時間がかかってしまうの。気持ち悪くなったらすぐに言いなさいね」

「ありがとう存じます」

「私たちはもう親子だ。『ありがとう』だけでいいんだよ」


 眉を落として心配そうに話しかけてくれる、穏やかな養母。

 柔らかく微笑んで諭してくれる、ガッシリとした武人らしい見た目の養父。

 実の両親とはあまり似通っていないものの、なんとなくこの人たちのことを『親』なのだと実感できました。


「っ……ありがとう」

「ふふっ。さっ、出発しましょう?」

「はい」


 この方たちと出会わせてくださった国王陛下に、心から感謝をしました。

 こんなにも問題を抱えている私を、なんの迷いもなく受け入れてくださったとお聞きしています。

 できる限り迷惑をかけずに過ごしたいのですが、いま既に多大なるご迷惑をかけてしまっています。


「しかし、壮観だぁねぇ」


 養父が、私たちの乗る馬車の後ろに並んだ荷馬車をチラリと見て、苦笑いしました。

 なぜなら、荷馬車が五台もあるのです。私の荷物だと言い張って、ヘンドリック殿下が用意させたものなのですが、何が入っているのか実はあまり把握できていません。


「重いわね」

「重いな」

「すみませんっっ」


 お二人の言う『重い』はヘンドリック殿下の『想い』の方とのことで、顔合わせの際にも声を揃えて言われてしまっていました。

 正直なところ、私も同意見ではありましたので、否定ができません。

 

 


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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


『結婚前夜に義妹に婚約者を奪われたので、責任取ってもらいます。』

☆ 2巻 6/20発売 ☆

書籍表紙

なんと!
超絶素敵な表紙絵を描いてくださったのは、『おの秋人』様っ!
このラブラブ具合、神じゃね?(*´艸`*)キャッ

2巻も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
フェルモたんの話とか、子供たちとかもちょい出てくるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されますが、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ Amazon

▷▶▷ honto

▷▶▷ ピッコマ

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