第一章:弥生時代 『罪人扱い』
「──ください。─きてください。起きてください、章史様。」
控えめに身体を揺すられる。寝ぼけ眼を擦り身体を起こすと、卑弥呼のお付きの女中さんだった。
「どうかしましたか?」
「いえ、それが。昨日花を売りに来たやつを出せ!と、副兵士長様がいらっしゃいまして。他に兵士を数人連れて何やら物々しい様子で、屋敷の前でお待ちいただいています。お気をつけください。」
そう言うと頭を下げ、女中さんは部屋を出ていった。
副兵士長...?そんな奴とは面識が無いし、なんで俺が卑弥呼の屋敷に住んでることが分かったんだ?何個も疑問が浮かぶ。が、ひとまずその疑問を後回しにして、身なりを整えるために立ち上がる。壁際にある木刀に目がいった。
女中さんは気をつけろと言っていた。この木刀を持っておけば、多少は護身になるだろう。でも正直、昨夜よく分からない現象に遭遇したので五卆芹に詳しく事情を聞くまでは持ち歩くのはちょっと遠慮したい。
そう結論づけると同時に身支度も終わったので、特に何も手に持たず屋敷の玄関へと向かった。
--------------------
玄関から覗き見ると、確かにいる。その副兵士長とやらが。
背は俺よりもかなり高く、ガタイも良い。さすが副兵士長といった所で、威圧感が凄い。戦っても勝てないだろうな、などと思いながら屋敷の外階段を降りる。副兵士長が俺に気づいて、声を飛ばしてきた。
「早くこっちに来い!」
階段をおりる速度を上げ、副兵士長の前にたどり着く。
「初めまして、あの──。」
俺の挨拶を遮るようにして副兵士長が手を挙げた。なんだ?と思った次の瞬間、俺に向けて四方から槍が突き出される。
「な…何するんですか!?」
訳がわからず、目の前の副兵士長に尋ねる。が、当人はニヤニヤと笑みを浮かべるだけで何も言う様子はない。
「なんの真似ですか!」
少し語気を強めて再度聞く。
しかし副兵士長は何も答えず、腰に吊っている剣を抜くと俺に突きつけてきた。そこでやっと言葉を発する。
「お前がやった事は罪になるんだよ。取り敢えずついてきてもらおうか。断ったら、分かってるよな...?」
罪を犯したと言われても、心当たりが全くない。だが反論しようものなら切り捨てられるかもしれない。
黙り込んだ俺を肯定と見たのだろう、副兵士長は再度片手をあげると歩き出した。
「ついてこい。」
渋々後に続く。屋敷の誰かに伝言を入れたかったが、周りを囲う兵士達に阻まれ出来そうもなく、せめて屋敷から誰か出てきてくれれば…、と振り返るが誰も出てくるはずもない。
「おい!早くしろ!」
かなり先に行ってしまっている副兵士長にどやされる。諦めて前を向くと、副兵士長との間隔を詰めるべく歩く速度を上げた。
ついに20話目です。
面白いと思っていただけましたら、ブックマーク等よろしくお願いします。泣いて喜びます。
20話がこんなに短くていいのか.....?
できるだけ早くあげれるようにします...( ´ᾥ` )
それでは次回も、よろしゅう!!




