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私って悪役令嬢ですわよね? 〜全てを奪われた令嬢の逆襲〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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21/63

21:ねぇ、ティアーナ。




 □□□□□




 ソファに座ったティアーナの前に跪き見上げると、彼女が今までにないほど困惑の表情を浮かべていた。

 正直なところ、私も困惑している。

 もっとスマートに進めたかったのだが、そんなちっぽけな拘りやプライドはかなぐり捨てた。

 ティアーナにこれ以上傷付いて欲しくないから。


『逃げたくもなります! この関係はなんなのですか? ビジネスではなかったのですか? 契約をしたのはなんのためなのですか? 私は……………………なんのためにこの部屋にいるの? 復讐すること以外を考えさせないでっ!』


 ティアーナの希望通りにしたほうがいいのかもしれない。だが、復讐を終わらせたらティアーナはどうするのだろうか? どうなるのだろうか?

 唯一の心の支えがなくなってしまったら、人はもう立ち上がれない。生きる意味を復讐だけに置いてほしくない。そう仕向けた私が言えたことではないが、あのときはそうせざるを得なかった。


「未来の話をしよう」

「っ?」


 眉頭に皺を寄せたティアーナ。困らせてすまない。戸惑わせてすまない。どうか、最後まで聞いて欲しい。


「復讐を勧めた私がこんな事を言ってすまない」

「……」

「復讐だけを見ないで欲しい。未来を、これからを見てほしい」

「…………見てます」


 そう言って目を逸らすティアーナ。私には、嘘だと分かるんだよ?


「復讐が終わったら? 研磨技術を伝え終わったら? ティアーナ、君は何をしたい?」

「え……………………」


 はくはくと口を動かして、何も答えないティアーナ。

 ねぇ、ティアーナ、答えられないんだよね?


「ティアーナ、今は何も見つけられないかもしれない。終わらせることしか見えないかもしれない」

「っ!」

「君に、生きていてほしい。私が君の生きる希望になれるかは分からない。だが、そうなりたい。ともに歩みたいと思っている」

「っ…………ともに?」

「ん」

 

 ティアーナがまたポロポロと涙を零し始めた。だが先ほどの苦しそうな表情とは全く違った。

 頬を淡く染めて、少しだけ嬉しそうな表情だ。

 

「未来を、考えてみてくれないか?」

「……………………はい」

「ありがとう、ティアーナ」


 ティアーナの左手を取り、薬指にキスをした。

 まだハッキリとは伝えられないこの気持ちを唇に乗せて。

 



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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


『結婚前夜に義妹に婚約者を奪われたので、責任取ってもらいます。』

☆ 2巻 6/20発売 ☆

書籍表紙

なんと!
超絶素敵な表紙絵を描いてくださったのは、『おの秋人』様っ!
このラブラブ具合、神じゃね?(*´艸`*)キャッ

2巻も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
フェルモたんの話とか、子供たちとかもちょい出てくるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されますが、一例としてリンクボタンも置いておきます。


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▷▶▷ honto

▷▶▷ ピッコマ

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