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私って悪役令嬢ですわよね? 〜全てを奪われた令嬢の逆襲〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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26/63

26:図書館の前で。

 



 王城に戻り、先ずは図書館へ向かうことにしました。

 ヘンドリック殿下とは馬場で別れました。それぞれの仕事をするために。


 杖をつきゆっくりと歩くことにも慣れました。

 気付けばヴァイラントに来て三カ月が経とうとしていました。

 次に両親と妹のお墓に行くのは、復讐を終えてからと決めています。

 今はただ、前を向き続けなければ。


 ヘンドリック殿下は私のことを強いと言いましたが、実際はそうではないのです。

 弱いと分かっているから、幾重にも小さな扉を付けているのです。


 どれをしたら、どう。

 コレをしたら、こう。

 小さな目標と、小さな結果。

 小さな我慢と、小さな褒美。


 そうやって躓かないように、折れないようにしているだけなのです。

 そして、脆弱なのだと知られたくないから、強く否定もしなかった。


「っ…………」


 図書館に着く直前に、左脚が痛み出してしまいました。こういうとき、私は我慢して歩きません。だって痛いから。当たり前のように立ち止まります。

ほらね? とても、弱いのです。


「ん? 俯いてどうかしたのかい?」


 図書館の方から声が聞こえてきたので顔を上げると、コテンと首を傾げた国王陛下がいらっしゃいました。

 慌ててカーテシーをするも、痛む脚では上手くできずにふらつくのみ。

 国王陛下が軽い足取りで近付いて来られ、そっと身体を支えてくださいました。


「礼儀も大切だが、自分の身体を把握しなさい」

「申し訳ございません」

「君の左脚はもう戻らないのだろう?」

「っ…………はい」

「んむ。そうだ、ちょっと付き合いなさい」


 国王陛下が「ええっとあの子はこうやっていたかな?」など呟きながら、ヘンドリック殿下と同じようにエスコートを右腕側でしてくださいました。

 そうして向かったのは、図書館ではなくそこから少し離れた王城奥の庭園。

 

「ここは入ったことがあるかな?」

「いえ、初めて訪れました」

「ふぅん? まぁ、それが正解ではあるが、馬鹿な息子だねぇ」


 国王陛下がつまらなさそうにおっしゃる意味が分からなくて、お顔を見つめていましたら、何故かにやりと自虐的な笑みを向けられてしまいました。

 ヘンドリック殿下が壮年になったらこんな風になるのかな、なんて思うとドキリとしてしまいます。


「ここはね、王族専用の庭園なんだよ」

「え…………?」

「ふふふ。王族しか入れず、王の許可証が無くば、他人を入れることが許されていない庭園だ」

「っ!」


 ということは、私はそこに勝手に立ち入っている状態なのでは?


「――――っていうのは、まぁルールとしてあるだけなんだけどね」


 有って無いようなものだよと、くすくすと笑いながら言われましたが、つまりはルールが存在するのは事実で、私はそれに違反しているのも事実なのでは?

 



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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


『結婚前夜に義妹に婚約者を奪われたので、責任取ってもらいます。』

☆ 2巻 6/20発売 ☆

書籍表紙

なんと!
超絶素敵な表紙絵を描いてくださったのは、『おの秋人』様っ!
このラブラブ具合、神じゃね?(*´艸`*)キャッ

2巻も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
フェルモたんの話とか、子供たちとかもちょい出てくるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されますが、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ Amazon

▷▶▷ honto

▷▶▷ ピッコマ

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