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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第3章 帝国との戦い
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第125話 皇帝の力

 僕はディオーランとの一騎打ちで勝つことに成功する。

 ディオーランを生命創成ライフクリエイトの蔦で拘束した。


「ファイン、やっぱりお前は強いな。俺の負けだ。お前には敵わないな。後は煮るなり焼くなり、お前の好きにしてくれ」


 ディオーランは完全に降参した。

 僕は剣を鞘に納めた。


「ディオーラン、君をローランドに連れて行く」

「ああ、そうしてくれ」

「だが、勘違いするな。君に決して情けをかけている訳ではない。君は裏切り者として、王国の法にかける。だがその前に、まずは倒すべき敵を倒してからだ」

「しくじりおったか、地のディーン」


 玉座の間には、突如男がどこからともなく瞬間移動テレポートで現れた。

 その男は大柄で、ヒゲ面に黒髪赤目である。

 推定年齢は40~50代くらいである。

 そして、赤系の豪華な服装を身に纏っている。

 その男と出会うのは、今回が初めてである。

 だが、その男が誰だかすぐにわかった。


「皇帝ゴスバール……!」

「如何にも。ワシがゴスバール・フォン・グランヴァル。グランヴァル帝国の皇帝だ。貴様が【星の英雄たち(スター・ヒーローズ)】のファイン・セヴェンスだな?」

「そうだ。皇帝ゴスバール、世界の平和を取り戻すために、今ここで貴様を倒す!」


 僕はそう言って、再び剣を抜いた。


「ワシを倒すだと? フハハハハ! 寝言は寝て言え、小童が! 貴様如きがワシを倒すなど、笑止千万!!」


 皇帝は心底馬鹿にしている。

 余程自信があるようだ。

 すると、皇女ローラが前に出てきた。


「兄上、もうこんな戦いはやめましょう。人はそんな簡単に世界を支配することはできません。兄上は、本当に世界の支配者になれるとでも思っているのですか?」

「当然だ、ワシにはその資格がある。愚かな妹よ、妹ゆえにお前には今まで心をかけて来た。だが、それも今日までだ。お前も道連れにしてやろう。ワシは必ず世界の支配者になる!」


 皇帝ゴスバールはそう言って、左手を天高く掲げた。

 左手の指輪から、紫色の光が発生する。

 玉座の間は、まばゆい光に覆われた。

 そして、皇帝は【アシュラ】へと変貌を遂げた。

 アシュラは人型の身体に、6本の腕を持つ伝説の魔物だ。

 全身筋肉質で、体長はおよそ3メートルはあると思われる。

 本来は伝説上の存在だが、これが現実にいると言うことは……。


「あ、阿修羅!?」

「これが皇帝の力だというのか!」

「フハハハハ! 驚いたか、人間ども! ワシは魔王よりこの力を賜った。だが、ワシは魔王を利用しているに過ぎん。ワシは魔王すらも超えて見せよう!」

「魔王はそんな生易しいものじゃあない。お前は魔王に利用されているんだ!」


 やはり皇帝は、魔王から力を授かったというのか。


「皆さん、気をつけてください。あの魔物から、尋常ではない魔力を感じます!」

「おいおいおいおい、やばいんじゃねぇか!? こいつは!」


 セレーネとヒューイも警告を発する。


「ローラ皇女は早く安全なところへ!」

「でも……!」

「あなたは未来の帝国を担う人です。あなたが死んだら、残された帝国の民はどうなるのですか!? 今すぐに、グランヴァル帝国の市民たちに避難勧告を出してください!」

「……わかりました」


 僕は非戦闘員である皇女ローラを逃がした。


「縄を切れ、ファイン!」

「え?」

「何をしている!? あんな化け物が世に放たれたら、世界は大混乱だぞ!!」


 ディオーランは突然縄を切れと言う。

 敵だった男を解放するのは、気が引ける。

 しかし、今は躊躇っている場合ではない。

 僕は彼の言葉を呑み、剣で縄を切ることにした。


「恩に着るぜ、ファイン。さあ、早いとこあの化け物をやっつけるぞ!」

「ああ、ディオーラン!」


 ディオーランは剣を構えた。

 星の英雄たち(スター・ヒーローズ)はディオーランと共闘することになった。


■■■■■


 皇帝ゴスバール改め、アシュラとの戦いが今始まろうとしていた。

 ディオーランは僕たちに協力してくれると言う。

 僕とディオーランは、ローランド王国を魔物群が襲撃してきた時以来の共闘になる。実に3年ぶりだ。


「懐かしいな。お前とは、3年前にもこうして共に戦ったな」

「今はそんな事を言っている場合ではないぞ」

「そうだったな」

「フハハハハ、脆弱な人間どもよ! 人智を超えたワシの力の前に触れ伏すがよい!」

「僕たちを侮るな。皇帝ゴスバール、お前の野望は今日ここで打ち砕く!」

「あの怪物を倒して、世界に平和を取り戻しましょう!」

「久しぶりに強敵が現れたようだな! オレ様がぶっ飛ばしてやるぜ!」

「援護は私にお任せください」


 仲間たちも、思い思いに意気込みを語った。


「さあ、行くぞ!」


 僕たちは武器を構えてアシュラに立ち向かった。

 アシュラは右手の拳で迎撃する。

 僕たちはその攻撃を躱すが、衝撃で床が陥没した。


「なんて威力だ!」


 力自慢のヒューイも驚く。

 あれだけの大きさなら、当然それくらいのパワーはあるだろう。


「見たか、ワシの力を! 誰一人として、ワシに敵う者はおるまい!」


 アシュラは自身の力を誇示する。

 やはり魔王から力を授かっただけあって、並の魔物を遥かに上回る力はあるようだ。


「それはどうかな?」


 僕はアシュラに向かって走った。

 アシュラは左手の拳で迎撃する。

 僕はそれを上手く躱し、アシュラの懐に潜り込んだ。

 そして、剣で胴体を斬り付けた。

 ところが、アシュラには傷一つ付けることはできなかった。

 その筋肉は、まるで鋼のように硬い。


「フハハハハ、無駄無駄! 貴様程度の攻撃では、ワシを倒すことはできん!」


 アシュラはそう言うと、右手のパンチで攻撃してきた。

 僕は回避しつつ、一旦仲間のもとへ戻った。


「ちっ! 予想していたが、やはり硬い!」

「だったら、今度はオレ様が行くぜ! おりゃあああああ!!」


 ヒューイはそう言うと、斧を構えてアシュラに向かった。

 アシュラは6本の腕を巧みに使って攻撃を行う。

 左右交互のパンチにより、ヒューイはアシュラに近づくことが出来ない。


「クソッ、なんて攻撃だ!」


 アシュラの右パンチが、ヒューイに当たりそうになる。

 アシュラの拳は、ヒューイの胴体くらいの大きさはある。

 いくら巨漢のヒューイと言えども、あれをまともに喰らったらタダでは済まないだろう。

 その時だった。

 風の刃が、アシュラのパンチを妨害した。

 ディオーランが風斬刃ウィンドブレイドを放ち、ヒューイを援護していたのだった。


「何をしている、筋肉野郎! 少しは頭を使え!」

「ディオーランか!? サンキュー、助かったぜ!」


 アシュラは、左手の三連パンチを放った。

 ヒューイは上手く躱して懐に入り、斧で攻撃した。

 しかし、かすり傷程度のダメージにしかならなかった。

 ヒューイの力を以ってしてもこれか。


「バカなッ!? オレの一撃が効いていないだと!?」

「その程度の力では、ワシを倒せん!」


 僕はダッシュで、アシュラに向かう。

 そして、隙を突いてジャンプし、アシュラの頭を狙って斬撃を放った。

 しかし、アシュラは左腕で防いだ。

 その直後、アシュラは右手のパンチで攻撃してきた。

 僕は防盾シールドでパンチを防ぐが、衝撃が左腕に伝わってきた。

 ダメージは無いが、一撃が重い!


「チッ、隙が無い!」

「二人とも、離れて! 氷の槍(アイス・ジャベリン)!」


 ルナが氷の槍(アイス・ジャベリン)を放ったため、僕とヒューイは左右に回避した。

 迫りくる氷の槍(アイス・ジャベリン)を、アシュラは両腕でガードした。

 両腕から少し血が出た程度のダメージしか与えられなかった。


「小娘が! 小賢しいマネをしてくれる!」


 現時点において、アシュラに有効打を与えられてはいない。

 魔王の僕が相当強いことが窺える。

 その強さは、同じく魔王の僕であった蛇大臣とは比べものにならない程だ。

 さすがはグランヴァル帝国の皇帝なだけはある。


「今度はこちらから行くぞ!」


 アシュラはそう言うと、攻撃態勢に入った。

 すると、アシュラは突然ジャンプし、僕たちに一気に距離を詰めて来た。


「は、速い!」


 そして、着地と同時に右手によるパンチを放つ。

 僕たちは何とか回避することができた。

 しかし、その後アシュラは攻守交代と言わんばかりに攻撃を繰り返す。

 何とか反撃の隙を窺うが、そんな隙はない。

 アシュラ自身の能力は高いが、何よりあの6本腕は非常に厄介だ。

 何とかしなくては。

 アシュラは僕を狙って攻撃してくる。

 僕は回避することで手一杯だ。

 すると、ルナがアシュラの背後より風斬刃ウィンドブレイドで攻撃した。

 アシュラはルナに狙いを変えた。

 アシュラはジャンプで距離を詰めると、右手でルナを掴んだ。

 予想外の素早さに、ルナは躱せなかった。


「きゃっ!?」

「小娘が、このまま捻り潰してくれるわ!!」

「離して!!」


 アシュラはルナを握り潰そうと、力を込めた。

 ルナは腕ごとがっちり掴まれ、身動きが取れずにいる。


「やめろーッ!! ルナを離せ!!」


 僕は剣に強化魔法エンチャントを施し、アシュラに立ち向かった。

 そして、アシュラの手首を狙って斬撃を加えた。

 すると、アシュラの手はあっさりと切り落とされた。


「グオオオオッ!!」


 アシュラは悲鳴を上げる。

 何とかルナを助けることに成功した。


「大丈夫か、ルナ!?」

「うん、ありがとう。私は大丈夫よ」


 僕はルナの心配をするが、どこも怪我をしていなさそうで良かった。


「ちっぽけな人間共にしてはよくやるようだな。少しは認めよう。見せてやろう、ワシの力を!!」


 アシュラはそう言うと、大きな火の玉が5つ召喚した。


「あれは、火炎爆弾フレイムボム!?」

「皆さん、私のもとへ集まってください!」


 セレーネは結界バリアーを展開した。


「フハハハハ! 虫けら共よ、砕け散るがよい!!」


 アシュラはそう言うと、いよいよ火炎爆弾フレイムボムを発射した。

 火炎爆弾フレイムボム結界バリアーに着弾し、もの凄く爆発とともに衝撃を発生させた。


「くぅ……!」


 結界バリアーを張っているセレーネが苦しそうである。

 ルナが両手を前に出し、追加の結界バリアーを張った。

 お陰で何とか火炎爆弾フレイムボムを凌ぎきったが、玉座の間はだいぶ荒れてしまった。

 アシュラは切断された右手を拾った。

 そして、切断面とくっつけて復元した。


「やはり、再生能力まであるのか!」

「当然だ! ワシは世界の支配するに相応しい男なのだからな! ワシこそ、世界を統べるに相応しい【帝王】だ!!」


 高い防御力で攻撃はほとんど効かず、素早い動きと6本の腕で攻撃を当てるのも困難。

 おまけに、再生能力まであると来た。

 果たして、アシュラを倒す方法はあるのか。

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