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History Origin ~なんちゃって歴史物語~  作者: 283
第一章:弥生時代
12/20

第一章:弥生時代 『村での出会い』

【プロローグ:現実 『何の為にこんな事を?』、『数多ある設定の中から』】に追加した部分があります。


付け足しが多く、申し訳ないです。


もし時間がありましたら、お読みください。

用意されていた衣服は《貫頭衣》と呼ばれる、二枚の布を肩にかけ腰の部分で紐で結ぶものだった。言葉で説明する分には簡単そうだが、やってみると意外と難しい。


着替えに格闘すること5分。


何とか人に見せれるレベルになった俺の格好を、屋敷の玄関まで見送りに来てくれた卑弥呼(ひみこ)は、ものの10秒で完璧に仕上げてみせた。


やはり俺一人ではダメだったか、素直に着付けをしてもらうんだった...。と少しの後悔を胸に、卑弥呼(ひみこ)に村までの道のりを教えてもらって屋敷を出た。


「暗くなる前には帰ってくるのよ!」という、母親のようなセリフを背中に受けながら。


村と言われていたので小規模なもの、大きくても中規模だろうと思っていたのだが、これは村なんて規模ではない。絶対に街が正しい。


店番のいない竪穴式住居の隅に座ってそんなことを考える。今俺がいるのが、商業区と呼ばれるところ。ちらほらと空いていない店があるものの、全体的に見れば活気に溢れている。


「らっしゃい、らっしゃい!今朝採れたつくしだよ!つくし!」


瓢箪(ひょうたん)の水筒!遠出する時に便利!見てってねー!」


色んな店があるもんだ。道行く人をぼーっと見ていると、10歳くらいの女の子が一人こちらへ近づいてくるのが見えた。


「あの、お花要りませんか...?」


控えめに尋ねてくる。手に持つ花はどこかから摘んできたのだろう、水を得ていないのでぐったりとしてしまっている。


「ごめんね。今、手持ちがなくて。」


「そうですか...。いきなりすみませんでした。」


ぺこりと頭を下げ、俺の元から離れようとする女の子。その姿に何かをおかしさを感じたので、今度はこちらから声をかける。


「ねぇ君。その花、もういちど見せてくれないかな?」


おそるおそるといった様子で、俺の元に戻ってくる女の子。


差し出される花ではなく、女の子の様子を観察する。その格好は道行く人と比べると幾分か薄汚れているように見えた。そして服の袖からのぞく腕には、微かだが痣も見える。なにか訳ありに違いない。そう断定し、女の子に詳しく事情を聞こうとしたが──。


「なんだ、お前ら!ここでなに...、ん?お前は......!早くどっかへ行け!村から出ていけって言っただろう!」


この家の主が帰ってきた。そして俺たち──特に女の子を見つけると、追い出そうとする。そのあんまりな言い草に思わず声が出てしまった。


「おい、あんたな──!」


「申し訳ありませんでした。今後は二度と近寄らないようにします。ごめんなさい。」


女の子は震える声で謝罪をすると、花を置いて走り去っていく。


「ちょ、ちょっと君!」


店主をひと睨みし、地面にばらまかれた花を拾い集めて女の子の後を追った。


--------------------


走っていった女の子を追いかけると、一面の花畑に出た。ここで女の子は花を摘んでいたのだろう。花畑の方を向いて座っている女の子から少し距離を取って座る。どれくらいの時間そうしていただろうか、女の子が口を開いた。


「あなたは私が怖くないんですか?」


「いや、全然平気だよ。」


「そうですか。」


そこから更に沈黙。だが、長くは続かなかった。


「私のお父さんは病で死にました。手足が痺れてお仕事が出来なくなって、ある日突然苦しみだしてそのまま.....。...それからです。お母さんや村の人にも手足の痺れが起こり始めたのは。」


話を聞いて、すぐに言葉を発することが出来なかった。確かに、その状態ではこの子の親が病気の発生源と捉えられるのは仕方の無いことなのかもしれない。でも──、


「だからここのお花を摘んで、売りに行ってたんだね。」


「はい。私しか働ける人がいませんから...。」


儚げに笑う女の子。年端もいかない子にこんな顔をさせてはいけない。もっと曇りのない笑顔でいないといけないんだ。


「よし、分かった。明日もここに来てくれないかな?必ず明日にはお金を稼ぐ策を用意しておくからさ。病のことについては、残念だけど...。」


しっかりと言いきれないところに不甲斐なさを感じる。


「本当...ですか......?」


しかし、女の子は信じられないといった表情を浮かべ、目からは次々と涙が溢れさせる。


「ありがとうございます、ありがとうございます......。」


涙を両手で拭いながらいつまでもお礼を言う女の子を見ると、どれだけ酷い扱いを受け、また孤独だったのか容易に想像がつく。


この子をきっと笑顔にしてみせる。頭を撫でてやりながらそう決意した。

12話目です。

面白いと思っていただけましたら、ブックマーク等よろしくお願いします。泣いて喜びます。


三日間投稿します。見ていただけると嬉しいです。貫頭衣は着るの簡単やろ!というツッコミも脇に置いておいていただけると嬉しいです!


それでは次回も、よろしゅう!!

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