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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第2章 世界への旅立ち
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第39話 帝国の侵略

 翌日、僕たちは公王に信書を渡すために城へ向かった。

 城門前には、二人の兵士が立っていた。


「何だ、貴様たちは?」

「僕たちはローランド王国からの冒険者で、国王より公王様宛の信書を持って参りました」

「信書だと?」


 城の中から、騎士の格好をしたやや太り気味な男が出て来た。


「どうした?」

「はっ、ムノー団長。この者たちが……」


 ムノーと呼ばれた騎士が、兵士の話を最後まで聞かず、とんでもないことを言い出した。


「ムッ!? 貴様たちはもしや、帝国の手の者か!?」

「ち、違いますよ!」

「とぼけるな!! その武装した格好は、紛れもなく貴様たちは帝国の兵士だな!? わざわざ少人数で攻めてくるとは、愚かだな!」

「だから、帝国兵じゃないわよ!」

「こやつらを捕らえよ!! 捕らえて牢屋へ連れて行け!!」


 団長の合図で、城の中から続々と兵士たちが出て来た。

 僕たちは帝国の兵士だと勘違いされ、捕らえられてしまった……。


 そして、地下の牢屋に閉じ込められた。


「ここから出してよ~!」

「大人しくしてろ!」


 ルナが鉄格子を掴み、出して欲しいと言う。

 しかし、兵士が聞いてくれるわけがない。

 すると、セレーネが不安そうに訊いてきた。


「これからどうしますか?」

「しばらくはここで大人しくしていようと思う。……いざとなれば、ワープで脱出することも可能だ」


 僕がそう言うと、ルナが小声で質問してきた。


「それなら、どうしてすぐに脱出しないの?」

「いきなり牢屋から脱出したら、怪しまれるでしょう? ここは事態が動くのを待ったほうが良い。ファイン様はそうお考えなのですよね?」

「そういうことだ」


 セレーネが僕の考えを要約してくれた。

 こんな状況で言うのも変だが、頼りになる仲間を持ったものだ。

 とはいえ、どうしたものか。

 まあ、もし最悪の事態が起きた場合は、ワープで脱出するしかないが。


■■■■■


 カグラ公国軍の騎士団長【ムノー】は報告のために、公王・カイムのもとへやって来た。


「陛下、帝国の兵士たちを捕らえました」

「なに!? それは誠か!?」

「はっ。少人数で攻めて来たところを捕らえました。たった3人で来るとは愚かなものです」

「うむ、でかしたぞ。下がれ」

「ハッ!」


(クックックッ、これで私も出世できるぞ!)


 ファイン達を捕らえたことにより、ムノーは内心大喜びしていた。

 しかし、ムノーのその考えは甘いものだった。

 すると、一人の兵士が、慌てた様子で駆けつけた。


「ムノー団長! 大変です!!」

「どうした?」

「帝国軍が街に侵略して来ました!!」

「なにッ!? どういうことだ!? まさか、捕らえた奴らは囮だったのか!?」

「わかりませんが、その可能性は大いにあるかと……!」

「公王様を直ちに安全な場所へ!」

「はっ!」


 ムノーは数名の兵士を連れて街道に出た。

 すると、そこには馬に乗った帝国騎兵が大勢いた。

 騎兵たちはそれぞれ、剣や槍などの武器を構えていた。

 尚、公国軍はすでに市民を安全な場所へ避難させている。


「バカな!? 何故こんなに帝国の兵が!?」

「私は、帝国軍小隊長・ディーンである! これより、首都オーシンは帝国軍の制圧下に置く!」


 帝国軍の隊長が話かけて来た。

 頭には兜を被っており、顔は見えない。


「な、なんだと!? やはり、先程捕らえた者たちは貴様たちの仲間で、街への侵入を容易にするための囮だったのか!?」

「何のことだ? さっぱりわからないな。……まあいい。大人しく帝国軍に従えば、市民の安全は保障する。ただし、従わなければ……」

「我々がそのようなことを許すとでも思うか? カグラ公国軍は貴様ら帝国には屈しない!」

「……そうか、ならば仕方がない。力ずくで制圧させてもらう!!」


 公国軍と帝国軍の戦闘が始まった。

 だが、帝国軍の戦力は圧倒的で、公国軍は次第に劣勢に陥る。


「バカな!? 帝国の力がこれ程とはッ……!!」


 帝国軍の前に、公国軍の兵たちは次々と倒されていった。

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