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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第4章 魔王復活~遥かなる旅へ
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第150話 敵の狙い

 パルテナ遺跡の最深部で、激怒のジャークと戦闘になった。

 僕たちは柱の陰に隠れてチャンスを窺っている。

 ジャークは高い魔力に加えて、賢さや洞察力をも併せ持っている。

 さすがは魔王四天王といったところか。

 まるで隙がなく、攻撃を当てることは困難だ。


 僕は柱の陰から飛び出し、聖剣で背後からジャークを斬ろうとした。


「そう来ると思ったぜ」


 ジャークは氷の槍(アイス・ジャベリン)を三発撃ってきた。

 僕はすぐに躱すが、あまりの威力に柱は崩壊してしまった。


「なんて威力だ!」


 ジャークが僕を攻撃している隙に、他のメンバーも飛び出してきた。

 しかし、ジャークは稲妻撃サンダーボルトを降らせて迎撃する。

 僕は咄嗟に回避したため、食らわずに済んだ。


「ぐわあああああああああああッ!!!」

「「きゃああああああああああっ!!!」」


 しかし、仲間たちは稲妻を浴びてしまい、その場に膝をつく。


「みんな、大丈夫か!?」

「だ、大丈夫よ……」

「これしきのことで……やられるかよ……!!」


 なんとか致命傷だけは免れたようである。

 傷はすぐにセレーネが回復した。


「てめぇら、頭脳がまぬけかぁ? 死角から不意打ちすれば、オレにダメージを与えられると思っていたのか? 甘ぇんだよ、このボケがッ!!」


 やはり、ジャークの隙を突くのは容易ではない。

 

「おい、小僧。お前の考えている事を当ててやろうか?」


 そう言って、ジャークは僕を指さす。


「『こいつは見かけに反して頭がいい。まるで不良のような風貌からは想像がつかない』とな。んなの当たりめぇだろうがッ、ボケが!! オレは生物界の頂点に立つ魔人族だぞ、ゴルァ!! オレたち魔族は、てめぇらムシケラどもよりも強く、そして賢い。今から格の違いってヤツを教えてやるよ」


 言い終えるとジャークは突然走ってきた。

 まさか、接近戦を挑むつもりか?


 ジャークは走りながら、火球(ファイアボール)を放つ。

 しかし、弾は地面に着弾し、土煙が発生した。

 直撃ではない。

 つまり、目眩ましということか。


 そう思っていると、案の定中からジャークが現れた。

 そして、ジャークはパンチを放つ。

 僕はすぐに避けた。

 しかし、あまりの威力に地面には窪みができてしまった。


「おいおい、マジかよ!? こいつ、接近戦も得意なのかよ!?」

「当たりめぇだろうがッ! オレは魔族だぜ。当然、魔法だけじゃねぇ。腕力もてめぇらより、オレたちの方が圧倒しているに決まっているだろうがよッ!!」

「おもしれぇ。次はオレ様が相手してやるぜ!! おりゃああああああああッ!!」


 ヒューイはそう言うと、ジャークに向かって走る。

 そして、接近して斧を振り下ろした。

 ところが、ジャークは片手でヒューイの斧を受け止めてしまった。


「言ったろうがよォ、テメェじゃあ相手になんねぇとなぁ!!」


 ジャークは右手で火炎爆弾(フレイムボム)を放つ。

 着弾と同時に、大きな爆発が発生した。


「ぐおおおおおおおおおおッ!?」


 ヒューイは爆発により吹き飛ばされた。


「チッ、盾で上手く受け止めやがったか」


 火炎爆弾(フレイムボム)の着弾寸前、ヒューイは聖盾を使い防御していた。

 そのため、ほとんど無傷であった。


「ふぅ、今のはさすがに危なかったぜ!」


 ルナが剣を構えて走る。

 その後方からは、セレーネが杖を構えた。


「いでよ、水の精霊ウンディーネ……氷の槍(アイス・ジャベリン)!」


 氷の槍が三発、激怒のジャークに向かう。

 このスピードは常人なら、防御する前に受けてしまうだろう。

 しかし、ジャークは左手で結界(バリアー)を展開した。

 氷の槍は全て砕け散った。


「ハッ、そんな児戯がオレに通用するか!!」


 セレーネが攻撃した隙に、ルナがジャークの右サイドから攻めようとする。

 ジャークは右手から火球(ファイアボール)を発射する。

 しかし、ルナは回避すると、素早く背後に回り込んだ。

 そして、光輝の剣(シャイニング・ソード)で攻撃しようとした。


 ジャークは振り返り、右手で彼女を捕らえようとする。

 ルナはジャンプでかわした。

 その直後、後方から氷の槍(アイス・ジャベリン)が三発飛んできた。

 どうやら背後に回ると同時に、ルナが放っていたようだ。


「あぁん?」


 ジャークは反応が遅れ、氷の槍を食らってしまう。

 しかし、胴から多少出血した程度で、大ダメージを受けた素振りを見せていない。

 魔族たるジャークに、普通の魔法は効かない。


「味な事を……! そんな小細工で、オレを倒せると思ったか!!」


 ジャークがルナに気を取られている隙に、すでに僕はジャークに接近していた。

 そして、聖剣で攻撃しようとした。


「これは、結界(バリアー)!?」

「甘いぜ、小僧。オレがてめぇの接近に気づいてないとでも思ってたのかッ!!」


 僕の攻撃は阻まれてしまった。

 そして、ジャークは手から稲妻撃サンダーボルトを放った。

 僕はすぐに回避し、その場を離れた。


 ルナが再びジャークに接近する。

 そして、懐に入ると光輝の剣(シャイニング・ソード)で攻撃した。

 ところが、ジャークにはかすり傷一つ負わすことができなかった。


「うそ!? 光輝の剣(シャイニング・ソード)が効かない!?」

「言ったろうが、小娘! そんなオモチャは通用せんとな!!」


 ジャークはそう言うと、左手でルナを捕まえた。


「きゃああああっ!? 離してっ!!」


 ルナはジャークの手の中でもがくが、脱出することはできない。

 僕は風斬刃(ウィンドブレイド)を放つ。


「ぐおおおおおおおおおおッ!!」


 ジャークの左腕が切断され、ルナの解放された。


「よくもオレの腕を……! 許さん!!」


 聖剣の効果により、失われた腕の回復は困難なはずだ。


「お前の狙いがわかったぞ、ジャーク。お前はルナを連れ去ろうとしているな。だからルナへの攻撃だけは手加減していた」

「ああ、その通りだぜ、小僧。ネタバラシするが、オレは魔王様の命で、そこの小娘を魔王城へ連れて帰れと言われている。もっとも魔王様の考えは、オレにも分からねぇがな」


 ジャークは自分の狙いをあっさりと白状した。

 しかし、魔王はなぜルナを狙うのかが気になる。

 支配者の空間(ドミナンス・ディメンション)が効かなかった事と何か関係があるのか。


「だが、小僧! 他のヤツらは容赦なく殺せとの命令が魔王様から下っている!」

「ルナ、下がっていろ。ヤツの狙いは君だ」

「でも、ファインたちが殺されちゃう……!」

「君は僕が守る。ヒューイ!」

「おう!」

「セレーネも援護は頼む!」

「わかりました」


 僕の指示で二人が前に出る。


「この腕の礼だ。お前らは容赦なく血祭りにあげてやる!!」


 ジャークは憎々しげに言うと、魔法を撃つべく構えた。

 出て来たのは、複数の火炎爆弾フレイムボムであった。


 しかし、それだけではなかった。

 複数の氷の槍(アイス・ジャベリン)がジャークの周辺に展開されている。

 そして、僕たちの頭上には雲が発生し、中では稲妻が走っている。


「こいつ、異なる属性を複数扱えるのか!?」

「当たりめぇだろうがッ! このボケがよッ!! オレは魔王四天王の一人、激怒のジャーク様だぞ! このオレが異なる属性の魔法を同時に発動するのはわけないんだよッ!!」


 僕たちは絶対絶命のピンチに陥った。

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