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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第2章 世界への旅立ち
44/159

第43話 帝国騎士として

やっとカグラ公国編終わったー

そして、ようやく10万文字達成!!


重傷を重症と誤っていたので、修正しました。(10/17追記)

 俺は今、帝国が奪取したローランド王国北部での防衛戦に参加している。

 帝国に戻ってから、俺の部隊にもすぐに召集がかかった。

 この戦線で帝国軍は王国軍に対して劣勢だったため、援軍として呼ばれたのだ。

 そんな中、俺は敵の中にとある人物を見つけた。

 俺は『そいつ』を追い詰めると、兜のフェイスガードを上げて顔を見せた。


「久しぶりだな、アッカス」

「なっ!? き、貴様は、ディオーラン!? バ、バカなッ、なぜ貴様が生きている!?」

「俺には【頑丈】のスキルがあってな。皮肉なもんだ、戦いとは無縁の家系に生まれたというのに……。なあアッカス、俺は今からお前の首を斬るんだが、許せ。戦争だから、悪く思うなよ」

「や、やめろ!! ボクが悪かった!! ゆ、許してくれッ!!」

「そうやって自分が窮地に陥ると、命乞いをするのか? 相変わらずクソ野郎だな、お前は」

「や、やめっ……!!」


 俺は、躊躇いなくアッカスの首を刎ねた。

 アッカスは死んだ。

 だが、正直何の感情も沸かなかった。

 憎んでいたはずの、自分をいじめていたヤツを殺しても、こんなものか。

 すると、部下が何やら慌てた様子で、俺のもとへと駆けつけた。


「ディーン隊長! 我が軍の司令官【地のドロス】将軍が、敵の将軍アポロ・セラフィーによって討たれたとの報告が……!! このままでは戦線を維持できません!! 我が軍の敗北です!! ディーン隊長、ご命令を!!」


 アポロ・セラフィー……ローランドの【白金騎士(プラチナムナイト)】か。

 相変わらず凄まじい強さだな。

 どうやら、彼を敵に回したのが間違いだったようだ。


「敵にこの地を奪還された以上、ここに居るメリットは何もない。これより、我が隊は速やかに撤退する。急げ、帝国に帰還するぞ!」

「はっ!」


 俺は部下を率いて、速やかに帝国へ撤退した。

 この地はローランドに奪還されてしまうが、背に腹は代えられぬ。

 命があるだけマシと言えよう。


■■■■■


 3年前……。


 目が覚めたら、俺は知らない家で寝ていた。

 そこには、見知らぬ年配の女性がいた。


「あら、目が覚めたのね?」

「うーん……」

「主人を呼んで来るから、そこで待っててね」


 そう言って、女性は部屋を出て行った。

 そして、しばらくするとガタイの良い老人がやって来た。


「目を覚ましたか、若者よ。お主、名前は?」

「俺の名は、ディー……ン……?」


 あれ? 名前が思い出せない……。

 俺の名前……何だっけ……?

 それよりも、何で俺はここにいるんだ?


「そうか。ディーンと言うのか、お主の名は。ワシは、レオナルド・フォン・ガイウス。見ての通り、帝国の騎士だ。お主はローランドのとある森に倒れていた。そこをワシが見つけ、お主を帝国まで連れ帰ったという訳だ」


 レオナルドと名乗る老人は、俺が森に倒れていたと言う。

 だが、俺はそんなことを全く憶えていなかった。


「ところでお主、何ゆえにあのような森の中へ入った?」

「……憶えていません。それどころか、自分が誰で、どこの出身かも……」

「そうか、記憶喪失か。可哀想に……。しばらくはワシの家でゆっくりしてゆくがよい」

「ありがとうございます」


 俺はレオナルド氏のご厚意に甘えることにした。

 それから、俺はレオナルド将軍に剣の指導を受けることになった。

 ……なんだろう。

 初めて剣を握るはずなのに、何だか懐かしい感じがする。


「ほう、なかなか剣筋があるな。お主、帝国軍に入らぬか?」

「え?」

「お主の力はきっと、帝国の民の為に役立つ日が来る。どうだ?」

「はい! 俺に何ができるかわかりませんが、拾ってくれたレオナルド将軍の役に少しでも立ちたいです!」


 俺はレオナルド将軍の勧めで、帝国軍に入隊することにした。


 ある日のこと。

 とある村がドラゴンの襲撃を受けて、壊滅的な被害を受けているとのこと。

 そこで、レオナルド将軍はその村へ救援に向かうと言う。

 俺もレオナルド将軍の部下として、村の救援に向かうことになった。

 今回の任務が、帝国兵としての俺の初任務だ。

 レオナルド将軍は民の危機には、率先して救いの手を差し伸べる。

 そのため、彼に対する民からの信頼は厚いそうだ。


 早速村へ向かったのだが、時すでに遅し。

 ドラゴンが吐いたと思われる炎に覆われ、村は壊滅的な被害を受けていた。

 死傷者も大勢出ているらしい。


「何ということだ……!!」


 その凄惨な光景を見て、レオナルド将軍は驚愕した。


「あ、ああああ……」


 この光景を見た俺は、“あの時”の出来事がフラッシュバックした。

 全て思い出した。

 俺の名は、【ディオーラン・ブラスター】。

 ローランド王国の平民出身の男だ。

 俺はあの森で、アッカスどもに焼かれて瀕死の重傷を負ったのだった。

 その瞬間、貴族たちの言葉が俺の頭の中を駆け巡った。


「お宅の息子が、うちの息子に暴行を働いたそうではないか? きちんと教育して欲しいものだね」

「わかったか。平民は貴族に逆らえないんだよ」

「父上の手前良くしてやってはいたが、本当はお前たちのことは良く思っていなかったんだよ。住まわせてもらえるだけありがたいと思え」

「ディオーラン! ボクはなぁ、お前が気にくわないんだよ!! お前はいつもいつも、ボクの『先』を行く。昔っからそんなお前のことが気に入らなかったんだよ、ディオーラン!!」


 この瞬間、俺は全ての貴族を憎んだ。

 俺をこんな目に合わせたローランドの貴族どもは、決して許さない。


「アッカス・ヴァカダノー……! ヤツだけは決して……!!」


 俺は右手を強く握りしめた。

 それから、俺は努力に努力を重ねた。

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