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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第4章 魔王復活~遥かなる旅へ
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第151話 死者を蘇らせる聖女

「テメェらにもはや打つ手はない。大人しくここで死ねッ!!」


 ジャークはそう言うと、複数の魔法を同時に発射した。

 まず初めに火炎爆弾フレイムボムが迫って来た。

 ヒューイが前に出て、盾で防御しようとする。


「こいつはヤバいぜ!!」

「ヒューイ、無茶だ! 下がれ!!」


 火炎爆弾フレイムボムはこちらに着弾する前に全て爆発した。

 どうやらセレーネが結界バリアーを張って防御してくれたようだ。


「忘れたのか? オレの魔法はまだあるぜ!!」


 爆発が晴れると同時に、頭上から稲妻撃サンダーボルトが降り注ぐ。

 それと同時に、氷の槍(アイス・ジャベリン)も一斉に飛んで来た。

 何とか無傷で済んだが、結界バリアーは耐えきれずに音を立てて崩壊した。


 ところが、間髪入れずにジャークは次の火炎爆弾フレイムボムを三発放った。


「言ったろうがよォ! オレの魔法はまだまだあるとな!!」


 ヒューイが前に出て盾を構えた。


「聖盾!」


 しかし、三発の火炎爆弾フレイムボムを防御しきれず、ヒューイは吹き飛ばされてしまう。


「ぐおおおおおおおおおおおおおッ!!!」

「ハッ、そんなショボい盾で、オレの火炎爆弾フレイムボムを三発同時に防げると思ったか!! ……あぁん? あの小僧がいねぇぞ」


 ヒューイには悪いが、僕は瞬間移動テレポートでジャークの背後に回り込んだ。

 まずは風斬刃ウィンドブレイドを放つ。


「……なるほど、瞬間移動テレポートか」


 ところが、ジャークには勘付かれてしまい、結界バリアーで防御されてしまった。


「背後からの攻撃がオレに通用すると思っていたのか、このボケがッ!!」


 そんなことは想定済みだ。

 僕はまっすぐ突っ走り、ジャークに向かって接近する。


 すると、ジャークは氷の槍(アイス・ジャベリン)を飛ばして来た。

 凄まじいスピードで、常人なら間違いなく串刺しになるだろう。

 しかし、僕は難なく回避し、なおもジャークに接近する。

 丁度同じ頃、ルナもジャークに向かっていた。

 そして、肉薄して同時に攻撃するが、ジャークには結界バリアーを展開した。


「攻撃が阻まれた!?」

「甘ぇんだよ、小僧! そんな単調な攻撃がオレに当たると思っていたのかよ!! そして、テメェだけは必ず殺す!!」


 ジャークはの右手からは黒い球体が出現した。

 そして、それはどんどん大きくなっていく。


「この距離ならぜってぇ避けられねぇ。つまり、チェックメイトだぜ? 【ダークマター】!!」


 黒い球体はジャークの手から発射された。

 回避が間に合わない!

 そう思った次の瞬間、僕の身体は突然左に突き飛ばされた。

 なんと、ヒューイが自ら身を挺して僕を庇ったのだ。


「ヒューイ!!」

「待たせたな、ファイン! 聖盾!!」


 ヒューイは盾で魔法を防御しようと試みる。

 しかし、黒い球体はその勢いを全く衰えさせていなかった。


「よせ、ヒューイ!!」

「心配すんなよ、ファイン! オレ様は最強の守護者ガーディアンだぜ!! うおおおおおおおおおおおおおッ!!」


 しかし、ヒューイの努力は虚しく、黒い球体は大爆発した。

 ヒューイは全身血だらけになって倒れていた。


「フン! 死んだか」

「くっ……! ヒューイ、君の犠牲は……決して無駄にはしない!」

「弱いくせに、出しゃばるからだ!」

「ヒューイは弱くなんかない! 身体強化ブースト!」


 僕は聖剣を両手に構え、再びジャークに向かってダッシュする。


「何度やっても同じだよ! テメェらはこの激怒のジャーク様に敗れる運命なんだよ!!」


 そう言って、ジャークは複数の魔法を放つ。

 しかし、僕は自分の周りに球状の結界バリアーを展開し、構わずジャークに向かって突っ込む。


「なにっ!?」


 そして、僕はジャークに対して聖剣で斬撃する。

 相手も結界バリアーを展開し防御する。

 聖剣は受け止められてしまった。

 しかし、ここで諦めてしまっては、ヒューイの犠牲は無駄に終わってしまう。


「届けええええええええええッ!!!」


 すると、ジャークの結界バリアーにヒビが入りはじめた。

 やがて、聖剣は完全に結界バリアーを破壊した。

 そして、ジャークの右腕を勢いよく切断した。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


 ジャークはけたたましい悲鳴を上げる。


「よくも……よくも……!! 左腕のみならず、オレの右腕を……!!」


 ジャークは血眼になって、こちらを睨んでいる。


「ファイン・セヴェンス……テメェだけはぜってぇ許さねぇ!! ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 すると、ジャークはけたたましい雄叫びを上げる。

 それと同時に、ジャークの周囲には炎のような凄まじいオーラが発生した。


「なにが起きるの!?」

「この魔力の波動は危険だ。非常にまずいぞ!」


 すると、どこからともなく声が聞こえて来た。


『ジャーク、おいジャーク』

「この声は……魔王アガレス!?」


 よく見ると、床に落ちた円形の物体には、魔王アガレスの人物像が浮かび上がっていた。

 確か【通信魔導具】といったか。

 ということは、あれは激怒のジャークが落とした物なのか。


「テメェら全員、皆殺しだッ!! ウオオオオオオオオオオオオオ!!」


 ジャークが何かしようとしたその時だった。

 突然、ジャークの前には魔王が現れた。

 そして、魔王は右手でジャークの鳩尾にパンチを入れた。

 ジャークは口から血を吐き、その場に倒れた。

 たった一撃でノックアウトとなった激怒のジャーク。

 魔王と四天王の力量の差が、如実に表れる瞬間であった。


「魔王アガレス!!」

「やあ。久しぶりだな、諸君。この度は私の部下が迷惑をかけたようだな」

「迷惑? 冗談はよせ。貴様が仕向けた刺客だろうが!」

「ところで、頼んでいた紅蓮の宝玉はどうなった?」

「こんな短期間で見つけられる訳がないだろう!」

「フム、その様子だとそうだろうな」


 魔王は自分よりも体格の大きなジャークを片手で持ち上げた。


「では引き続き頼むぞ、星の英雄たち(スター・ヒーローズ)


 そう言って魔王は転移ワープし、ジャークを連れて帰った。

 それよりも、ヒューイの様子が気になる。


「ヒューイ!」


 僕はヒューイを鑑定した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・ヒューイ・サウスリー LV:83


種族:半獣人(男) 20歳

加護属性エレメント:火

クラス:守護者ガーディアン


HP:0/1550

MP:0/420

力:1250

魔力:233

器用さ:510

素早さ:634

防御:1400

耐魔:820


魔法:なし


スキル:身体強化ブースト、聖盾、頑丈


状態:死亡


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なんてことだ……ヒューイが死んでいる……!」

「そんな……ウソでしょ……!?」


 悲しみに暮れ、涙を流すルナ。

 しかし、ヒューイが死んでからまだ五分は経っていないはず。

 つまり、僕の至高治癒スプリームヒールなら彼を生き返らせることができるはずだ。

 そう思っていると、セレーネが口を開いた。


「心配ありません。私は死者をも蘇らすことのできる【聖女】ですわ。ここは私にお任せを、【蘇生リザレクション】」


 セレーネがヒューイに対して魔法をかけた。

 ヒューイの痛々しい傷が、みるみるうちに消えていく。

 それから、しばらくの時が経った。


「うっ、オレは……?」


 なんと、ヒューイは生き返った。


「や、やった……ヒューイが生き返ったぞ!!」

「よかったぁ……!!」

「そうだ、思い出したぞ。オレ、ファインを庇ってジャークの巨大魔法を喰らって、それから……オレ、死んだのか?」

「ああ。しかし、セレーネが君を生き返らせてくれたんだ」

「マジかよ……」


 事実を聞いたヒューイは落胆する。


「ありがとよ、セレーネ。お前がいなければ、オレは終わってた」

「どういたしまして」

「僕からも例を言わせてくれ、ヒューイ。君がいなければ、僕はジャークの魔法にやられていた。ありがとう」

「オレはこの戦いで、ようやく現実を思い知らされた。オレはまだまだ弱い。もっと強くならなきゃ、魔王アガレスには勝てねぇ」

「ああ、そうだな。紅蓮の宝玉はまだ見つけられてはいない。先を急がなくては」


 とりあえず、激怒のジャークを撃退することに成功した。

 しかし、結局のところ収穫はゼロである。

 紅蓮の宝玉に関する手掛かりは、何も掴めずに終わった。

 僕たちは転移門ゲートを使い、この遺跡から脱出することにした。

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