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History Origin ~なんちゃって歴史物語~  作者: 283
第一章:弥生時代
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第一章:弥生時代 『一筋の光明』

簡単に出来ることはやっぱり何かを栽培すること。

屋敷に帰るまでに考えついた案はそれくらいだった。何を栽培するのか、材料や場所はどう調達するのか。等々、課題が多すぎる。

軽い気持ちで卑弥呼(ひみこ)に相談すると──。


「簡単に栽培できるもの?うーん、何かあったかな?ちょっと屋敷のみんなにも聞いてみるね。」


と、屋敷全体を巻き込んだ大事(おおごと)になってしまった。


最終的に卑弥呼(ひみこ)が首をひねりながら伝えてきたのは、プレゼントされるなら花が良いとの事だった。おそらく伝言ゲームが始まり、間違って質問が伝わったのだろう。とはいえ、重要な意見であることに変わりはない。花...花......。屋敷の廊下を歩き回りながら、考える。


章史(あきひと)さん、廊下をうろうろしないでください。掃除の邪魔になります。」


「あっ、すいません壱与(いよ)さん。ところで、何か簡単に育てられる花ってありませんかね?」


怒られてしまい、平謝りで尋ねる。何かいい案が聞ければいいのだが...。


「あれ?質問は好きな野菜についてじゃなかったんですか?」


伝言ゲームの途中経過を見た気がする...。


「そうですね。簡単かは知りませんが、()の国の方たちから送られてきた花はありますよ。名前は忘れてしまいましたが。」


「本当ですか!見せて貰っても?」


「わかりました。すぐに持ってきますね。」


簡単でなくても珍しければ、人の目にはつくだろう。なんでも聞いてみるものだと、待つこと2分。壱与(いよ)さんが、鉢植えを持って現れる。そこに綺麗に植わっているのは現実ではよく見る朝顔だった。


「朝顔ですか!良かった。これなら育てたことがあるので大丈夫そうです!わざわざありがとうございました。」


感謝を述べるが壱与(いよ)さんからの反応はない。


「どうかしましたか...?」


「いえ、今の章史(あきひと)さんの言葉を聞いてやはりこの世界の人ではないんだと改めて実感してしまって。」


何かやらかしてしまった訳では無いと分かり胸を撫で下ろす。


「なんだそんなことですか。見た目はこの世界の人達と同じだから、ちょっと賢いくらいに思っておいてください。なんにせよ、ありがとうございました。」


頭を下げ、急いで客間へと戻る。まだ第一段階が解決しただけに過ぎない。まだまだ考えなければいけないことは沢山あるのだから。


--------------------


客間に帰ってきて朝顔とにらめっこしていると、卑弥呼(ひみこ)が部屋に入ってきた。


「わぁ、綺麗なお花。なんて言う名前の花なの?」


「朝顔っていうんだ。俺たちは、夏によく育ててたなぁ。」


遠くを見ながら言う。が、卑弥呼(ひみこ)は花に夢中で聞いていないようだ。

しばらくの間、花を眺めて満足したのだろう。卑弥呼(ひみこ)は顔を上げた。


「どうして今、朝顔をじっとみてたの?」


「いや、沢山育てたいと思ってるんだけど、種がなくて。」


「なんだ、そんなことかぁ。」


そんなこと?種にするにはまだまだ時間がかかるのに?と、不思議に思っていると卑弥呼(ひみこ)から少し離れるように指示される。


「よく見ててねー、えいっ!」


卑弥呼が花びらに触れた。その瞬間に朝顔自体が枯れ始める。


「え、は?なんで?」


俺が目を見開き困惑しているのを尻目に卑弥呼(ひみこ)は誇らしげに胸を張り、説明する。


「私が触った植物って成長しちゃうの!これを繰り返せば種がいっぱい取れるんじゃないかな?」


その言葉を聞き、もういちど朝顔をじっくりと観察すると成程、茎の先には果皮がついている。ただただ枯れていっただけではないと分かり、安堵のため息をつく。


「なんだよ、びっくりした...。でも確かに、その力を使えば簡単に栽培はできるようになるな。それにしても、なんでそんなこと卑弥呼(ひみこ)はできるんだ?」


「んー、それが私もよく分かってないのよね。お母様もこういう事が出来てたし、巫女になってから急に出来るようになったから。」


「光の玉を作り出すのも?」


「うん。」


卑弥呼(ひみこ)が言葉と共に光球が作り出し、光が部屋中に広がる。すると、光を浴びた朝顔の果皮が弾け飛び、種子が床に散らばった。異変はそれだけに留まらず、水や土がないにもかかわらず種子が発芽した。あまりのことに卑弥呼(ひみこ)と顔を見合わせる。


「植物が育つ原因...分かったな...。」


「まさかこれが原因だったなんて...。」


手のひらに乗せた光球を見て項垂れる。


壱与(いよ)に凄く怒られるの。手塩にかけて育ててる野菜を勝手に成長させて!って。育てる楽しみが無くなる!って...。」


「それは災難だったな...。でも、光の玉を作り出してない時も成長してたから根本的な解決にはなってないぞ。」


卑弥呼(ひみこ)が力尽きて床に大の字で突っ伏す。それを横目で見つつ、朝顔を栽培する鉢植えを探しに行く為に立ち上がる。


「鉢植えを探しに行くなら、壱与(いよ)が沢山持ってたはずだから、聞いてみるといいわ。」


床に寝転がる卑弥呼(ひみこ)からアドバイスを貰い、部屋を出た。

13話目です。

面白いと思っていただけましたら、ブックマーク等よろしくお願いします。泣いて喜びます。


卑弥呼の能力の理由は後々分かりますので...!説明が薄いですが、流していただけると有り難いです。


それでは次回も、よろしゅう!!

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