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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第3章 帝国との戦い
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第95話 連携力

 僕たちは、久々に冒険者稼業をしようと思う。

 クエストを受ける為に、冒険者ギルドに訪れた。

 ギルドに着くと、ノゾミに会った。


「あっ、お兄ちゃん。こんにちは!」

「こんにちは」


 ノゾミは不思議そうにルナを見た。


「はじめまして。私はノゾミ・ノワールだよ。あなたは?」

「まあ、かわいい子ね。私はルナ・セラフィーよ」

「よろしくね、お姉ちゃん!」


 ルナは自己紹介すると、ノゾミの頭を撫でた。

 ノゾミは嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。


「北西の森でオークの群れが出たよ!」

「それは本当か?」

「うん。だって私、見たんだもん」

「わかった、ありがとう。至急、緊急クエストを発注しよう」


 緊急クエストとは、強力な魔物が出没する等、市民に危険が及ぶ場合に発注することができる。

 冒険者が出すこともできるが、もちろんギルドから依頼が来る場合もある。

 前にフォースター王国でアイリーンさんが出した、【ゴブリン討伐依頼】がそれに当たるだろう。


「なら、私も連れてって! 案内してあげるよ!」

「それはできない。危険だから、ノゾミは街にとどまるんだ」

「大丈夫だよ。私、こう見えてもDランク冒険者なんだから!」


 ノゾミはそう言って、冒険者カードを見せてくる。

 確かに、ノゾミは間違いなくDランクの冒険者だ。

 よく見ると、冒険者風の服装をしており、左腰には短剣をぶら下げていた。


「わかった、連れて行こう」

「ホント!? やったー!」

「ただし、僕たちの前には絶対に出ないこと。あくまでも案内するだけにとどめておくんだ」

「わかった。ちなみに、私のクラスは【盗賊(シーフ)】だよ」


 こうして、オーク討伐の案内人として、ノゾミに同行してもらうことになった。

 まずは受付に行き、緊急クエストを発注しに行く。


「こんにちは」

「北西の森にオークの群れが出たそうなので、緊急クエストの発注します」

「あら、大変。至急冒険者パーティーを招集します」

「その必要はありません。僕たちで討伐しに行きます」

「ですが……」


 僕は冒険者カードを受付嬢に提示した。


「大丈夫。こう見えても、僕たち結構強いので」

「ああ、Bランク冒険者の方々でしたか。では、緊急クエストを受理しますね」


 それから数分後、無事クエストが受理されたので、僕たちは早速出発することにした。


■■■■■


 王都エスト出発後、オークの群れが出現したという北西の森へと向かう。

 だだっ広い草原をひたすら進む。


「オークが出たというのは、この方角で合っている?」

「うん、こっちだよ」


 僕たちは、ノゾミの案内通りに進む。

 出発から2時間後、例のオークが出没したという森に辿り着いた。


「今から森に入るけど、絶対に僕たちの傍から離れるなよ」

「うん、わかった」

「それから、大声を出すとオークに気づかれるから、大声を出さないように」

「わかってるって」


 僕はもう一度、ノゾミに釘を刺してから、森へと足を踏み入れた。

 森の中は木々が生い茂っており、鬱蒼としている。

 時折、鳥の鳴き声が聞こえる以外は静かだ。

 いつものように探知(サーチ)しながら、森の中を進んでいく。

 しばらく進むと、前方から何やら気配を感じた。


「前方に4つの気配……オークかもしれない」

「本当に?」

「私にも感じるよ」


 どうやら、ノゾミにも気配がわかるらしい。


「姿を確認するまでは慎重に進み、姿が見えたら一気に仕掛けよう」

「おう」


 僕たちは、なるべく足音を立てないように進んだ。

 少し進むと、オークが4体いた。


「いたぞ。気づかれる前に奴らを叩く」

「ええ」

「ノゾミは後方で僕たちの戦いを見ているんだ」

「うん、わかった」

「行くぞ!」


 僕たちはオークのもとへ一気に飛び出した。


 ルナはダッシュでオーク1体に肉薄した。

 オークは反応が遅れ、ルナに首を切断された。

 ヒューイも斧で、オークを斬撃して倒した。

 僕はオーク1体を剣で切り捨てた後、残りの1体を風属性中級魔法【疾風刃(ゲイルカッター)】で切断した。


 僕たちは、あっという間にオーク4体をやっつけた。


「お兄ちゃん達って強いんだね!」

「当ったり前よ! オレたちはメッチャ強いから、オーク如きには遅れは取らないぜ!!」


 ヒューイの自慢の後、更に森の奥へと進んだ。

 しばらく進むと、再び気配を感じた。


「前方にオークがいる。数は11体だ」

「11体!? 結構多いわね」


 それから更に先に進むと、そこには11体のオークがいた。

 そして群れの中央にいたのは、オークキングだった。

 オークキングは左右に、5体ずつオークを侍らせている。

 オークキングが指示を出すと、他のオークたちは一斉に僕たちへ向かって来た。


「来るぞ。ルナは左、ヒューイは右を頼む!」

「ええ!」

「おうっ!」

「セレーネはいつも通り、サポートを頼む!」

「お任せください」


 僕が指示を出すと、仲間たちは一斉に動き出した。

 僕は剣を抜き、中央突破を狙う。


氷結剣(アイスブランド)!」


 ルナはまず、自慢の氷結剣(アイスブランド)で5体のうちの3体を倒した。

 そして、間髪入れずに残りの2体に肉薄し、剣で切り刻んだ。

 相変わらず、凄まじい切れ味だ。

 分厚い皮膚を誇るオークを容易く切断してしまうとは。


 ヒューイは、向かってくるオーク5体に対して接近して行く。

 敵の攻撃を回避しつつ、斧でオークたちを次々と切り刻んで行く。

 3体倒したところで、4体目のオークと対峙する。

 オークは自らの斧で攻撃すると、ヒューイも斧で防御した。

 両者の斧がぶつかり合う。


「ハッ! なかなかやるじゃねえか! だがッ!!」


 しかし、力で勝っているのは、ヒューイの方だった。

 ヒューイは徐々にオークを押し返し、そのままオークの斧を弾いた。

 オークがバランスを崩した隙に、ヒューイは斧を力一杯振り下ろした。

 オークはそのまま真っ二つに切断された。

 残りのオークは距離がやや遠かったので、ヒューイは斧を思いっきりブン投げた。

 斧はオークの顔に命中した。


 残ったのは、オークキング1体だけである。

 オークキングは走って僕に近づいて来る。

 巨体ゆえに動きは速くないが、その足音は大きい。

 そして、持っていた巨大な斧を振り下ろす。

 しかし、ヒューイが盾でオークキングの攻撃を防いだ。


「今だッ! ファイン、ルナ、やれ!!」

「ああ!」

「ええ!」


 ヒューイが攻撃を防いでいる隙に、僕とルナは散開する。


「「はああああああっ!!」」


 そして、僕とルナの二人がかりでオークキングを切り刻んだ。

 僕たちは、2分足らずでこの場にいたオークたちを殲滅した。


「す、すごい。オークたちをあっという間に……」


 ノゾミは感動しているようだ。

 それにしても、なぜオークがこんなところへ……。

 以前はローランドにオークは現れなかったはずだ。

 やはり、魔王復活と何か関係があるのだろうか。

 とは言え、オークを討伐した以上、こんな森に長居は無用だ。

 この後ギルドに戻り、オークたちを討伐したことを報告した。


■■■■■


 その日の夜。

 ノゾミは宿に戻り、義父エリックに星の英雄たち(スター・ヒーローズ)の実力を報告した。


「……そうか、でかしたぞ。お前のおかげで、今後星の英雄たち(スター・ヒーローズ)を攻略するのに帝国軍は有利になりそうだ」


 そう、あのオークたちを仕向けたのは、帝国軍であったのだ。

 オークたちは、星の英雄たち(スター・ヒーローズ)の実力を測るための“捨て駒”に過ぎない。

 ちなみに、オークたちを召喚したのは【協力者】である。


「お義父さん、ご褒美のアメ玉ちょうだい!」

「ああ、そうだったな」


 この後、ノゾミたちは王都エストを出て帝国に帰った。

 いつまでも敵地にいると、帝国軍だとバレるかもしれない。

 敵の実力がわかった以上、エリックは長居は無用だと判断したのだ。

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