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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第4章 魔王復活~遥かなる旅へ
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第131話 ドワーフの武器屋

 聖剣エクスカリバーを手に入れた僕たちは、帝都オストに戻ってきた。

 しかし、ルナの剣は魔王に折られてしまい、今の彼女は武器を装備していない状態である。

 この状態で魔族に挑むのは、無謀としか言いようがない。


「ルナ、ローランドに帰る前に、君の新しい武器を買っておこうか」

「ええ、そうね」

「武器屋は南の商店街にあるようだ。行ってみよう」


 ルナの新しい剣を買うべく、武器屋へ行くことにした。

 武器屋は帝都の南部一帯にある、商店街にあるそうだ。

 そこで、南部の商店街へ行ってみることにする。

 そして、帝都に戻って来てから徒歩二十分ほどで例の商店街に着いた。


「ここが商店街か。随分賑わっているわね」


 商店街には、八百屋や道具屋など多くの店で賑わっている。

 帝都北部は魔族の攻撃で荒れてしまった。

 しかし、南部の方は魔族の手が届かなかったようで、比較的無事であった。

 そのため、商店街は襲撃が嘘だったかのように賑わっていた。

 ちなみに、城へ向かう際に一度ここを通っている。

 ただ、あの時は急いでいた為、武器屋がどこにあるかなんて憶えていない。


 そのため、僕たちは商店街の中から武器屋を探すことにした。

 歩くこと数分、剣と盾のマークの看板がある武器屋を見つけることが出来た。

 建物は少し大きめの一軒家と言った感じだ。

 よく見ると、店名が書かれている。


「店名は……【ボン・ボヤージュの武器屋】」


 建物の見た目や店名から判断するに、個人経営の店なのだろう。

 事実、武器屋はそういうところも少なくない。

 個人経営の店の特徴は、やはり何と言ってもプロの職人が武器を手作りしている為、質が良い事だろう。

 しかし、質が良い反面、値段が高価になりがちなのが短所だと言える。


 一方で、工場で大量生産している場合もある。

 その場合は、軍の兵士に必要なことが多く、安価で大量生産しているのが特徴だ。

 武器工場はローランドにもあったし、帝都オストにもあるはずだ。


 僕たちは早速、武器屋に入ることにした。

 扉を開けると、ベルが鳴った。


「いらっしゃい」


 中に入ると、店主らしき人物がハンマーで武器を鍛えていた。

 武器職人はドワーフのようで、背が小さく顔は白い髭に覆われている。

 彼がボン・ボヤージュか。


「すごい武器ですね」

「そうね」

「おおーっ、スゲー! いろんな武器がたくさん置いてあるぜ!」


 店内には剣や槍など様々な武器がズラリと並べられている。

 その事に仲間たちも感動しているようだ。

 刃の形状がしっかり整えられており、光沢も美しい。

 派手な装飾こそ少ないものの、切れ味は良さそうである。

 ボヤージュ氏が丹精込めて丁寧に作り上げたことが良く分かる。

 ただ、予想通り値段は高めであり、最安でも五万ゴールド以上はするようである。


「ルナ、どれがいい?」

「うーん、そうね……」

「なあ、ファイン。このグレートアクス、かっけーな! 頼むから、買ってくれよ!」


 ヒューイはそう言って、大型の斧が欲しいとせがむ。


「八万ゴールドか。いいよ、ついでに買おうか」

「サンキュー!」

「店主さん、このグレートアクスください」

「まいど、八万ゴールドや」


 ついでにヒューイの新しい武器も買うことにした。


 また、この店では魔導弓シューターも取り扱っているようだ。

 エリシアさんが使っていたような狙撃用の物と、帝国軍が使っていたような連射型の二種類とも売られている。


 しかし、僕が気になったのはそれら普通の武器ではない。

 僕の目に留まったのは、【光輝の剣(シャイニング・ソード)】という武器である。

 いや、それは武器と呼べるかも怪しい代物だった。

 まず、シャイニング・ソードの一番の問題点は柄と鍔だけで、なぜか刃が付いていない(・・・・・・・・)と言うことだ。

 そして、鍔の中心には赤や緑、それに青といった宝石がはめ込まれている。

 しかも、値段は十万ゴールドと他の武器と比べても高額である。

 一体、どうやって使うのか。


「おい、ファイン。こいつ、どうやって使うんだ? 刃がないんじゃ、戦えないぜ? そんなことは、バカのオレでもわかることだぜ」

「ああ。職人に聞いてみようか」


 ヒューイも同じ疑問を持っているようだ。

 そこで、僕はドワーフの店主に質問してみることにした。


「すみません」

「何や?」

「この光輝の剣(シャイニング・ソード)という武器はなんですか?」

「その武器は、柄に魔力を流すと先っちょから光の刃を生成するんやで。そこに色とりどりの魔石が嵌められておるやろ? それが刃を形成するための重要な部品なんやで。ワイの自信作やから、普通の剣と比べても切れ味は抜群なんやで! せやけど、刃を出している間は常に魔力を流し込まんといけへんから、魔力切れには十分気を付けるんやで」


 ドワーフの店主は、独特な喋り方で説明する。

 なるほど、それは道理で高額なわけだ。

 店主の説明が一通り終わると、ルナが近づいて来た。


「すみません。このシャイニング・ソードを使わせてもらってもいいですか?」

「おっ、お嬢ちゃん、シャイニング・ソードを使うんか? エエで、エエで。遠慮なく使ってみ!」


 ルナが赤い魔石のはめ込まれた、白い柄を左手に取った。

 すると、柄の先端からピンク色のまばゆい光を発した。

 その光は、確かに剣の形を成していた。


「ほう。お嬢さん、なかなかの魔力量みたいやな。しかも、光の刃を安定して形成できとる。剣士さんや騎士さんの多くはそもそもの魔力が少ない。ましてや、魔力コントロールをきちんとできる奴なんて限られておる。せやけど、お嬢さんは魔力コントロール力にも優れておるようやな。豆知識としてやけど、魔力量を少なくすれば短剣型にもなって消費魔力を抑えられるし、逆に流す魔力量を多くすれば大剣型にもなってより高威力の攻撃だってできるんやで! 早速やけど、シャイニング・ソードを使って、下で試し斬りしてみんか?」

「えっ、試し斬りできるんですか? 是非やらせてください!」

「おう。こっちやで」


 ボヤージュ氏に地下へ案内されたので、付いて行ってみることにした。

 武器屋の地下室は意外と広く、そこには大量の丸太が置かれていた。


「ここは練習場みたいな所や。ここに置かれている丸太は好きなだけ斬ってくれてエエで」

「はい」


 ルナは試し斬りをすることにした。

 彼女はまず、目の前にある丸太の前に立った。

 そして、剣を両手で持って縦斬りを放つ。

 丸太は何の抵抗もなく、綺麗に真っ二つとなって切断された。

 シャイニング・ソードの切れ味は想像以上に抜群であった。


「す、すごい……こんなに切れ味があるなんて思わなかったわ。まるで紙を切ったみたいな感覚だったわ」

「ほう。お嬢さん、なかなかやるやないか」


 その後、ルナは素早い動きを駆使して、次々に丸太を切断して行った。

 ルナの力量とも相まって、丸太はあり得ないペースで切断されて行く。


風斬刃ウィンドブレイド!」


 ルナは風斬刃ウィンドブレイドを放った。

 風の刃はピンク色だが、いつもより太くて速いと感じる。

 予想通り威力は高いようで、五本の丸太は一気に斬られてしまった。


「お、お嬢さん、アンタ思っていた以上の実力者のようやな……」


 ボヤージュ氏は、ルナの力を見て動揺する。

 ルナも、切断された大量の丸太を見て我に返る。


「あっ、ごめんなさい! 私、夢中で……」

「気にせんでくれ。丸太はまた手に入るからな」

「そうですか。それはよかったです」


 ボヤージュ氏は、丸太を大量に切断したことを許してくれた。


「あの、これください」

「そうか、シャイニング・ソード気に入ってくれたんか。まいど、十万ゴールドや」


 ルナはさぞシャイニング・ソードを気に入ったようで、十万ゴールドを払って購入することにした。

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