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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第4章 魔王復活~遥かなる旅へ
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第137話 破滅のグロウ(その2)

 聖ルナティア王国の聖都マルスに、破滅のグロウ率いる魔王軍が攻めてきた。

 聖王国軍は魔王軍に対して応戦する。

 しかし、魔族を前に人類は苦戦を強いられていた。


 そんな中、偶然星の英雄たち(スター・ヒーローズ)が助けにやって来た。

 その戦いぶりを、近くで見ている者がいた。

 アーネストとエヴァという、二人組のA級冒険者だ。


 アーネスト・ノートは、様々な魔法を使う魔女(ウィッチ)である。

 容姿は、色白肌に青髪青目のロングヘアー。

 身長は160cmで、服に隠れて分かりづらいがスタイルは良い。

 服装は、黒の三角帽子に黒のローブを着用している。

 ローブの中は白のワイシャツで、下は黒のミニスカートと黒ニーソである。

 その手には杖を持っている。

 年齢は二十歳で、大人しい性格である。


 エヴァ・ガーネットは女戦士(アマゾネス)で、アーネストとコンビを組んでいる。

 容姿は赤髪赤目のショートヘアで、肌色は小麦色である。

 身長は170cmで、女性にしては高い。

 深紅のビキニアーマーを着用し、斧を用いて戦う。

 胸が大きく太ももが太い為、スタイルは抜群である。

 その格好とも相まってスタイルの良さを醸し出している。

 年齢は十八歳で、明るく活発的な性格である。


 突如侵攻してきた魔王軍を前に、二人は祖国を守るために戦う。


「アーネスト、フォローはお願い!」

「わかっているわ。こいつらの弱点は頭か心臓よ。それ例外は攻撃が効かないわ!」

「了解!」


 聡明なアーネストは、魔族の弱点をすでに見抜いていた。

 アーネストは三体の魔族に対して、氷の槍(アイス・ジャベリン)を同時に撃ち込む。

 エヴァは斧で魔族の頭部をかち割る。

 二人は同じ村の出身で、姉妹のように育った幼馴染みである。

 そんな二人は対照的な性格ながら、息の合ったコンビだ。

 そして、A級冒険者ということもあって、二人は何とか善戦していた。

 しかし、次々現れる敵を前に、二人は手を焼いていた。


「まだこんなに敵が……!」


 そんな中、星の英雄たち(スター・ヒーローズ)が突然目の前に現れた。

 彼らは剣術や強力な魔法を駆使し、魔王軍と戦っている。

 個々の強さはもちろん、リーダーのファイン・セヴェンスを中心に、高い連携力をも持ち合わせている。

 そして、魔族たちを前に何ら苦戦することもなく、次々と魔族を撃退していく。


「すごい……」


 アーネストは思わずそう呟いた。

 彼女は、自分の知らない強い人たちがいることを改めて思い知らされた。

 そして、世界はまだまだ広いと思った。


 星の英雄たち(スター・ヒーローズ)のもとには突如、破滅のグロウが現れる。

 グロウはアーネストたちが驚愕する程、圧倒的な力を見せつける。

 そんなグロウに対し、ファイン達は人数と連携力を駆使して互角に戦う。

 しかし、ファイン達のもとには、他の魔族たちが近づこうとしていた。

 ところが、魔族たちはどこからか放たれた魔法によって、撃ち落された。


「エヴァ、彼らを援護するわよ。周囲の敵を彼らに近づけさせないで!」

「了解!」


 アーネストは自身の魔法によって、ファイン達に近づく敵を撃ち落していたのだ。


 アイツ……グロウは自分たちの手に負えるような敵ではない。

 しかし、彼らならアイツを倒せるかもしれない。

 彼らならば、この街を救えるかもしれない。

 突然現れ、どこの誰だかも知らないが、彼らは私たちの【希望】なのだ。

 アーネストはそう判断した。


■■■■■


「行くぞ、星の英雄たち(スター・ヒーローズ)よ!」


 グロウはモーニングスターを構え、再び僕に突撃してくる。

 僕は聖剣を地面に突き立てた。


大地裂斬アーススプリット!」


 地面に亀裂が入る。

 グロウはわずかに足を取られた。

 しかし、グロウは構わず前進し続ける。

 そして、グロウはモーニングスターを振り下ろした。

 僕は後ろに下がり、その一撃を躱した。


「馬鹿め、それで避けたつもりか?」


 すると、モーニングスターの柄の先から突然チェーンが伸び、鉄球がこちらに向かって来た。

 バカな、武器の間合いが伸びただと!?

 しかも、鎖と鉄球がまるで生きているかのように、科学的に不自然な動きである。

 どうやら、グロウが魔力操作で操っているようだ。

 ヤツの魔力は非常に高いので、そう考えると納得が行く。

 鉄球は、すでに僕の前に迫っていた。


 しかし、鉄球は空中で弾かれた。

 セレーネが僕の前に結界バリアーを張って守ってくれたようだ。


「大丈夫ですか? ファイン様」

「ああ。助かったよ、セレーネ」


 まさか、武器にこんなギミックがあるとは思いもよらなかった。

 こんな事なら、武器まできちんと鑑定しておくべきだった。


「おれの不意打ちを防ぐとはな。だが、これならどうかな?」


 グロウはそう言うと、突然空高くジャンプした。


「何をする気だ? アイツは」

「まずいッ! すぐにその場を離れるんだ!!」


 僕がそう警告を出すと、全員散開した。

 それから、二秒もしない内にグロウは着地した。

 着地と同時に、凄まじい衝撃が伝わった。


「「うおおおおおおおッ!!」」

「「きゃああああああっ!!」」


 それは、まるで地震が起きたかのようだった。

 グロウの巨体とも相まって、凄まじい破壊力を発揮した。

 石畳は砕け散り、僕たちの身体は空中へと投げ出された。


「終わりだ、ファイン・セヴェンス!!」


 グロウは僕に狙いを定め、モーニングスターで攻撃した。

 僕は結界バリアーを張って防御する。

 ダメージは防げたが、強い衝撃を感じた。


「どうやら、貴様らは一筋縄では行かないようだな。ここからは本気を出させてもらうぞ!!」


 グロウはそう言うと、身体強化ブーストを使った。

 その巨体に見合わず、グロウは素早い動きで僕たちを翻弄する。


 グロウはまず鎖から鉄球を出し、セレーネを狙って攻撃する。

 セレーネは結界バリアーで身を守った。

 しかし、鉄球の直撃は防げたものの、衝撃で結界バリアーは割れてしまう。

 そして、セレーネ自身も吹き飛ばされてしまった。


「きゃああああっ!!」

「よくもやってくれたな!!」


 ヒューイがグロウに向かって走る。

 そして、斧を振り下ろして攻撃した。

 しかし、グロウは回避すると、離れた位置からモーニングスターでヒューイを攻撃した。

 ヒューイは鉄球の直撃を受けてしまい、吹き飛ばされてしまった。


「ぐおおおおおおおおッ!!!」


 ヒューイは全身血だらけの重傷を負ってしまった。


 グロウは今度、猛スピードでルナに肉薄する。

 グロウは、ルナに向けてモーニングスターを振り下ろした。

 僕はルナの前に出て、彼女を庇う。

 そして、聖剣でモーニングスターを受け止めた。


「フン、面白い。まずは貴様から捻り潰してやろう!!」


 僕は身体強化ブーストをかける。

 しかし、力の開きは絶対で、僕は徐々に押されて行く。


「逃げろ、ルナ……!」

「でも……!」

「これ以上はもう持たないッ……早く!」


 そして、僕はモーニングスターに押し潰されてしまった。


「そ、そんな……!!」

「おいおい、ウソだろ!?」

「ファイン!? ファインーーーっ!!!」


 仲間たちの表情は絶望に染まる。

 そして、ルナが僕の名を叫んだ。


「これで星の英雄たち(スター・ヒーローズ)は終わりだな。後は残った者たちを潰せば……」


 喋っている途中で、グロウの右腕は突然風の刃によって切断された。


「グオオオオオオオオッ!?」


 痛みのせいか、グロウは苦悶の声をあげた。

 グロウが右を向くと、そこには僕がいた。

 僕はモーニングスターに押し潰されたと見せかけて、瞬間移動テレポートしていたのだ。

 そして、不意打ちで風斬刃ウィンドブレイドを放っていたという訳だ。


「貴様……なぜ生きている!?」

「教える必要はない」


 グロウはまだ理解できていないようだが、敵に手の内を明かす必要はない。


「ファイン、大丈夫!? ケガはない?」

「お怪我は大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ」

「良かったぁ……」

「まったく、今のはさすがに肝を冷やしたぜ! ま、お前のことだから、信じてはいたけどよ!」

「心配かけてすまない。さて、悪いがトドメを刺させてもらうぞ。破滅のグロウ」


 僕は聖剣を天高く掲げた。

 雲の中を稲妻が走る。


稲妻斬撃サンダースラッシュ!」


 雲からの稲妻が、グロウを何度も襲う。

 そして、稲妻の剣がグロウに突き刺さった。


「グオオオオオオオオオオオオッ!!!」


 グロウは断末魔の叫び声をあげる。

 あまりの威力により、周囲には土煙が発生した。

 それから、しばらくして視界は晴れた。


「なにィ!?」

「まだ、生きていたのか!?」


 グロウは全身血だらけで右腕を失ってはいたが、辛うじてまだ生きていた。

 そのことに、僕たちは驚愕する。

 これだけの攻撃を受けてまだ生きていられるとは、魔王四天王なだけはある。


「俺をここまで追い詰めるとは……星の英雄たち(スター・ヒーローズ)、やはり貴様らは魔王様が危険視するだけのことはあるな。そして、これ以上の戦闘継続は不可能だ。悪いが撤退させてもらうぞ。だが、次に会う時は、必ず貴様らを仕留める。覚えておけ……!!」


 グロウはそう言って、転移ワープして消えた。

 すると、聖都を襲っていた他の魔族や魔物たちも飛空艇に戻って行く。

 そして、飛空艇が聖都を離れると、空を覆っていた暗雲も次第に晴れた。


 僕たちは、辛くもグロウ率いる魔王軍を撤退させることに成功した。

 しかし、聖王国軍の兵士たちは多くが魔族によって殺されてしまった。

 そして、聖都中の道や建物は無残にも破壊されてしまった。

 復興には相当な時間がかかるであろう。

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