25:職人たちと。
職人たちと話し合いながら、王妃陛下にお披露目する製品を次々と決めていきました。
見本用といえど、本物の宝石を使うのであれば、使用してほしいというのが本音です。
職人たちの努力の結晶を眠らせるなど言語道断。
それに――――。
「宝石はケースなどに飾っても意味がないのですよね」
「ふむ? なぜだい?」
「宝石は、着けた人を輝かせるものですから」
そう言うと、職人たちが深く頷きました。
ゲアトにいたっては、バンッとテーブルを叩きながら立ち上がりました。
「分かっとるじゃないか!」
あまりの勢いに驚いていましたら、ホルガーとアヒムの二人が「座れジジイ」とかなんとか言いながら、服を引っ張りイスに座らせていました。
この三人、前から顔見知りではあったらしいものの、以前はそこまで深く関わることはなかったのだとか。
一緒に作業することになってから、かなり息が合うというか仲良くなっているらしいのです。
「全く……ジジイはシラフでも騒がしいな」
「あら、飲んだらもっと騒がしいの?」
「それがですね――――」
ホルガーが嬉々として話してくれました。
新たな技術をほぼ確実に習得できた喜び。弟子たちにまで教えられたこと。その弟子たちが、更に自分たちで考えて新たな技術を生み出そうとしていること。
それらがとても嬉しくて、夜遅くまで作業した日などは、三人で晩酌をすることが増えたのだとか。
「ジジイは弱ぇのに、ガンガン飲むんだよな」
「あぁ。そして、ベロンベロンに酔って最後は必ず、『嬢ちゃんをこんな目に遭わせたヤツラを許さーん』って叫ぶんですよ」
アヒムがムッとしながら言うと、ホルガーはくすくすと笑いながら、そっぽを向いて照れているゲアトに視線を送っていました。
「ゲアト、貴方が味方になってくれて心強いわ」
「ふ、ふんっ! 持ち上げたって何も出やせんぞ」
「あははははは!」
ツンとして照れを誤魔化すゲアトがあまりにも可愛らしく、笑いが止まらなくなってしまいました。
「――――では、来週のどこかで披露する場を用意しておく。細かな事が決まりしだい書面で通達する」
「承知しました」
談笑しつつも作り上げる作品の話はしっかりとまとめ終えました。
あとは、制作に取り掛かるのみ。
出来上がりまでまた通おうとしていたのですが、三人が自分たちの技術を信頼してくれ、お披露目で見せたい、と言ったので深く頷きました。
職人を信頼し、仕事を任せるのも大切です。
私は私で、通わない間にできることをすることにしました。
ザンジルにどう復讐するかなど、詰めましょう。
悪役らしく、倍以上の報復を――――。





