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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第4章 魔王復活~遥かなる旅へ
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第130話 聖剣エクスカリバー

 僕たちはクラスチェンジを経たことによって、今まで以上にパワーアップすることができた。

 そんな僕たちに、ローラ陛下は改めて話しかける。


「ファインさん、グランヴァル帝国には【聖剣エクスカリバー】が封印されています」

「聖剣エクスカリバーが?」


 聖剣エクスカリバーは、かつて三百年前の人魔大戦の時に、勇者が魔王と戦った際に用いられたとされる強力な武器だ。

 その効果は、通常の武器や魔法では致命傷を与えづらい魔族に対して、大ダメージを与えるというもの。

 その聖剣があれば、魔族に対して互角以上に戦うことができるだろう。

 僕は、ローラ陛下に聖剣が封印されている場所を聞くことにした。


「その聖剣が封印されている場所はどこですか?」

「帝都の北にある森の中の遺跡にあるそうです。ここから歩いて約一時間はかかると言われています。ですが、一つ問題が……」

「その問題と言うのは?」

「遺跡の入口には、侵入者避けの結界が張られていると聞きます。その結界を解かない限り、中に入れないでしょう」

「わかりました。有力な情報、ありがとうございます」


 僕たちは早速、その遺跡に向かうことにした。


■■■■■


 帝都を出た僕たちは、馬に乗って北に進む。

 辺り一面はひたすら草原が広がっており、遠くには山も見える。

 出発からおよそ三十分が経過し、森の中へと入る。

 この森に例の遺跡があるそうだ。

 そして、森の中に遺跡の入口を発見した。


「ここがローラ陛下の言っていた遺跡の入口か」

「そうみたいね」

「ですが、強い魔力を感じます」


 セレーネの言う通り、遺跡の入口からは強い魔力を感じる。

 僕は近くにあった小石を投げつけた。

 すると、小石は空中で弾かれてしまった。


 ローラ陛下の言う通り、入口には結界が張られているようだ。

 これを解除するか破壊しない限り、中に入ることはできない。

 辺りも見渡してみたが、当然スイッチらしき物は見当たらない。


 そこで、一か八か結界を破壊することを試みる。

 僕は右手を天高く掲げた。

 空には雷雲がかかった。


稲妻斬撃サンダースラッシュ!」


 暗雲からは、巨大な稲妻の剣が結界めがけて降り注いだ。

 しかし、案の定結界は壊れなかった。

 ダメだと思った直後、突然結界はまるでガラスが割れるかのように壊れた。


「さっすがファインだぜ! 結界をブチ壊しちまうなんてよぉ!」


 予想以上に簡単に結界を破壊できた為、僕は拍子抜けしていた。

 そんなことはさておき、僕たちは遺跡の中へと入って行った。


 遺跡に入り、ひたすら階段を下る。

 しばらく進むと、広い空間に出た。

 周囲には、複数の篝火が設置されている。


 そして、その中心の台には一本の剣が刺さっていた。

 石碑には、確かに【聖剣エクスカリバー】と書かれている。


「これが聖剣か。見た目は何の変哲もない普通の剣じゃねーか」


 聖剣エクスカリバーの刀身は長めで、色は白銀である。

 柄は金色で、鍔には赤色の宝石がはめ込まれていた。

 ヒューイの言う通り、見た目は少し豪華な剣といった印象で、聖剣という割には何か特別な力を感じるということは一切ない。


 第一次人魔大戦にて、デウスは人前から忽然と姿を消してしまったが、不思議と聖剣だけは見つかったらしい。

 それを大賢者ユリウスが、元あったこの遺跡に戻したようだ。

 ユリウスの日記にもそう書かれていた。


「どれ、オレ様が引っこ抜いてやるぜ!!」

「ヒューイ、あなた剣士じゃないでしょ」

「そうかてぇこと言うなって!」


 ヒューイは聖剣を抜こうとした。


「んぎぎぎぎっ!? 一体どうなってやがるんだ!? 全然引っこ抜けねぇぞ!!」


 ところが、聖剣はびくともしなかった。


「ヒューイ、ふざけている場合?」

「そんな訳ねぇだろ!? 本当に引っこ抜けないんだよ!!」

「私に代わって。聖剣と言ったら、私が相応しいわよね」


 そう言って、今度はルナが聖剣を抜こうとした。


「んんんんーーっ!? おかしいわね、本当に抜けないわ」


 しかし、ルナも聖剣を抜くことはできなかった。

 すると、ルナとヒューイはなぜか揃ってセレーネの方を見た。

 後衛のセレーネに聖剣を抜けと……?


「二人に抜けないのに、私に抜けるはずありませんわ」

「そ、そうだよね。ごめん」

「今度は僕が試してみるよ」


 僕はエクスカリバーを抜くべく手をかけた。

 すると、聖剣エクスカリバーはあっさりと抜けてしまった。


「拍子抜けするくらいあっさり抜けてしまった」


 有力者であるルナとヒューイには聖剣が抜けなかった。

 それを、僕にはあっさりと抜くことができた。

 つまり、僕が『聖剣に選ばれし者』と言うことか。

 すると、突然聖剣から眩しい光が発生した。


「「きゃっ!?」」

「うわっ!?」

「な、何だ!?」


 目の前が真っ白になった。

 しばらくして、僕の頭の中に映像が流れて来た。

 そこには、三名の男女がいた。

 しかし、この光景はどこかで……。


 そうだ、思い出した。

 僕の前世は、あの【大賢者ユリウス】だったのだ。

 もう一度言う。僕はユリウス・ヴァン・ローランドの生まれ変わりだ。


 この映像は、仲間と共に旅をした思い出だった。

 ユリウスの仲間は女武闘家と女魔法使い、そして一人の勇者……すなわちデウスのようだ。

 しかし、デウスを含めた仲間たちの顔は思い出せず、映像ではのっぺらぼうのように再生された。

 勇者デウスは三百年前の第一次人魔大戦で、この聖剣エクスカリバーを用いて魔王アガレスと戦った。

 デウスがいなくなった後、ユリウスがエクスカリバーを発見し、この遺跡に戻したのだ。

 そして、今の僕がエクスカリバーに触れたことによって、ユリウスの記憶の一部が蘇ったようだ。

 道理でイナ村の地下書庫での親和性が高い訳だ。

 余談だが、ユリウスの一人称は『俺』であった。


 やがて、映像は消えていった……。


「ファイン、どうして泣いているの……?」

「大丈夫ですか? ファイン様……」

「な、何でもないよ! ……僕は大丈夫だ」


 いつの間にか、僕は涙を流していたようだ。

 そのことにルナとセレーネも、心配そうな眼差しを送る。

 僕は、自分のステータスをもう一度確認してみることにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・ファイン・セヴェンス LV:99


種族:人間(男) 19歳

加護属性エレメント:天

クラス:勇者


HP:999/999

MP:800/800

力:999

魔力:741

器用さ:769

素早さ:850

防御:840

耐魔:724


魔法:回復・補助魔法LV.10、炎魔法LV.10、氷魔法LV.10、

風魔法LV.10、雷魔法LV.10、土魔法LV.10、

光魔法LV.8、闇魔法LV.7、空間魔法LV.10、

必殺魔法LV.10、至高魔法スプリームマジックLV.6


スキル:身体強化ブースト、王国式剣技、鑑定、無詠唱、

消費精神力軽減、精神力継続回復(大)、状態異常無効


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ユリウスの記憶を取り戻したためか、各魔法のレベルが若干向上していた。

 そう言えば、ユリウス時代の僕は【稲妻斬撃サンダースラッシュ】以外にも、強力な魔法を開発していたはずだ。

 よく見ると、新しい魔法が使えるようになっていた。

 いや、正確には僕がユリウスだった頃の力を取り戻したともいうべきか。


 まずは、あらゆるアイテムや、敵の状態や弱点を知ることができる【鑑定】スキル。

 そして、前世の僕自身が作り出したオリジナルの魔法である【至高魔法(スプリームマジック)】を思い出した。

 その中でも、【至高治癒(スプリームヒール)】はどんな怪我や病気もたちまち完治させることができる、万能な回復魔法だ。

 しかも、複数人を対象に回復することも可能だ。

 消費精神力は特級治癒(エクストラヒール)の2割増だが、性能を考えるとむしろ低燃費と言える。


 そうだ、鑑定を使ってみよう。

 僕は早速、手に入れた聖剣エクスカリバーを鑑定してみることにした。


『エクスカリバー……攻撃力120。ファイン専用。正式名称【聖剣エクスカリバー】。アンデッド、悪魔、魔族に特効。使用すると、稲妻矢(サンダーアロー)を放つ』


 聖剣はアンデッドや悪魔、そして魔族に対して有効なようだ。

 魔族は、通常の武器や魔法は効かない程の強靭さを誇る。

 仮にダメージを与えたとしても、脳や心臓と言った急所を突かなければ、再生されてしまうといった厄介な特性を持っているのだ。

 そんな魔族に対し、エクスカリバーは再生能力を無視して大ダメージを与えられると言うので、これは助かる。

 ただし、今は力も失われており、三百年前ほどの力は残っていないようだ。

 そのため、今は少し強い武器と言った程度の強さのようだ。


 僕は仲間のステータスが気になったので、【鑑定】スキルで仲間たちのステータスを見てみることにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・ルナ・セラフィー LV:77


種族:人間/天使(女) 19歳

加護属性エレメント:水

クラス:神聖騎士ディバインナイト


HP:777/777

MP:1475/1475

力:777

魔力:1695

器用さ:724

素早さ:1400

防御:650

耐魔:1200


魔法:回復・補助魔法LV.9、炎魔法LV.7、氷魔法LV.8、

風魔法LV.5、雷魔法LV.5、土魔法LV.4、

光魔法LV.5、必殺魔法LV.5


スキル:身体強化ブースト、王国式剣技、無詠唱、状態異常無効


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 まずはルナ。

 ルナは精神力や魔力、そして素早さなどが非常に高い。

 中でも、魔力は最高の数値である。

 さすがはS級魔力の持ち主だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・セレーネ・ホープ LV:70


種族:ハーフエルフ(女) 19歳

加護属性エレメント:地

クラス:聖女セイント


HP:540/540

MP:1400/1400

力:321

魔力:1300

器用さ:631

素早さ:700

防御:400

耐魔:1100


魔法:回復・補助魔法LV.10、光魔法LV.7、神聖魔法LV.1


スキル:無詠唱、回復魔力+20%、回復魔法消費MP半減


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 続いてセレーネ。

 セレーネは力や防御力が弱く、物理攻撃能力が低い。

 しかし、精神力や魔力がルナに次いで高い。

 特に、回復魔法に関するパッシブスキルを多く持っているようだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・ヒューイ・サウスリー LV:81


種族:半獣人(男) 20歳

加護属性エレメント:火

クラス:守護者ガーディアン


HP:1500/1500

MP:420/420

力:1200

魔力:233

器用さ:500

素早さ:630

防御:1350

耐魔:800


魔法:なし


スキル:身体強化ブースト、聖盾、頑丈


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 最後にヒューイ。

 彼は獣人族とのハーフということで、ルナやセレーネとは逆に魔法が使えない。

 一方、生命力や腕力それに防御力が非常に高い。

 そして、パーティーのタンクということもあってか、魔法への耐性も高くなっている。


「っしゃー、ファインが聖剣エクスカリバーを手に入れたぜ! これがあれば、鬼にこん棒だぜ!」

「鬼に金棒な」


 聖剣エクスカリバーを無事手に入れることができた為、僕たちはとりあえず帝都に戻ることにした。

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