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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第2章 世界への旅立ち
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第81話 ファイン VS ディオーラン

 天のジェノスを倒した後、僕はディオーランを追って玉座の間を出た。

 下に降りると、通路でディオーランに追いついた。


「ディオーラン!」

「来たか、ファイン」


 ジャズナ親子も、ディオーランに連れて来られたようだ。

 ところが、二人の兵士がジャズナ親子を押さえていた。

 僕がディオーランに追いついた直後に、仲間たちもタイミングよく合流した。


「ファイン、大丈夫!?」

「ああ、何とか」

「お前がディオーランか! ジャズナの人々を苦しめている元凶はお前だな!? このヒューイ・サウスリーがお前をぶっ飛ばしてやるぜ!!」

「よせ、ヒューイ!!」


 そう言うと、ヒューイはディオーランに走って向かった。


「俺はファインと戦いたいんだがな。まあいい。ファインの前に、まずは貴様からだ。力押しだけでは勝てんと言うことを、教えてやろう」

「なにブツブツ喋ってやがるんだ! お前の相手は、このオレ様が最後だぜッ!! おりゃあッ!!」


 ヒューイは、ディオーランに挑んだ。

 一方、ディオーランも剣を抜いて応戦する。

 ヒューイは勢いよく斧を振り下ろす。

 しかし、ディオーランは躱すと、ヒューイを連続で切り刻んだ。

 言葉通り、ディオーランは力ではなく技量でヒューイを打ち負かした。

 そして、ヒューイは重傷を負ってしまった。


「ぐおおおおおおおっ!?」

「言ったはずだぞ、筋肉野郎。力押しだけでは勝てんと」

「ヒューイ!! 大丈夫か!? セレーネ、早く治療を!」

「はい!」


 ヒューイの傷はすぐに塞がった。

 さすがの頑丈さだ。あれだけの攻撃を受けながら、致命傷でないとは。

 何より、セレーネの回復魔法はさらに上達したようだ。

 ディオーランは、僕のほうを向いた。


「動くなよ? ファイン。動いたらこの二人の命はない」

「望みは何だ?」

「俺は剣でお前との一騎討ちを申し込みたい」

「断ったらどうする?」

「この二人は殺す。おっと、魔法は使うなよ? 女王様方の首が吹き飛ぶぞ?」

「人質を取らないと、勝てないようだな。君は」

「状況が飲めていないようだな?」


 そう言ってディオーランは手をあげた。

 すると、彼の部下たちが剣を抜き、二人の首にそっと剣を近づける。

 ヴィオラ様は怯えた表情を浮かべていた。

 そんなヴィオラ様を、メアリー陛下は守ろうとしている。

 ディオーランは不敵な笑みを浮かべていた。


「……いいだろう、受けて立つ。だが、ディオーラン。ヴィオラ様たちを人質に取ったことを、必ず後悔させてやる」

「面白い、やって見せろ! ……お前らはファインの仲間を足止めしろ!!」


 ディオーランがそう言うと、帝国兵たちが大勢出て来た。

 仲間たちは帝国兵たちと戦闘になった。


■■■■■


 僕は静かに剣を抜いた。

 これから、かつての友人だったディオーランと一騎討ちを行う。


「行くぞ、ファイン!」


 そう言って、ディオーランは先制攻撃を仕掛ける。

 僕は避けもせず、ディオーランの剣戟を受け止めた。

 男同士の戦いだ。敢えてディオーランと正面から剣でぶつかる。

 二人の激しい剣戟により、火花が飛び散る。

 お互い、攻撃と防御を交互に繰り返している。

 この時点では互角だ。

 いや、ディオーランの方が少し押しているか?


「どうした? ファイン。お前の力はその程度か?」


 ディオーランは得意げに僕を挑発する。

 ここは一旦、距離を取って様子を見る。

 言っておくが、別にディオーランを恐れたからではない。

 ディオーランは、まだ何か技を隠し持っているかもしれないからだ。


「ファイン、それで安全圏に逃れたつもりか? 甘いんだよ!!」


 そう言うと、ディオーランは剣を横に薙いだ。

 予想通り“何か”をしてきた。

 風の刃が僕に向かって飛んで来る。

 そう、風斬刃(ウィンドブレイド)である。


 僕は前転して避けた。

 すると、ディオーランは再度接近して剣で攻撃した。

 僕は剣で攻撃を受け止める。

 そして、剣を弾きディオーランに反撃する。

 しかし、ディオーランに避けられてしまい、距離を取られた。


氷結剣(アイスブランド)!」


 ディオーランはそう言うと、剣を上から振り下ろした。

 僕は、襲い掛かる氷の刃を右に避けた。

 その後、ディオーランは再び接近し、剣で直接攻撃する。


「ファイン、俺はこの3年間、お前に負けないために努力してきたんだ。それこそ、文字通り血の滲むような努力をな! これがその集大成だ!」


 なるほど、ディオーランの剣の実力は僕よりも上かもしれない。

 ここ3年間で相当努力したらしい。

 だが、僕とて負けてはいない。


「驚いたよ、ディオーラン。まさか、君が【剣技】を覚えているとは。しかし……!」


 僕は剣を横に薙いだ。


「なにっ!?」


 ディオーランは咄嗟に、自分から見て右に避けた。

 しかし、ディオーランは左肩にかすり傷を負った。


「ま、まさか……その技は!?」

「そうだ、【風斬刃(ウィンドブレイド)】だ。僕だって練習してきたんだ、王国式剣技を!」


 そう、僕は日々特訓していたのだ。

 剣の素振りをしていたのは、このためだったのだ。

 僕は魔法こそ得意だが、ルナと比べて剣の腕はまだまだ未熟だと感じていた。

 そこで、剣で今まで以上に戦えるように、王国式剣技を習得できるように努力していたのだ。

 そして、ようやく最近になって剣技を覚えることができた。

 今回はディオーランとの一騎打ちなので、丁度いいタイミングだと思い、今回初めて剣技を披露したのだ。


 僕は再度近づき、剣で直接攻撃する。

 そして、互いの剣がまたぶつかり合った。


「ファインよぉ、忘れてないか? 剣技には、“これ”があるってことを!!」

「ああ、忘れていないさ」


 そう言うと、ディオーランの剣が赤く発光し出した。

 しかし、同時に僕の剣も赤く発光した。


「「【赤熱剣(ヒートソード)】!!」」


 お互いの剣を赤熱剣(ヒートソード)にしてぶつかり合う。

 しかし、僕はディオーランにやや押され気味だ。


「やはり、剣の腕は俺の方が上のようだな」


 確かに、剣の腕はディオーランが少し上なようだ。

 剣と魔法の両方を習得した僕に対し、ディオーランは剣を極めてきたようだ。

 3年間、相当な努力を積み重ねてきたようだ。


 しかし、僕の強みは剣だけではない。

 僕は火球(ファイアボール)をディオーランに向けて放った。

 当然避けるディオーラン。


「ファイン、魔法は使うなって言ったよな? ジャズナ親子を殺せ!! ……何をしている!? 兵たちよ!!」


 ディオーランが声を荒げても、兵士たちは無反応だった。


「振り返ってみたらどうだ? ディオーラン」

「なにっ?」


 ディオーランが振り替えると、敵兵たちは眠っていた。


「バカなッ!? なぜ寝ている!? 魔法対策は完璧だったはず!!」

「ああ。確かに高度な魔道具だったよ、ディオーラン。だが、僕が魔力構造を解析して、魔道具の力を解除しステータス異常の無効を無効化しておいた」

「は?」

「分からないか? つまり、ステータス異常は有効になったってことだよ」

「くそっ、この化け物めッ!!」

「それはどうも」

「褒めてねえよ!!」

「そうか。それよりも、自分の身の心配をしたらどうだ?」

「なに?」


 ディオーランが足元を見ると、蔦が生えていた。


「しまった、生命創成かッ!! ジャンプして逃れ……」

「もう遅いぞ」


 僕は蔦を一気に伸ばし、ディオーランを拘束した。

 ディオーランは全身を拘束され、そのまま床に倒れた。

 ディオーランはなんとか力を振り絞り、上半身だけ起き上がる。


「ぐあッ!!」

「僕を侮ったのが君の敗因だ」


 僕はそう言うと、ディオーランに剣を向ける。


「お、おい……俺をどうするつもりだ? まさか、仮にも友達である俺を殺すのか?」

「そうだ」

「!?」


 僕の言葉に、半笑いだったディオーランは目を見開く。


「言ったはずだぞ? ディオーラン。後悔させてやると。まさか、そんな覚悟もなしに僕に挑んだというのか? ディオーラン、今から僕はお前を殺す。生憎、僕はお人好しではないし、何よりこう見えてもかなり怒っているんだ。さようなら、ディオーラン。あの世で反省でもしてるんだな」


 そう言うと、僕はディオーランの首めがけて剣を振り下ろそうとした。

 しかし、剣戟は突如何者かに止められる。

 犯人は……なんとルナだった。

 ルナはいつの間にか、剣で僕の剣戟を止めていたのだった。


「なっ!?」

「ダメよ、ファイン!」

「馬鹿な!? なぜ邪魔をする!?」

「あなたは友達を殺すの!?」

「敵なんだよ、今のディオーランは! なら殺すしかないだろう!!」

「……それでもよ」


 僕はゆっくりと剣を下ろした。

 すると、突然転移門(ゲート)が開き何者かが現れた。

 その人物は、フードを被っており、顔は分からない。


「おやおや、ディーン将軍。あなたともあろう者が敗れてしまうとは」


 フードの男は、ディオーランの足元に転移門(ゲート)を発現させた。


「な、何をする!?」

「帝国軍は負けです。私がそのことを皇帝陛下に報告したら、あなたを帝都に帰還させろとのご命令です」

「は、離せッ! まだ俺は、負けていないッ!!」


 ディオーランは転移門(ゲート)の向こうへと消えていった。

 僕たちは武器を構えた。


「何者だ!?」

「クックックックッ……」


 フードの男は不敵な笑みを浮かべていた。

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