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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第3章 帝国との戦い
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第112話 待ち伏せ

 白金騎士(プラチナムナイト)アポロ率いる王国軍は、国境の砦を突破し、軍を進めていた。

 帝国領内のとある山間の地域にて、帝国軍の防衛部隊とおぼしき一団と戦闘になった。


「やはり待ち構えていたか。よし、ここを突破するぞ!!」

「ハッ!!」


 アポロの指示で王国騎士団は突撃する。


 対する帝国軍防衛部隊は、地のディーンが率いていた。

 アポロはディーンと対峙した。

 そして剣を交える二人。


「アポロ・セラフィーか。相対するのを楽しみにしていたぞ」

「地のディーン……いや、ディオーラン君」


 アポロがディオーランの名を呼んだ。

 すると、ディーンは距離を取り、兜のフェイスガードを上げた。

 その顔には、見覚えがあった。

 顔の部分しか見えないが、それは紛れもなくディオーランだった。

 そして、アポロも兜のフェイスガードを上げて顔を見せた。


 ディオーランがかつて、クロード伯爵家在籍時代に何度かアポロと会ったことがあった。

 しかし、アポロはディオーランの顔をよく憶えていた。

 今でこそディオーランは成長して大人になったが、顔は少年時代と変わっていなかった。


「やはり、ディオーラン君か」

「俺はディオーランなどではない。俺は帝国将軍【地のディーン】だ」

「生きていてくれて嬉しいよ。だが、なぜ帝国に寝返った?」

「俺は、俺を見下す全ての貴族を許さない」

「アッカス君や、クロード伯爵家の事を言っているのか? すまなかった! 私も公爵家の当主だ。全ての貴族を代表してお詫びする!」


 ディオーランに対し、アポロは頭を下げて謝罪する。


「あんたが謝罪したところで、何になると言うんだ? 俺が受けた傷は治らない」

「本当にすまなかった」


 アポロは再度謝罪したところで、ディオーランにある提案を持ちかけた。


「ローランドに戻って来てはくれないか? 今ならまだ間に合う! 共に協力して、帝国を倒そう!」

「残念だが、それはできないな」

「なぜ?」

「俺は皇帝に忠誠を誓ったのだ。皇帝は俺の存在を認めてくれた。俺に地の地位を授けてくれた!」

「皇帝は危険だ。それは君にも分かっている筈だ!」

「もはや後戻りなど出来ないのだよ。これが、俺がディオーランとしての最後の言葉だ」


 アポロは一応の説得は試みる。

 しかし、ディオーランはそれに応じなかった。

 一方、アポロもディオーランが説得に応じないことは予想していた。


「……そうか、それは仕方がないな。できれば君と

は戦いたくはなかったんだがな」


 会話の後、白金騎士(プラチナムナイト)のアポロと、地のディーンは戦闘を再開した。


「なかなかやるな!」

「アポロ・セラフィー、俺は貴様(・・)を倒す!」


 ディーンはアポロに対し、上からの斬撃を放つ。

 アポロはそれを剣で弾いて見せる。

 その隙にアポロは反撃する。

 しかし、ディーンもそれを予測していたのか、身を引いてかわす。

 その後、ディーンは果敢に反撃に出る。


 両者の力はほぼ互角であった。

 しかし、軍全体で見ればそうも行かなかった。

 ディーン率いる帝国軍は、山間という地形を活かして戦闘を仕掛けたのだ。

 山には帝国軍の伏兵が潜んでいた。


「よし、今だ! 撃てーッ!!」


 山に潜んでいた帝国兵の指示により、左右の山から一斉に矢が飛んできた。

 王国軍の兵士たちは矢の雨を浴びてしまう。

 この攻撃により、王国軍は思わぬ被害を受けてしまった。


「チッ、撤退するぞ! 私が殿を務める。サン、フレア、前衛は頼んだぞ!」

「はい!」

「了解!」


 アポロの指示により、サンとフレアは前方の敵を突破し退路へと向かう。

 ところが、退路は帝国兵によって塞がれていた。


「セラフィー将軍! 大勢の帝国兵によって、退路が塞がれているとの報告が!!」

「やはりな」


 アポロはその事を予想はしていた。


「私がヤツらを一掃する! 護衛は頼んだぞ!」

「ハッ!」


 アポロはそう言って、前に出た。

 護衛の騎士たちもそれに続いた。


「遠き天空よ、我が叫びをいかずちとして結集し、邪なる者を打ち砕け!」


 アポロは剣を上に掲げ、詠唱を開始した。

 空には次第に暗雲がかかり始めた。


稲妻斬撃(サンダースラッシュ)!」


 アポロは稲妻斬撃(サンダースラッシュ)を放つと、退路を塞いでいた帝国兵たちは壊滅した。


「ディーン将軍、報告します! アポロ・セラフィー率いる王国軍に逃げられました!!」

「チッ、逃げられたか……」


 辛くも撤退することに成功したアポロ率いる王国騎士団。

 しかし、同時に兵力を半分も失う被害が出た。

 このままでは、帝都攻略は不可能だろう。


「まあいい。あの被害なら、帝都に侵攻することは不可能だろう。何より、我々の“計画”には何ら支障はない」


 ディーンは部下たちを率い、帝都へ引き上げた。

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