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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第2章 世界への旅立ち
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第59話 夜襲

 僕は酒場から城に帰って来た。

 だいぶ遅くなってしまった。みんなはもう寝ているだろう。

 僕も早いところ部屋に戻って寝ることにしよう。

 そう思った矢先。


 城の敷地内に、全身黒ずくめの人影が見えた。

 あれは誰だ? 見るからに怪しい。

 僕は【隠密(ステルス)】を使い、こっそり跡をつけることにした。


 侵入者は階段を昇り、3階のとある部屋の前で止まった。

 そこは、ルナとセレーネの部屋だった。

 そうか、奴の狙いは王女であるセレーネの暗殺か!

 僕は侵入者のもとへ行こうとした。


「誰だ!?」


 すると、侵入者はこちらに向かってナイフを投げて来た。

 危ない、危ない。

 気配だけで存在を察知するとは、相当な手練れと見た。

 しかし、僕はナイフを回避した。

 そして、侵入者を生命創成(ライフクリエイト)で拘束し、隠密(ステルス)を解除して剣を向けた。


「なっ!? 動けねぇ……!」

「今から僕の質問に答えるんだ。お前は何者だ? 誰に雇われた?」

「ヘッ、誰が教えるかよ!」

「そうかい」


 僕は一応質問してみるが、予想通り侵入者は口を割らなかった。

 まあ、ほとんど期待なんてしていなかったが。


 僕が稲妻矢(サンダーアロー)を放つと、侵入者は絶命した。

 敵が口を割らない以上、生かしておく必要はない。

 僕はドアを勢い良く開け、ルナとセレーネを起こした。


「大変だ! 二人とも起きろ!」

「どうしたの……? こんな夜遅くに……」

「城内に侵入者が現れた!」

「侵入者ですって!?」

「ああ。狙いは恐らく、王女であるセレーネの暗殺だ」

「何ですって!?」


 そんな会話をしていると、ヒューイとが慌てた様子で入室した。

 その後、エリーゼさんが配下の騎士たちを連れてやって来た。


「どうしたんだ!? ファイン」

「これは何の騒ぎだ? それに、外に倒れている者は何者だ?」

「侵入者です。恐らく、誰かがセレーネに仕向けた【暗殺者(アサシン)】かと」

「なんだと……!?」

「それに、城の周囲にまだ複数動いている気配を感じます。恐らく、敵の仲間かと」

「なに……!? どうすればいいのだ!?」

「ご安心ください。奴らは僕が倒しに行きます。セレーネは部屋に結界を張って、誰も入れないようにするんだ」

「わかりました」

「うむ。たのんだぞ、ファイン殿」

「それから、いざと言うときのために通信魔法【念話テレパシー】を使う。もしもの事があれば、頭に話したい事を浮かべてくれ。離れていても会話ができるぞ」

「なにっ? そんな事まで出来るのか!? ファイン殿はすごいな……」

「恐縮です」


 僕は適当に返事をして部屋から出た。

 さて、敵はどこか。探知(サーチ)した限りでは、あと4人程いるようだ。

 そんな事を考えていると、なぜかルナが部屋から出てきた。


「ファイン君、やっぱり私も行くわ」

「だめだ。君はセレーネを守れ」

「ファイン君一人では危険だわ!」

「わかった。協力してくれ。敵はあと4人で、今はバラバラに行動しているようだ。そこで、効率良く敵を倒すために、二手に別れようと思う」

「そんな……! 私、怖いわ」

「大丈夫、ルナには防御鎧(プロテクト)の魔法をかけよう。何かあったら、通信魔法で連絡してくれ。何より、ルナは強い。僕はルナを信じているよ」

「ありがとう、ファイン君! 私、頑張るわ!」


 会話を終えると、僕とルナは二手に別れて行動した。

 暗闇の中は良く見えないので、探知(サーチ)しながら進むことにする。

 動く気配は、あの曲がり角の先から感じる。

 しばらく進むと、暗殺者一人を発見した。


「だ、誰だッ!? グハッ……」


 僕は敵の背後に瞬間移動(テレポート)し、剣で首を斬った。

 このことを、仲間に連絡することにした。


『一人仕留めたぞ』

『さすがファイン君ね!』


 それからしばらくすると、もう一人の敵も発見したので、倒しておいた。


『もう一人仕留めた。あと二人だ』


 残りは二人。探知(サーチ)した限りでは、僕の近くに一人。

 もう一人はルナが比較的近いようだ。


『ルナ、君の近くに一人いる。警戒しろ』

『わかったわ』


 僕はルナにそう伝えた。

 情報共有は大切な事だ。こうすることで、味方の安全を確保すると同時に、戦いを有利に進めることにも繋がる。


 僕は4人目の暗殺者に遭遇した。

 そいつは金髪の女で、目付きが悪く如何にもと言った感じの風貌である。

 腰には双剣を装備している。


「アンタが仲間を殺ったヤツかい? 大したものだが、アンタを倒し王女様の命は頂くよ!」

「悪いが、ここを通す訳には行かない」


 女暗殺者は、腰の双剣をゆっくりと抜いた。

 そして、時を同じくしてルナも接敵したようだ。


 女暗殺者は、走りながら近づいてきた。

 そして、横薙ぎ。

 僕は姿勢を低くして回避すると、カウンターの横斬りを出した。

 しかし、女暗殺者には避けられた。

 やはりこいつは相当な手練れらしい。一筋縄では行かないようだ。

 そうして、女暗殺者との攻防が始まった。


 戦いの中、ふと思った。

 なぜ、敵はセレーネの命を狙うのだ。

 ……待てよ。

 セレーネは、平民との間に生まれた子だと言っていた。

 それに、フォースター王国では平民への差別意識が強い。

 まさか……!

 そうか、わかって来たぞ。暗殺者を雇った犯人の正体が!

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