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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第2章 世界への旅立ち
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第80話 帝国の新兵器

今回はルナ視点。

 私は南西の拠点を制圧した後、砂漠のサソリと共に中央の工場を目指した。

 奴隷のように働かされている、市民たちを解放するためだ。

 道中、遭遇する帝国兵たちを倒しながら進む。

 走ること、2分で例の工場に辿り着いた。

 工場には昼よりも多くの帝国兵がいた。


「バカな!? 南西の拠点がもう落とされたというのか!? 総員、戦闘配備!! 貴様たちは持ち場に戻れ!!」


 帝国の指揮官らしき人が指示を出す。

 私は敵が態勢を整える前に、先制攻撃を仕掛けた。

 帝国兵たちは私の攻撃を前に、成す術もなく倒れていく。

 弓兵が後方から援護射撃してくるが、私は風斬刃(ウィンドブレイド)で全て落とす。

 私は周囲の敵をあらかた倒すと、市民たちを解放した。


「助けに来ました。今のうちに逃げてください!」

「あ、ありがとう! あんたはどうするんだ?」

「この一帯の帝国軍を一掃します。皆さんは早く安全な所へ!」

「そ、そうか! 気をつけて!」


 市民たちは、急いで逃げていった。


「クッソー、我が軍の兵力が……こうなったら、新兵器を出せ!!」

「ですが、アレはまだ試作段階です!」

「いいから出せッ!! たかが女一人にナメられていては、皇帝陛下に合わせる顔がないだろうが!!」


 敵の指揮官が、指示を出してしばらくした頃だった。

 ズシン、ズシンと大きな足音のような振動が起きた。


「お、おい……何だよ、アレは!?」


 工場の中からは、魔導人形(ゴーレム)が現れた。

 しかも、4体もいる。

 後から来たガレットさんも驚愕していた。

 私は愛剣ディフェンダーを右手から、利き手である左手へと持ち替えた。

 相手が機械なら、わざわざ手加減する必要はないからだ。


「ここは私が戦います。ガレットさん達は市民の安全確保を!」

「わかった!」


 私の指示で、砂漠のサソリは逃げた市民を追いかけた。


「行け、魔導人形(ゴーレム)共! その小娘を殺せーッ!!」


 敵指揮官が指示を出すと、魔導人形(ゴーレム)たちが私に向かって歩き出した。


「さあ、行くわよ!」


 そう言って、私はゴーレムに立ち向かった。


■■■■■


 私はまずゴーレムの懐に入ることにした。

 ゴーレムたちも目からビームを発射し、応戦してきた。

 私は回避しつつ、急接近をかけた。

 そして、ゴーレムの懐に潜って剣で斬り付けた。

 しかし、堅い金属のボディーに剣は通らなかった。


「やっぱり、効かない!?」

「ガハハハハッ! 愚か者めッ! 金属質のゴーレムに剣が通るワケがないだろうがッ!」


 ゴーレムはパンチで反撃してきた。

 私は回避しつつ、ゴーレムから一旦距離を取った。

 凄まじい威力に、地面は抉れた。


 ファインは3年前、私に言った。

 “攻撃したら、一旦退け”と。

 いわゆる、【ヒット&アウェイ】戦法である。

 私が距離を取ると、ゴーレムたちはミサイルの弾幕で攻撃してきた。


「ちょ、ミサイルまであるの!?」


 私は結界(バリアー)を張ってガードした。

 私はなんとか無傷で済んだが、爆風で周囲の建物が傷ついた。

 戦闘が長引くと、街の被害はさらに拡大する。

 できるだけ早めに終わらせないと!


稲妻矢(サンダーアロー)!」


 私は雷の魔法をゴーレムたちに放つことにした。

 雷は機械であるゴーレムにとっては弱点だからだ。

 ところが、ゴーレムたちにはほとんど傷が付いていなかった。


「そんな、効いていないっ!? まさか、魔法耐性まで付けられているの!?」

「その通り! ゴーレムの弱点は雷魔法だ。しかし、こいつらには魔法耐性を付与することによって弱点を補っているのだ! したがって、こいつらに魔法は効かない! もはや貴様に打つ手はないのだ!! ガーッハッハッハッハッ!!」


 敵の指揮官はそう言って笑う。

 帝国は世界最強の軍事力に加えて、魔導具製作の技術力も世界一だと父から聞いたことがある。

 すると、ゴーレムたちはまたミサイルを撃ってきた。


「またミサイル!? レディに対して、失礼よ!」


 そうは言いつつ、私はミサイルを結界で防御した。

 これ以上、街が破壊されるのは防ぎたい。

 ミサイルを防いだ後、私はゴーレムに接近する。

 敵の指揮官はああ言っていたけど、打つ手がないかどうかはやってみないと分からない。


 しかし、ゴーレムもただ黙って見ている訳ではなく、腕を飛ばして攻撃してきた。

 ロケットパンチだ。

 私は右に避けると、ゴーレムの左側に回り込んだ。

 そして、ジャンプで勢いをつけつつ、剣を両手で構え斬り付ける。

 ところが、ゴーレムは残った左腕を飛ばして攻撃してきた。

 このスピードにも反応できるの!?

 そうだ、思い出した。こいつらは機械だから、反応速度は早いのだ。

 私は咄嗟に、右腕に防盾(シールド)を展開してガードした。


「きゃああああっ!」


 ダメージは受けなかったが、パンチの勢いで吹き飛ばされてしまった。

 私は体勢を立て直して、上手く着地した。


「フハハハハハ。貴様がいくら強かろうとも、我が軍のゴーレムの前には無力よ!! 貴様に勝ち目はない。大人しく我々の前にひれ伏すのだ!」


 敵指揮官はそう言って、勝利宣言する。

 落ち着け、私。落ち着いて考えるんだ。

 この状況、ファインだったらどう攻める?

 きっと彼なら、関節部などの弱点を狙って攻撃するだろう。

 関節部? そうだ、これだ!


 そういえば、学園に入学したばかりの頃、ファインと一緒に訓練ダンジョンに潜った。

 そこでもゴーレムが出て来たのだが、ファインはゴーレムの関節部を狙って斬っていた。

 このゴーレムたちも基礎は同じはず。なら、関節部を狙った戦法が通じるかも。

 私は再度剣を構えた。

 そして、私に身体強化(ブースト)と、剣に強化魔法(エンチャント)をかけた。


「無駄な悪あがきはよせ。貴様は負けるのだ!」

「やってみないと、分からないわ!」


 私は猛スピードでダッシュし、ゴーレムに急接近をかける。

 反撃の隙も与えない。


赤熱剣(ヒートソード)!」


 そして、すぐに先頭のゴーレムに肉薄すると、腹部を狙って攻撃した。

 1体目のゴーレムは真っ二つになった。


「なにぃ!? バ、バカな!? 我が軍の最新鋭の魔導兵器がッ!!」


 敵指揮官は驚愕していた。もはやお約束のセリフである。

 私は構わず、2体目、3体目のゴーレムも同じように切断した。

 そして、残るゴーレムはあと1体だけである。


風斬刃(ウィンドブレイド)!」


 私は全魔力を込めて、風斬刃(ウィンドブレイド)を放った。

 最後のゴーレムも真っ二つになった。


「そ、そんなバカな……たった一人の小娘に4体のゴーレムがあっと言う間に……。ええい、こうなったら退却!! 退却だー!!」


 敵指揮官の合図で、残りの帝国兵たちは一目散に逃げて行った。

 逃げる敵を追う必要はないので、私は剣を納めた。

 私は体力に自信はあったが、さすがに今回は少し疲れた。

 結局、今回も力任せの戦いになってしまった。

 私はファインほど頭は良くないし、ファインほど多くの魔法を使えるわけではない。

 きっと、ファインならもっと上手く戦えただろう。

 私はファインを助けるために、城へと急いだ。

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