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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第2章 世界への旅立ち
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第38話 新たなる出会い

 僕たちは目的地である、カグラ公国の首都オーシンに到着した。

 時間は既に夕方で、入国審査を受ける人たちで長蛇の列ができていた。


「【星の英雄たち(スター・ヒーローズ)】……、冒険者の方々ですね」


 到着してから1時間後、ようやく入国審査を終えることができた。

 その頃には、とっくに日は沈んでいた。


 エノウ大陸の中央には、広大な湖【スモルウェー湖】がある。

 その湖の南西にカグラ公国は位置する。

 カグラ公国は様々な文化が交わる国で、ローランド王国では見ないようなものまである。

 ゼフィール陛下はカグラ公国に協力を要請しようと考えており、僕たちから公王に信書を渡すように命令した。


「ファイン君、信書を渡すのは明日でいいんじゃない? 私、疲れたしお腹空いたよ」

「そうだな。君の言う通り、明日公王に信書を渡すことにしよう」


 先程の工作兵との戦闘で、僕たちは疲労が溜まっていた。

 時間は既に夜だったため、仲間と相談してディナーを食べることにした。

 まずは、店を探すところから始める。


「なあ、あんたら。ここじゃ見ない顔だが、旅人かい?」


 すると、後ろから男性に声をかけられた。

 外見は長身で、身長は190cmはありそうだ。

 全身が筋肉で引き締まっており、質実剛健という言葉が似合う。

 赤髪と赤目が特徴的で、年は僕たちと近いように見える。

 また、軽めの鎧を身に纏い、背中には斧を背負っている。

 どうやら、男は戦士か冒険者のようだ。

 強面だが気さくな笑顔で接してくれているので、悪い人ではなさそうだ。


「ええ、そうです。僕たちは【星の英雄たち(スター・ヒーローズ)】という冒険者です。僕はリーダーのファイン・セヴェンスです」

「ルナ・セラフィーです」

「セレーネ・ホープと申します」

「おっと、自己紹介が遅れたな。オレはヒューイ・サウスリー。見ての通り【戦士(ファイター)】だ」


 男は親指を自分に向け、ヒューイと名乗った。


「よろしく、ヒューイさん」

「【ヒューイ】でいいぜ。見たところ、お前らとオレは年も近いようだしな。それで、何か困りごとかい?」

「ディナーを食べようと思っているのだが、どこかいい店を知っているかい?」

「おう、それならお安い御用だぜ。オレも丁度メシにしようと思ってたんだ。ついて来な!」


 僕たちは、ヒューイについて行くことにした。


「着いたぜ。ここだ」


 歩いているとすぐ店に到着した。

 看板には【やよい】と書かれていた。

 何というか……渋いお店だな。

 中に入ると、外観同様に店内も渋い雰囲気だった。

 僕たち4人は、空いているテーブル席に腰かけた。

 メニュー表を見ると、ロースかつ定食やスシなど見たこともない料理ばかりだった。


「ローランドでは見ないような料理ばかりだな。カグラ公国の料理はこういうのが多いのか?」

「まあな。【和食】っていうんだ。他には、ローランドとかでも見るような料理が出される店もあるぜ」

「私はお寿司にするわ。私、お寿司が大好きなのよね!」

「では、私もお寿司にします」


 ルナはメニュー表を見て、すぐにスシに決めた。

 セレーネもルナと同じスシにした。


「このロースかつ定食というのは何だ?」

「豚肉に衣をまぶして、油で揚げた物よ」

「じゃあ、僕はロースかつ定食で」

「オレはカツ丼にするぜ。オレ様の大好物だぜ!」


 注文してから数十分後、料理がテーブルに届いた。


 僕はロースかつを食べた。

 衣はサクサクで、肉も柔らかい。

 また、思いのほか肉の味も濃厚で美味しい。

 野菜は新鮮で瑞々しく、味噌汁も温かい。


「……そうか。ファインたちは公王様に信書を……」

「ああ。ローランド王国とカグラ公国で協力して、帝国に立ち向かおうという考えだ」

「なるほど、つまり同盟を組もうってわけか。その使者にお前らが選ばれたってことだな」

「そういうことだ」

「そう言えば、公国北西部の街が帝国に占領されてな。街の住民たちは奴隷的扱いを受けているらしい」

「酷いな」

「ああ。近々奪還作戦が計画されているんだが、その作戦にオレも参加する予定なんだ」

「若いのに、大変なんだな」

「心配ないぜ。父ちゃんに鍛えられてるから、腕っぷしには自信があるぜ!」


 しばらくヒューイと談話した後、僕たちは代金を支払い退店した。


「今日はありがとう、ヒューイ」

「気にすんなよ。困ったときはお互い様だ。じゃ、また会おうぜ、ファイン!」

「ありがとう!」

「ありがとうございました」


 それから、僕たちはヒューイと別れ、今日泊まる宿に向かった。

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