表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第2章 世界への旅立ち
65/158

第64話 ジャズナ王国への旅立ち

 俺はゴスバール皇帝に呼ばれて、城にやってきた。


「天のジェノス、貴公に命ずる。これより貴公は空軍を率い、ジャズナ王国の王都マシャクを攻略せよ」

「クックックッ、仰せのままに」

「それから、【地のディーン】よ。貴公もジャズナ攻略に参加せよ。この作戦は貴公が指揮を執るのだ」

「はっ、必ずや陛下のご期待にお応えします」


 俺は天のジェノスが率いる竜騎士団(ドラゴンナイツ)と共に、砂漠の王国ジャズナの攻略作戦に参加することになった。

 俺の部隊は騎馬隊故に、空を飛ぶことができない。

 そのため、移動には大型の飛空挺に乗ることになった。

 とは言え、帝国からジャズナまでは何日もかかるため、ジェノスの部隊も到着までは飛空挺に乗ることになる。

 ジャズナ王国の王都マシャクは、周囲を壁で囲まれており、地上からの侵攻は困難だと言う。

 そこで、飛空挺3隻による空からの侵攻を行うのだと言う。


「これが最新鋭の飛空艇か」

「はっ。従来に比べ、動力源を強化しております。それから、船体は空気抵抗を受けにくい形状に工夫しておりまして……」


 この飛空艇は、高度な魔導具を動力源としているらしい。

 整備兵が飛空艇について説明するが、詳しいことは俺にはよく分からなかった。


「ディーン将軍、全隊揃いました!」

「よし、出発せよ!」


 俺は飛空艇と共にジャズナ王国へ向けて出発した。

 侵略を前に、俺が中心となって作戦会議を行う。

 ジェノスは俺とは別の飛空艇に乗っているため、【魔導通信機】を用いて作戦を伝える。


「では、これより作戦会議を始める。今回のジャズナ王国攻略作戦では、まずジェノス将軍の飛空艇が先行し、竜騎士団(ドラゴンナイツ)が先に王都マシャクへの攻撃を仕掛ける。次に私ともう一隻の飛空艇をマシャクに着陸させ、この【地のディーン】が率いる騎馬隊が順次攻撃を行う。ただし、民間人への被害は最小限に抑えること。作戦は以上だ」


 説明が終わると、ジェノスが魔導通信機越しに話しかけて来た。

 水晶を介し、空中にジェノスの姿が映っている。


「まさか、この俺が貴様のお膳立てをしなければならんとはな」

「今回の作戦では、貴公の隊が攻略のカギとなる。わかっているな?」

「『攻略のカギとなる』だと? 勘違いするな。俺は自分の欲望を満たす為に戦うに過ぎん。決して、貴様の為に戦う訳じゃないぞ」

「貴公こそ、何か勘違いしているのではないか? 今回の戦いは私の為ではない。あくまでも皇帝陛下の為だと言うことを忘れるな」

「わかっている!! 一度くらい俺に勝ったからと言って、偉そうにするな!! 新入りがッ!!」


 天のジェノスは俺に反抗した後、一方的に通信を切った。

 噂に違わず、好戦的な性格のようだ。

 性格には難ありだが、戦闘では頼りになりそうだ。


 そして、帝都オストを出発してから4日程が経った頃。

 朝を迎え、東の空から朝日が昇ってきた。

 下を見ると、広大な砂漠が広がっていた。これがジャズナ砂漠か。

 すると部下から報告があった。


「ディーン将軍、翌日にはジャズナ王国に到着します」

「了解した。各自、馬と武器防具のチェックを怠るなよ」


 今回の侵略作戦では、ジェノスの竜騎士部隊が先制攻撃を行う。

 そのあと、飛空挺がジャズナ王国に着陸し、俺の部隊が地上へと攻め入る。

 ジャズナ軍の戦力を削ぎ、帝国軍が占領する。

 ただし、民間人への被害は最小限に抑えたい。


 そして、翌日。ようやくジャズナ王国の王都マシャクの上空に到達した。


「いよいよだな。よし、かかれッ!! まずは竜騎士団(ドラゴンナイツ)が先行せよ!!」


 俺が魔導通信機でジェノスの率いる部隊に指示を出した。

 その後、俺の飛空艇がジャズナ王国に着陸すると、俺は部下たちを率いて侵攻を開始した。


■■■■■


 僕たちは砂漠の王国ジャズナへ向かうべく、フォースター王国を後にしようとしていた。

 今思うとフォースター王国で過ごした時間は、長かったような短かったような、そんな感じだった。

 フランやアイリーンさんと再会し、アリシアさん達と一緒に冒険した。

 そして、セレーネの正体がフォースターの王女様と言うことに衝撃を受けたりもした。

 短期間だが、とにかく色々な出来事があった。

 ちょっとした寂しさを胸に、僕たちは城へ訪れた。

 出発前に国王ヘイズルに挨拶する。


「では父上、私たちはこれよりジャズナ王国へ向けて旅立ちます」

「うむ、達者でな!」

「セレーネティア殿下、どうかお気をつけて」

「ええ。エリーゼ、あなたも」

「陛下、僕たちはこれにて失礼します」

「ああ。セレーネティアを頼んだぞ」


 こうして、僕たちはフォースターの城を後にした。

 ちなみに、蛇大臣を倒し国を救ったお礼として、多額の謝礼金をいただいた。


 まずは船に乗るべく、王都の南にある港へと行く。

 ジャズナへは陸路よりも海路の方が移動しやすいそうだ。

 港には、大きな船が泊められていた。

 その近くに、船長と思われる髭を生やした中年男性が立っていた。


「いらっしゃい。この船はジャズナ砂漠行きの定期船だよ。乗るかい?」

「お願いします」

「はいよ」


 僕たちはジャズナへの船に乗った。

 ジャズナ王国の王都【マシャク】は、砂漠の内陸部にあるという。

 そのため、次の港からは砂漠を歩くことになる。


「ジャズナ行きの船、出航する!」


 僕たちが船に乗ると、船長の合図と共に港を出た。

 普段多いのかは知らないが、この日の利用客は僕たちを含めて数人しかいなかった。


「わあっ、海だ! ねえ、見て見て、海よ!」

「うおーっ、でっけぇなあ!」

「やはり海は綺麗ですね」


 船は港からどんどん離れる。

 陸が次第に小さく見え、周りには海が広がって行く。

 みんなが海を見て、まるで子供のようにはしゃぐ。

 かく言う僕も、海を見るのは初めてだ。

 話には聞いたことがあるが、海がこれほど広大だったとは。

 そのことに、改めて驚いた。


「お客さんたち、海を見るのは初めてかい?」


 子供のようにはしゃぐルナたちを見て、船長が話しかける。


「僕は初めてです」

「オレもだぜ」

「私は子供の頃に見たことがあります」

「私も見たことがありますわ」


 みんなが船長の質問に答えた。


「へえ。お嬢ちゃんたち、海を見たことがあるのかい。これからジャズナまでは2日かかる。このまま順調に行けば、明後日の昼には到着するだろうな」


 船長はそう言った。

 この日の天気は晴れ。そよ風が吹いており、とても穏やかだ。

 この天気ならば、次の港までは順調に進むだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ