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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第2章 世界への旅立ち
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第67話 ジャズナ砂漠上陸

ちょっと遅めですが、あけましておめでとうございます。

今年も少しずつですが、投稿していきたいと思います。

 フォースター王国の港から、船に乗ること約2日。

 ようやくジャズナ砂漠に上陸した。


「船長、僕たちをここまで運んでくれてありがとうございました」

「ははっ、礼を言うのは俺達のほうだよ。アンちゃん達があのバケモノをやっつけてくれなければ、俺達は今頃とっくに海の底に沈んでいたよ」

「気にしないでください。クラーケンを倒さなければ、みんなやられていた。それだけのことです」

「そうか、それもそうだな。砂漠は過酷だ。気をつけてな!」


 船長と別れの挨拶を交わした後、僕たちはジャズナ王国に向けて歩き出した。

 ジャズナ王国の王都マシャクは、この砂漠の中心にある都市である。

 ここからだと、歩いて何日もかかることが予想される。

 そしてジャズナ砂漠の気温だが、日中は50度を超えることがある一方、夜は氷点下を下回ることがあるという。まさに、過酷な環境そのものである。


 現在の時間は、正午近くと思われる。

 太陽がほぼ真上から照り付け、地獄のように暑い。

 フード付きマントで身体を覆っているが、気休め程度にしかなっていない。

 暑さのせいか、仲間たちの口数も少ない。

 そしてこの暑さ故に、喉が渇く。

 水筒の水を少しずつ飲む。

 今回は砂漠を渡ると言うことで、水は多く持ってきている。


 ただ、人間の身体に必要なのは水分だけではない。

 これだけ暑ければ、汗で水分と共に塩分も身体から失われて行く。

 もちろん、水と同様に塩も多めに持ってきている。

 そして、ジャズナ砂漠の南部一帯には岩塩が採れる場所があるらしい。

 とりあえず、そこまでは頑張りたいところである。

 とは言え、物資は有限なので可能な限り節約したい。


 ここで、僕は一つの疑問を感じる。

 精霊の力で水を補給することができるのか?

 そう思い、水の精霊ウンディーネを召喚することにした。


「出でよ、水の精霊ウンディーネ」

「お呼びですか?」

「ウンディーネの力で、飲み水を作ることは出来るのか?」

「できます」

「本当か!? それならすぐ全員分の水を作って欲しい」

「わかりました」


 ウンディーネは魔法で水を召喚した。

 よし、予想どおりだ。

 精霊というのは、大気中の魔素(マナ)を利用することで、水や岩石などの物質を生成することができる。

 その力を応用すれば、飲み水を作ることも可能なようだ。

 これで、実質水を無限に補給することができる。


 それから、しばらく歩くと何本かの木が見えて来た。

 あれは、もしかして……。


「やはりヤシの木だ!」


 僕たちはヤシの木のもとへ近づいた。


「ここで休憩しよう」


 ヤシの木の上には、大きな実がたくさんなっている。

 あれを食べれば、僕たちの体力を回復することができそうだ。

 問題はヤシの実がかなり高いところにあることだ。


「どうやって取ろうか。木に登るか……?」

「ここはオレ様に任せな!」


 そう言うと、ヒューイはいきなりヤシの木を思いっきり蹴った。

 すると、木は大きく揺れて、4つのヤシの実が落ちて来た。ちょうど人数分だ。

 早速、ヤシの実を食べることにした。


「うん! 瑞々しくて美味しいわ!」


 ルナが笑顔でそう言う。


 休憩後は、再び砂漠を進むことにする。

 そして、何時間も進んでいるうちに、夜を迎えた。

 夜は夜で相当冷え込む。


「ううっ、寒いわね」


 あまりの寒さに、ルナとセレーネは震えている。

 僕は灯火(トーチ)で火を起こした。

 みんな火の周りに集まり、両手をかざした。


「温かいね」


 灯火の暖かさにほっこりする。

 今夜は、昼に捕獲したトカゲやサソリなどの砂漠の生物を食べることにする。

 特にサソリには毒があるため、必ず火を通してから食べることにする。


 その後、僕は真夜中にヒューイと見張りを交代し、朝まで見張りを行った。


■■■■■


 ジャズナ砂漠に上陸してから、すでに5日程が経った。

 あれから、王都マシャクに向けて進んでいる。

 常に北の方角を指す魔道具を頼りに、この日も砂漠を北上する。

 だが、仲間たちの疲れもかなり溜まっている。


「マシャクにはまだ着かないのかよ?」

「まだまだ遠いはずよ」

「はぁ……はぁ……」


 昼は、ひたすらだだっ広い砂漠を進み、夜は休む。その繰り返しだ。

 したがって、ここ最近で特に変わったことはない。


 しかし、この日は違った。


 砂漠を歩いていると、突然ルナが砂漠に足を取られてしまう。


「な、何!?」


 それは流砂だった。

 僕はすぐにルナの腕を掴んだ。

 しかし、流砂の勢いは想像を遥か上回っていた。

 そのため、僕たちは成すすべなく流砂に飲み込まれていった。


「うわああああああああ!!!」


 流砂に飲み込まれてから、しばらくが経った。

 あまりの勢いに気絶していたらしいが、とりあえず生きてはいる。


「みんな、無事か?」

「ええ、何とか」

「オレも大丈夫だぜ」

「私も何とか」


 仲間も無事を確認したが、みんな大丈夫なようだ。

 そして、呼吸もできる。ということは、空間があるらしい。

 ただ、真っ暗で何も見えない。流砂に飲まれたことを考えると、ここは地下のようだ。

 とりあえず、僕は灯火(トーチ)を発動した。


「ここは……?」


 そこは、謎の地下空間だった。

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