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History Origin ~なんちゃって歴史物語~  作者: 283
第一章:弥生時代
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第一章:弥生時代 『いやがらせ』

荷物を全て片付けて那阿(なあ)ちゃんの家へと向かう。

道中辺りを見ながら歩いてきたが、区画が意外と綺麗に分けられていて驚いた。道案内により、次の角を曲がれば家が見える所まで来たが、何やら微かに話し声が聞こえる。

那阿(なあ)ちゃんにも聞こえたのだろう。不安そうな顔をする。


「こんなところに人なんて滅多に来ないのに...。」


その言葉に俺も不信感を覚える。だが、よく耳をすませば子供の声に聞こえなくもない。一応、警戒はしておくが追い払うことは容易いと思う。


「そこの家の角から様子を見てみよう。ここからならバレないだろうし。」


話している間に角に着いた。まず俺が、慎重に家の影から顔をのぞかせる。

すると、那阿(なあ)ちゃんとさほど年齢が変わらなさそうな男の子が三人見えた。友達かもしれないと思い、後ろを振り返って男の子が三人居ると伝える。すると那阿(なあ)ちゃんは血の気が引いた顔になり、男の子たちの方へと駆け出していった。慌てて後を追いかける。


男の子たち三人は俺達の姿を見るやいなや、一目散に逃げていった。訳が分からないながらも走っていると、先行していた那阿(なあ)ちゃんがいきなりぺたんと地面に座り込む。


どうかしたのかと声をかけようとして気づいた。泣いているのだ。那阿(なあ)ちゃんが落ち着くのを待ってから聞く。


「あの子たちと......何かあったの?」


「うん...。あいつら、私に石を投げつけてきたり...。ビョーキ女って言われたりもしたし...。でも、家に来ることなんて無かったのに...。」


しゃくりあげながら、那阿(なあ)ちゃんが答える。


初めて会った時に見えた腕の痣はそれが原因か。と、今はそんなことを考えている場合ではない。初めて家に押し掛けてきたということは、なにかするつもりだったのではないか?


「家の場所はどこかな...?もし何かあったら手伝うよ。」


那阿(なあ)ちゃんが、少し先に建っている家を指さす。そこまで歩いていき、様子を確認。幸い、子どもたちになにかされる前だったようで、家は無傷だった。ほっと胸をなでおろす。


いつの間にか後ろまで来ていた那阿(なあ)ちゃんに約束する。


「今日中にお金を用意してくるから、待っててね。」


「ありがとうございます、本当に...。──あの、私のことも知らなかったくらいだから、章史(あきひと)さんってこの村の人じゃないですよね...?どこに住んでいるんですか?」


「えっとね──」


正直に答えそうになって、壱与(いよ)さんに言われたことを思い出した。この子が卑弥呼(ひみこ)達を嫌っているはずはないだろうけれど、一応。


「──あー、隣の隣の村だよ。そんなことよりこれ。」


話題を逸らすべく、袋から鉢植えをひとつと朝顔の種、水筒を渡す。


「花でも見ながら待っててくれたら嬉しいな。それじゃ!」


追加で何か聞かれる前に退散するべきと、袋を抱え足早に那阿(なあ)ちゃんの家を後にした。


--------------------


遠ざかってゆく背中を見ながら、ぽつりと呟く。


「私、知ってるよ。章史(あきひと)さんが卑弥呼(ひみこ)様の屋敷に住んでるって。でも、私達を助けようとしてくれる人が悪い人なわけないもんね。」


無意識に流れ落ちた一筋の雫が朝顔の種を濡らした。

15話目です。

面白いと思っていただけましたら、ブックマーク等よろしくお願いします。泣いて喜びます。


続きが書けたので投稿します。(2話)


それでは次回も、よろしゅう!!


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