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英雄たちの物語 -The Hero's Fantasy-  作者: おおはしだいお
第3章 帝国との戦い
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第106話 闇のクロノス

【ルナ視点】


 私たちはグランヴァル帝国に向けて、登山を順調に進めていた。

 もうすぐ帝国との国境なので、気を引き締めなくてはならない。

 登山を進めていると、漆黒の鎧兜を装備した7人の騎士たちに遭遇した。

 中央には、マントを羽織ったリーダーらしき騎士がいる。


「やはり、帝国軍か」

「如何にも。私たちは帝国軍所属【暗黒騎士団(シュヴァルツリッター)】。帝国の中でもエリート中のエリートだ。そして、私はそのリーダーにして、六大帝将の一人【闇のクロノス】だ。この前はヴォルトの部隊を退けたようだが、我々はそうはいかんぞ」


 先頭の騎士は、闇のクロノスと名乗った。

 クロノスは全身を漆黒の鎧兜に包んでおり、素顔は見えない。

 兜の目の部分が赤く光っており、不気味さを醸し出している。

 そして、声から判断するに男性のようだ。

 すると、クロノスはいきなりファインに斬りかかって来た。

 私は剣を抜いて、クロノスは一撃を防いだ。

 ファインなら、おそらく今の一撃を防げただろうけど、念のためだ。


「ほう、女。私の剣戟を防ぐとは、大したものだ」

「不意打ちとは、ずいぶん卑怯ね」


 クロノスは私たちから一旦距離を取った。


「面白い。女騎士、私と一騎討ちしろ。貴様、なかなか強そうだな」


 クロノスは突然私に一騎討ちを申し込んできた。


「ルナ、応じる必要はない。ヤツは僕が相手する」

「いいえ、彼の相手は私がするわ。その勝負、受けて立つわ」


 私はクロノスとの一騎討ちに臨むことにした。

 その間に、ファインたち3人は部下6人の相手をすることになる。

 剣を抜き、クロノスと向き合った。


「先手は譲ってやろう」


 私は先手を譲られたので、クロノスに向かって走り出した。

 そして、私はクロノスに向かって剣を振り下ろした。

 しかし、私の剣戟はクロノスに防がれてしまった。


「ほう、なかなかの剣筋だな。しかし……!」

「何、このパワーは!?」


 私はクロノスに押され始めたので、一旦距離を取ることにした。


「今度はこちらから行くぞ」


 すると、クロノスが走って近づいてきた。


氷結剣アイスブランド!」


 私は氷結剣アイスブランドを放ち、クロノスに接近される前に攻撃した。

 しかし、クロノスは躱して右から近づいてきた。

 そして、私に肉薄して剣で斬撃して来た。

 私はクロノスの攻撃を受け止めた。

 クロノスは何度も斬撃を放つ。


「一撃一撃が……重い!?」


 クロノスの攻撃に、私は徐々に押されて行く。

 このままでは、防戦一方になってしまう。

 私は一瞬の隙を突いて、クロノスの背後に回り込んだ。

 そして、クロノスの首を狙って斬撃を放った。

 ところが、クロノスは反転して私の剣戟をガードした。

 その直後、クロノスは反撃してきたので、私は回避して一旦距離を取った。


「ほう、なかなか楽しませてくれるな」

風斬刃ウィンドブレイド!」


 私は剣を横に薙ぎ、風斬刃ウィンドブレイドを放った。


「なるほど、【王国式剣技】か。ならば、暗黒刃ダークカッター


 クロノスが剣を振ると、闇属性の刃が複数飛んできた。

 そのうちの一発は、私の風斬刃ウィンドブレイドと相殺した。

 そして、残りの刃が私に向かって高速で飛んで来た。

 私は何とか躱した。

 しかし、安心したのも束の間。

 クロノスはすでに私の目の前にいた。


「いつの間に!? ……ぐっ!!」


 私は咄嗟に防御の構えに入った。

 クロノスは私のお腹に蹴りを入れて来た。

 防御鎧(プロテクト)のおかげでダメージは軽微に抑えられた。


「いったぁ……レディのお腹を蹴るなんて、失礼よ!」

「これは殺し合いだ。失礼も何もないだろう?」


 剣だけではクロノスに勝てないと私は判断した。

 そこで、氷の矢(アイス・アロー)をクロノスに向けて放った。

 しかし、クロノスは剣で魔法を切り落とした。


「騎士でありながら、魔法も使えるのか。しかし、その程度で私を倒すことは出来ぬぞ」

「だったら……! 火炎爆弾(フレイムボム)!」


 私はクロノスに向かって、火炎爆弾(フレイムボム)を放った。

 ものすごい爆発が発生した。


「やった!?」


 しかし、次の瞬間、爆発の中からクロノスが現れた。

 そして、私に斬撃を繰り出す。

 私は咄嗟に剣でガードした。


「上級魔法まで使えるのか、それも無詠唱で。貴様、相当な魔力を誇っているようだな。今のはさすがに少し効いたぞ。ローランドにも有力な戦士がいるようだな」


 クロノスはそう言うが、未だにピンピンしている。

 どういうテクニックを使って防いだかは分からないが、クロノスはほとんど無傷であった。

 もっとも、そう簡単に倒せるとは思わなかったが。

 私はもう一度、クロノスに向かって火炎爆弾(フレイムボム)を3発放った。

 しかし、これは目眩ましである。

 火炎爆弾(フレイムボム)はどうせ防がれてしまうので、贅沢に3発放って目眩ましにする。

 爆発が晴れた瞬間に、私は本命の風斬刃ウィンドブレイドを放った。


「ぬう!?」


 風斬刃ウィンドブレイドはクロノスに直撃した。

 胸の部分には斜めに傷が入り、そこから血が出てきた。

 鎧の上からでもダメージは十分。目眩ましをした甲斐があった。


「とどめよ!!」


 私はすぐさまダッシュして、クロノスに接近することにした。


暗黒刃ダークカッター


 ところが、クロノスは剣を振ってダークカッターを放ってきた。

 鎧越しとは言え、傷はそれなりに深いはずだ。

 そして、すぐに血は止まった。

 ただ、回復魔法をかけた素振りは見せなかった。


「目眩ましとは、姑息な手だな。とは言え、今の攻撃はさすがに答えたぞ」


 あの攻撃を受けてなお、クロノスは立っている。

 演技って感じではなく、本当に平気そうである。

 普通なら、あの攻撃を受けて立っていることは難しいはずである。

 すると、クロノスはまた走って近づいてきた。

 そして、剣を振り下ろしてきた。

 

 このパワーは負傷しているという感じではない。

 もし怪我をしているのなら、ここまでの力は出せないはずである。

 自己再生能力でもあるのか。

 私は一旦距離を取ることにした。


「また距離を取るか。ならば、闇の衝撃波(ダーク・ウェイブ)


 そう言うと、クロノスは剣を振り下ろした。

 衝撃波が地面を伝わって飛んで来た。

 私は横に跳んで衝撃波を避けた。

 このままでは長期戦になってしまう。

 私は稲妻斬撃サンダースラッシュで決着をつけるべく、天高く剣をかざした。


稲妻サンダースr……」

「遅い」


 クロノスは私に肉薄すると、剣で斬撃してきた。

 私は間一髪のところで回避する。


「こんなに追い詰められたのは、ファイン以来かしらね」


 やはり六大帝将の一人を名乗っているだけはあって、一筋縄では行かないか。

 でも、だからこそ戦いは燃えるというもの。


身体強化(ブースト)!」


 私は身体能力を強化し、先程よりもパワーとスピードを上げた。

 私は素早い動きでクロノスを猛攻する。

 クロノスは防戦一方になっている。

 これなら勝てる!

 そう思っていた。

 しかし、それは私の誤算だった。


「動きが先程よりも鈍って来たようだな。私が防御に徹していたのは、この瞬間を待っていたのだよ。攻撃を続けていれば、やがて疲労で動きが鈍くなるというもの」


 そう言うと、クロノスは剣を思いっきり振った。

 私は剣を落とされてしまい、丸腰になってしまった。


「もらった」


 絶体絶命のピンチ。

 空からは私を嘲笑うかのように、無慈悲に雷鳴が轟いた。

 そして、クロノスは私に剣を振り下ろした。

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